チキンな友達のチキンなデートその4
この遊園地は前に遠足で行った遊園より若干広い。
入場料は1000円だがアトラクションを楽しむためには別途料金がかかる。まぁそれもせいぜい1500円くらいなので安いと言えば安い。
俺達は入場してすぐ近くにある茂みに身を潜めて上本を待つことにした。
時刻は8時半。ここで上本が到着。
切符売り場の横で待機している。
距離は結構近い。
ある程度の会話を聞き取れそうだ。
どうやら切符は既に持っているようだ。
そして藤宮優妃が到着。
「那月がうちより先に着いたの初めてじゃない?ちょっと嬉しい」
「まぁ、たまにはええやろ?」
あいつコンドーム持ってますよーって大声で言ってやりたい気分だった。
「じゃあ行こっか」
藤宮が上本の手を取り入場してくる。
「あ、切符はうちがもう買っておいたから!」
流石である。
何から何まで手が回る。
上本にはもったいない彼女だ。
しかし上本も女子に奢られるとは、完全にペースを握られたな。
今日はGWの初日ということで人が結構多い。
あいつらははぐれないように手を繋いでいた。
「…チッ」
今の舌打ちは健人だ。
いや、イケメンなんだから告白くらいされるだろ。あとその寝癖を直せばもっとモテるだろうに。
あいつらが一番最初に選んだアトラクションはコーヒーカップだった。
そうあのグルグル回るやつ。
俺はあまり好きではないが、ジェットコースターとかに乗られるよりはマシだ。
俺達は上本カップルの後ろに並んだ。
「何名様ですか?」
係員が笑顔で尋ねてくる。
「三人です」
慎司がいない今、こういう受け答えをする役は馬原だ。
俺達は上本カップルの真後ろに並んだはずだったのだが、コーヒーカップの位置はかなり離れてしまった。まぁ見えない程の距離じゃないので問題ない。
ブザーがなりコーヒーカップが回り出す。
徹夜で死にそうな馬原とコーヒーカップの真ん中のテーブル(?)を掴んでいる健人。
そして上本を見張ってる俺。
これから楽しい楽しい休日が始まるのだった。




