体育祭のチキンその3
受験生って忙しい!
梟の出場した大縄跳びだが、大方の予想通り俺達のクラスは梟が1回目で引っ掛かった為最下位。運動音痴を名乗るだけの事はある。まぁクラスからの批判は凄かったので褒められたものじゃないんだが。
「いやぁータイミングが難しいね。お陰でこのザマだよ。」
苦笑しなが爽やかに梟はそう言う。
「ダントツで最下位なう…」
半泣きで呟く馬原。まぁ気持ちもわかる。何故なら今俺達のチームは最下位…しかもダントツだからだ。リレーが一番多く点を取ることができるがもちろんリレーはとっくに終わっている。大縄跳びが終わった今残りの種目は俺の出る障害物競争と、綱引きだけ。現在1位は上本と健人のいるエメラルド。リレーの1位はとても大きい。そして大縄跳びの結果によって我らがダイヤの優勝の可能性が完全に消滅した。8組のみんな責めるなら梟だ。しかし、最後は勝って終わりたいという8組&6組連合は一致団結して最後の種目に全てを賭けるようだ。そう最後の種目は障害物競争だった。
本来トリとなるのは目玉の4×200リレーだ。しかし悪天候等の理由で一番最後に行われた。そのせいで俺の出る障害物競争がトリになってしまった。一矢報いて体育祭を終わりたいと考えてる奴らが多く6組の人間のみならず8組の人間からも先ほどから「勝ってくれ」とプレッシャーを掛けてくる。…胃が痛くなってきた。もともとプレッシャーに弱く、一人のある友達に告白すると伝えた結果クラスの全員が俺の告白を知っていた、なんてことがあった。あの時のプレッシャーは本当に酷かった。一点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムのPKのキッカーを任されたような気分だった。圧倒的自意識過剰。
さて、この最終種目はいわゆるデカパンと言われる物を二人で履いて障害を乗り越えるというありがちな種目だ。しかし、二人で行うという事は責任も半分ということだ。ストレスで血を吐くようなことは無さそうだ。
そして二人で行うこの種目。俺のペアになったのが
「闇夜に導かれし我が魂、今ここに解き放たん!」
クラス1、いや高校1の厨二病の黒田永秀だった。




