表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チキンなオレ流高校生活!  作者: 仁瀬彩波
22/106

チキンな友達のチキンなデートその10

 さて幼なじみであり五年間交際を続けた彼女の藤宮優妃(ふじみやゆうひ)と遊園地に来ていた俺…上本那月(うえもとなつき)は友達であるところの鳥山凌哉(とりやまりょうや)森重健人(もりしげけんと)そして途中で吐いて退場した馬原一浩(まはらかずひろ)、その馬原に代わって呼び出された暇人の今川慎司(いまがわしんじ)に尾行されている。

 まぁ一緒にジェットコースターに乗った時点で尾行もクソもないって感じなのだが。

 俺は考える。彼らは心配で尾行しに来たのか、暇つぶしで来ているのか。

 それとも見事に破局するのを期待してるのか、また逆の大人の階段を登ることを期待しているのか。

 全部なんだろうなぁ…

 しかしそれらの期待は儚く消え「那月お土産買いに行こ」

「待てや優妃もうちょいで終わるから」

 頭の上に?マークを浮かべ首をかしげる優妃。

可愛い。機嫌を直してくれたんだろうか。

「いいから行こ。もう時間が無い」

 前言撤回。

 機嫌を直してくれてないし、そのうえ時間がなくて余計にイラついてるらしい。

「はいはいお嬢様の仰せのままに」

 僕はキメ顔で「…キモイ」

「いくらなんでも寸止めは酷いわー。夜も寸止めばっかりやしさー」

「黙れ童貞」

「俺泣いていいやんな?ガラスハートが粉々やで…」

「… いいからお土産買いに行こ」

「はい…」


 この遊園地はそこまで大きくはないが、一応お土産コーナーもありマスコットキャラのグッズ等が置かれている。

 だがしかし…

「落ち着いて考えたらここ近所やん。いちいちお土産とかいらんやろ」

「うるさい店の前で待ってて」

「えぇ…」

 半泣きになりながら店を出る俺。

 あいついくらなんでも酷すぎる。

 もう5年も付き合ってるのにこの扱い、結婚したら尻に敷かれそうだ。

 アハハうける。


 友達のデートを邪魔しに来た俺…鳥山凌哉は上本那月を追いかけた。

 すると…

「なぁ、あいつらもう別れたんじゃね?」

「慎司いくらなんでもそれは酷いって。いくら一人でお土産コーナーの前で半泣きになりながら虚空を見つめてるからってまだ別れてはないだろうよ」

 悲しいことにリストラされたサラリーマンが公園で絶望してるときの表情をしているが、仮に別れたとしたらすぐ帰るだろう。まだセーフだと信じたい。

「…俺達の…勝ちだ…!」

 健人の言葉でふと思い出した。

「そういえば俺達あいつらが別れるのを見に来たんだっけか」

 俺の言葉に慎司も「あー…」と声を出す。

 なんだかんだで俺達はあいつらを心配して来ていたのかも知れない。

 まぁ、上本のことだし大丈夫だろ。

 マイペースでキチガイでバカだが本当にやる時はやる男だ。

「頑張れよ」

 俺は心の中でエールを送り遊園地をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ