チキンな友達のチキンなデートその11
「なぁ優妃俺達が付き合いはじめてもう5年も経ってたんやな」
今までの思い出を懐かしむように俺…上本那月はそのデートを締めくくるべく予め考えておいたクサめの言葉を発した。
「…長さなんて関係ない。二人がどれだけ愛し合ったかが重要。うちは那月をこの世の誰よりも愛してる。ただそれだけ」
「お、おぅ…」
やばい。イケメン過ぎる。
実は優妃の方が彼氏なんじゃないのか?
実は俺はヒロインなんじゃないのか?
「優妃から直接愛してるって言われると照れるわ。」
「あ、珍しくちょっと可愛い…」
「俺はいつでも可愛いスーパーヒロイン那月ちゃんやからな!」
「…キモ」
「辛辣ぅー!」
心にグサッときた。
「なんだかんだで俺は優妃のこと好きやで。」
「…」
しばしの沈黙。
「…やっぱりストレートに言われてもキモい。」
グハッ!心の中で血を吐いてしまった。
もうやめて!那月のHPはもう0よ!
「じゃあどうしたら俺は気持ち悪くなくなるん?」
「まずは整形。その傷口みたいに小さい目を大きくしてついでに二重にしてもらってきて。次にその陰毛みたいな天然パーマを縮毛矯正でサラッサラに…」
「もう俺泣いていい?」
俺ってそんなのブサイクだったのか。
その上性格までひねくれてるとか救いようがないな。
「…嘘。うちは今の那月が好きだから」
「お、おぅ…」
やばい。萌える。
やっぱり優妃は最高。
「あ、忘れてた。はいこれプレゼント」
俺はカバンに入れておいた袋を取り出した。
「中身見てもいい?」
「おうよ」
ガザガサとビニール袋を漁る優妃。
ちょっとシュールだと思った。
「…なにこれ」
声のトーンが下がり少し焦った。
「あ、あぁ。それこの前遠足で遊園地行った時に買ったラーメン。多分美味しいと思ったから買ったんやけど実際に俺が食った訳じゃないから保証はできない」
「違う…これ…」
優妃が手にしていたのは宝石が散りばめられているネックレスだった。
「あぁそっちか。それまぁまぁ高かったから大事にしてくれよ」
「違う…いつ買ったのこれ?那月はコンビニで電池とか買ってたって…」
大方凌哉から報告でもされていたのだろう。今度懲らしめておこう。
「あんまり優妃はコンビニとか行かんから分からんと思うけどさ…」
「うん」
「最近のコンビニは通販で買ったものを受け取れたりするんやで」
慎司ばりのドヤ顔でそう言った




