図書室を利用した友達の作り方 実践編
急に知っているライトノベルが登場したため俺はびっくりして机に膝を強打した。
ここが図書室でなければ大声を出したいところだが明らかにそんな雰囲気ではないのは確かだ。
そして俺はようやく気付いた。俺と同じように机に膝を打ちつけて痛がっている人がいることに…
俺は即座に振り返った。そこには先ほどと同じ様な気味の悪い笑顔を浮かべた慎司のムカつく顔があった。
しかしこれで同業者をあぶりだすことができる。やはり慎司は侮れない。
比嘉先生による新刊の紹介が終わると残りの授業時間で図書室の本をで好きに読んでいいとのことだった。
もちろん俺はライトノベルが置いてあるところに向かった。
「な?俺の言った通りだっただろ?」
慎司のドヤ顔は気持ち悪い。見ていてとても不快になる。そもそもあの顔をドヤ顔と言っていいのかどうか俺にはわからない時があり」
「おい途中から心の声が出てるぞ」
無意識だった。
無自覚だった。
この癖もいつか治さないといけない日がくるのだろう。
「悪い悪い。いつもの癖だ」
「治せよ…」
慎司が呆れるのも無理はないだろう。
実際中学の時に彼女と別れたのもこの癖が原因の1つだからだ。
まぁ大半は俺がチキンだということが原因なのだが。
この癖にまつわるエピソードを話すことになるのだが、それはまた別の話。
「お、お前らもラノベ好きなのか…?」
俺と慎司がライトノベルが置いてある本棚の前で談笑(?)をしていると突然話しかけられた。確かこいつは…
「馬原君…だっけ?」
俺が思い出すよりも慎司の発言の方が先だった。
恐らく慎司はこのクラス全員の顔と名前を把握している。
記憶力は大したものだと思う。
「馬原君もラノベ好きなの?」
「最近出たやつは一通り読んである」
完全に同業者です。ありがとうございました。
慎司と馬原君がずっと談笑している。
俺完全にぼっちじゃねぇか!
心の中でのツッコミも虚しく楽しそうに話してる二人から距離を取ることにした。