プロローグっぽい話
女子高生というのは何を考えているのか分からないものである。そのことを俺ー鳥山凌哉が知るのは今から10ヶ月も後のことだ。
「鳥山凌哉です一年間よろしくお願いします」
最初の自己紹介というのは緊張する
そりゃまったく面識のない大勢の前だと普段通りにいられなくなるのは当然のことだ。
この県立雪ヶ崎高校は言うなれば普通の高校である。男子よりも女子の方が多いということを入学式で知ったときはテンションが上がった。だって俺にも彼女ができるかもしれないんだぜ?テンションが下がる男子高校生はいないだろう。
ちなみに男子が147名女子が173名の計320名がこの雪ヶ崎高校67期生の内訳だ。俺が所属する1年6組は女子21人男子19人の合計40人。
思ったより人数の差がないのが残念なところだが、女子の方が人数が多いというだけでハーレムになった気分になるので不思議。
「担任の藤原です。この1年の学年主任をしています。よろしくお願いします」
担任の藤原先生の第一印象はとても背が高い。180cmはありそうだ。それに比べて俺はとても背が低い。昔からのコンプレックスだ。幼馴染みは女子ばかりで全員俺より身長が高い。それでも一応165cmはあるので幼馴染みが化け物なだけだ。
俺はいわゆるオタクである。顔もフツメン…であると信じたい。夜中までアニメを見たりゲームをする生活が続いており、とても目が悪い。なので普段はコンタクトを愛用している。
そしてよく周りからチキンと呼ばれる。自分が消極的なのは認める。しかし露骨な表現は少し傷つく…慣れたけど。自分でもチキンだという自覚がある。
俺にだって彼女がいた。しかし彼女の愛に俺は応えられる気がしなかった。結果俺は彼女との一切の連絡手段を断ち、逃げるようにして中学校生活を過ごしてきた。彼女には申しわけないとは思っているが、どうしても勇気が持てない。自信とはどこから湧いてくるものなのか俺には全くわからない。
俺は三年間の高校生活でこんな自分を変えられると信じて過ごすことにする。…うん何とかなるよな