プロローグ.場違い
初投稿です。
よろしくおねがいします。
0.場違い
「場違いな言葉」というものに出会ったことがありますか。
実は誰でも一度は聞いたことが有って、自分から口にした強者も少なくないと思う。一例を挙げるならこんな場面とか。
とある学校での一幕。ある馬鹿っ…じゃなくてある生徒のお話。
夕焼けが差し込んでくるある冬の放課後。教室では生徒たちの帰り支度が速やかに進められていた。
生徒A「やべっ!」
生徒B「……どーしたの。」
陽光で黄みがかった黒髪の男子。
バカっぽくかきあげる仕草、さらに大声まであげるので、つい反応を返してしまう。
生徒A「このプリント今日までだっ!!」
生徒B「!?。えっ!早く出してきなよっ!」
正論だった。そんなこと言ってる間にはやく出しに行けばいいのに。そう思ってしまっても仕方がなかったと思う。そのくらい、ボーっとしてるように見えたから。
どうやら、声の調子で気持ちもある程度伝わったようです。
プリントから目を離してキョロキョロ。
窓際最前列から先生の様子を確認してる。
僕の視界の隅で、教室を出ようとする先生がドアをくぐろうとしていた。
焦ってたんだろうなぁ。
急いで一歩踏み出して…、一歩しか踏み出せなかったんだもん。
まぁ、原因は……言い間違いだけどね。
生徒A「!っあ!待って!おかーさんっ!?!?………」
生徒B「!!」
静まり返る教室。
突き刺さる視線。
振り返る先生。
ゆっくりとプリントを差し出す手が、だれの目にも明らかなほど震えていて………。
そんな彼を笑う者なんて、誰一人いなかったのに。
鮮明に焼きついた記憶。思い出すと、僕だけでも笑ってあげるべきだったかなぁ、なんて、今更だけど、当時できたかもしれないフォローを自分の中だけで反省してしまう。
この時、彼は「その場にふさわしくない」言葉を使った。ただ、それだけのはずだった。
だけど結果として、言葉の持つ力がどれだけ強いものなのか、それを教えられちゃってたな。その威力は……。そうだなぁ、少なくとも彼の目と心は死んでいたなぁ。
結局、何が言いたいのかって言うと…、言葉にするには難しいのだけど…。予感が…しんだ。
目の前のこの光景が、かつて見たバカを彷彿とさせたのかもしれないなぁ。
……と、1人の少年が、現実逃避気味に考え事をしつつ、視線を落とし、ただひたすら続いている「挨拶」に耳を傾けていた。
この場の何が場違いなのか。
今はまだ誰にも判断出来なかった…。
あれ?ヒロイン出てきてない...。
こんなはずじゃなかった。
そんな作者です。