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チキンなオレ流高校生活!  作者: 仁瀬彩波
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生徒会の日常その5(後編)

入院してたらバレンタインに間に合わなかったでござる。

 生徒会室に戻るまでに覚悟はできた。どんな障害があったとしても俺は可奈さんのチョコを食べる。それが彼氏の仕事ってやつだ。そして…

「俺のチョコも食べてもらおう」

「…俺のチョコ(意味深)か」

「やめるんだ健人。俺がド変態だと勘違いされる」

 失敬な。あと黒田、何を今更みたいな目を向けるな。

 薄暗くなりつつある廊下を俺達は横並びで歩いた。

 その姿はアルマゲドンを連想させた。


「おっ、やっと戻ってきた。連れションにしては長すぎやろ」

 生徒会室に戻って最初に口を開いたのは上本だった。

「お、お前どうして…?」

 これには驚かされた。まさか生きていたとは。今世紀最大のサプライズと言っても差し支えないだろう。

「お前ら月詠さんを馬鹿にしすぎや。チョコ一個食ったくらいで死ぬわけないやん」

 まぁそれもそうか。冷静に考えるとあの『合コン中に女子の中で誰を狙うか会議』紛いの行為は無駄だったな。

「はい凌哉くんチョコレートどうぞ」

 可奈さんから可愛くラッピングされたチョコレートを手渡された。やっぱこういうとこで女子力が表れるんだろうな。というか予め用意していたならわざわざ調理室に行く必要はないのでは…?

「ありがと。はい可奈さんチョコレートどうぞ」

 意図的に真似る。はいそこ気持ち悪いとか言わない。

「わぁありがとう!」

 ほらもう可愛い。語彙力が消え失せる。守りたいこの笑顔。

「永秀私のチョコ美味しい?」

「おいちい」

 この日ばかりは黒田の中二キャラも消え失せる。好きな人からチョコが貰えて幸せだろうな。

 それにしてもこの生徒会冬のチョコ祭りは大当たりだな。女子はそれが本命だと悟らせず(バレている人も多い)チョコのやり取りができる。

「凌哉君私のも食べてくれ」

「あざーす」

 大本命のチョコを得た時点で俺のテンションは絶頂に達した。残りは義理だろうし消化試合も同然だった。それは藤堂先輩であっても同じだ。

「いただきます」

 生チョコのようなものを渡されて口に放る。

「ん!?」

「どうかしたか?」

 疑問と心配の入り混じる藤堂先輩の声に何か応えなくてはと脳を回転させるが何も出てこない。脳を破棄されたんじゃないかと錯覚するくらいこのチョコレートは辛かった。

 その時目に映った上本がとてつもなくゲスい顔をしていた。この辛いチョコを文句ひとつ口に出さず(出せなかっただけかもしれない)食べ切った上本に尊敬と忠告してくれなかったことえの恨みを込めた眼差しを向け、生徒会のバレンタインは幕を閉じた


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