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チキンなオレ流高校生活!  作者: 仁瀬彩波
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夏休みの野球大会その6

「えー。チーム責任者の上本那月より打ち上げの宣言行いまーす。えー。みんな頑張ったんやけど勝つことはできなかったけど来年に繋がるいい試合でし「かんぱーい!」

「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」

 ちょ、健人俺最後まで言ってない!」

「…長くなりそうだったからな」

 仕方ないね。

 俺たちは藤宮グループが経営権を握っている居酒屋で打ち上げなうである。なんと無料(タダ)でいいらしい。やはり持つべきものは超大金持ちである彼女を持つ友達だ。勿体ないことに(ふくろう)は腹減ってないと言い一人だけ帰ってしまった。勿体ないというかただ単に空気が読めないだけな気がするが。

「ね、ねぇ鳥山君。ここ本当に居酒屋なのかな?」

「丁度良かった音坂さん。俺も同じことを思ってたんだ」

 藤宮さんが「うちの居酒屋で打ち上げってどう?」って提案するから乗っかってみたら、居酒屋かどうかすら怪しくなってきた。

 メニューをみると明らかに庶民向けの値段じゃない。頭が痛くなってきた。

「おい上本、本当にここ居酒屋か?」

「おうせやで、俺優妃と何回も来てるし」

 なんだこいつ。

「安心してよ。ここはパパが大事なお客さんとご飯を食べるためにあるようなものだから」

 はえ~。安心とは。

「んじゃあ俺大トロで」

 今川慎司は遠慮がない。

「うちの寿司は一応銀座で修行した人が握ってるから味はまともなはず」

「ザギンのシースー?」

「まぁそうね。」

 浮かれてた慎司は一瞬でパニックになる。まぁ誰も試合帰りにそんな寿司を食べることになるとは思わないからな。

 …一回戦の試合リードして迎えた5回表に2点取られ、裏の攻撃で梟がピッチャーゴロのダブルプレーで試合終了、という流れだった。来年は梟は誘わない。絶対。

「そういえば上本」

「ん?」

 俺の問に対してうどんを食べながら返事をする上本。

「なんだかんだで今日藤宮さん全くエラーがなかったけどなにゆえですか」

「愛の力やな」

 キリッと答える上本。うどんと顔で台無しである。

「愛の力ねぇ…」

「あぁ愛の力といえば黒田も頑張ってたやん」

「上本よ。それ以上口にすると我が覇道の餌食となる」

「こわーい。もう喋られへんわー」

「貴様…我が覇道を愚弄する気か」

「あはは」

 黒田が何なんだろう気になる。

「なぁ凌哉、トイレ行かね?」

 不気味な笑顔を浮かべる慎司。これは何かあるな。

「着いていってあげましょう。藤宮さんトイレどこ?」

「店の入口の右側」

 やれやれ仕方ないなー。本当に着いていってあげるだけなんだからね!

「うわー何かトイレですら普通じゃない」

「そういうのはいいから上本が言ってたやつ早く教えろ」

「絶対に誰にも言うなよ?」

「わかってるから」

「黒田なー。音坂さんのことが好きらしい」

「うそん。マジ?」

「マジマジ。俺誘った時音坂さんも来るって言ったら闇の力を解放するみたいなこと言ってたくらい」

 それがどれ位のことなのかよくわからない。

「まぁこのことは誰にも言わないでおこう」

「ん?いやこのことはこのチームで言ったらお前と梟以外はみんな知ってる。俺が言ったのは本人とその周りの人に言うなってことで」

 え?

「マジ?」

「マジ」

 まぁそんなこんなで俺の一年夏の野球大会は幕を閉じたのだった。

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