簡単な同業者探しの方法
この高校は俺が通っていた中学校とはさほど距離はない。
従って中学校と高校が同じ人間が結構いる。
30人ほどいた気がするが、このクラスには俺ともう1人しかいない。
それが
「うぃーす久しぶり」
そう言った彼-今川慎司だった。
慎司は頭がいい方だった。
しかし全く勉強しなかった俺でも合格したほどの高校を受けるくらいだから、慎司も消極的な人間に違いない。
「おうとりあえず一年よろしく」
「こちらこそよろしく」
正直クラスに知り合いが1人いるだけで心強い。
それがオタク系とならば尚更だ。
「このクラスに何人俺たちのようなやつがいると思う?」
俺たちのようなやつ…オタクのことか。
「意外と多いと思う。五人くらい」
「少ないなぁ」
そう言いケラケラ笑いやがる。
もっと多いと言うのかこいつは
「俺は10人はいると思ってる」
クラスの1/4がオタクだと慎司は言う
「流石に多いだろ」
「じゃあ確かめてみようぜ」
「確かめる?」
疑問符を浮かべる俺に対し慎司は気味の悪い笑顔を浮かべていた。
俺の高校生活最初の授業は現国だった。
そしてその内容は図書室で本の紹介という言ってしまえば高校生っぽくない授業であった。
「この学校の図書室にライトノベルが置いてあるのは確認済みだ」
慎司はドヤ顔でそう言った。
流石慎司侮れない…
雪ヶ先高校の図書室は俺の教室とは別棟にある。
若干古めの建物にあるので良い意味で独特の雰囲気を醸し出している。
「この図書書室には様々な本があり〜」
そう説明するのは現国担当の田原先生だ。
この人の第一印象はとにかく特徴的な髪の毛だった。
ワックスで固められたその真っ黒な髪の毛はとにかく光の反射で輝いていた。
「こちらが図書室を管理している比嘉先生です」
比嘉先生は優しそうなおばあちゃんみたいだ。
それから比嘉先生は新刊の紹介を始めた。
有名な文庫から歴史的な本まで幅広い本の紹介が行われている。
そして俺は目を見開いた。
なぜなら比嘉先生が次に紹介した本は某人気ライトノベルだったからだ。