母の愛の勝利
いつまでも立ちっぱなしと跪いたままってのも話しにくいので執務室の横にある応接室に皆で移動。
私はユーゼル君の隣。机を挟んで反対側にマリアンヌさんとフランドル君が座っている。
「で、フランドル君が弟様の子供じゃないってどーゆーこと?マリアンヌさん浮気したの?でも弟様ってそーゆーの我慢できないタイプだよね??」
ぐびーっ!とユーゼル君が入れてくれた紅茶を飲み干すと私は遠慮しないで本題に入った。
ちなみに敬語もどきと様付けは既にしてない。
『いつも通りに話して欲しい』
ってマリアンヌさんに希望されたから。
「あの…弟様というのは王弟殿下の事で間違いないでしょうか?」
「うん、そうだよ。
王弟殿下、って呼ぶのが面倒になったから適当に決めてみた。」
納得したみたいでマリアンヌさんはフランドル君にまつわる弟様の最低最悪極悪非道行為を淡々と語ってくれた。
「あの方は種無しなのです」
「んへ?そなの??」
「えぇ。でもそれを御自分では認めてらっしゃいませんでした。子が出来ないのは私が悪いとおっしゃってましたし。
それである日、私は別邸…優希様が破壊された屋敷ですね…に呼び出されて、あの方と髪と瞳が同じ色の男性数名に犯されました。
あの方は…泣き叫んで許しを請う私に向かって
「お前がさっさと妊娠しないのが悪い。そもそも中流貴族であるお前の家に婿入りしたとはいえ、王族である私の血を引く者が産まれるのは許し難い事だ」
と吐き捨てられました。
その後何度か同じようなことを繰り返し、授かったのがフランドルです。」
「「…………………。」」
私とユーゼル君、絶句。
何やってんだよ!?弟様よぉぉ!?
ってかフランドル君聞いてるよ!?いいの!?お子様にこんな話聞かせて!!
フランドル君を盗み見ると平気な顔してニコニコしてる。
ちっこくても貴族。ってことか。じゃあ聞いてみてもいいかな?
「じゃあさ、そんな目に遭わされて産まれたフランドル君は憎くないの??」
「それは……正直に言いますと憎かったです。
ですが産まれてきたこの子を見た時、何故か涙がこぼれたのです。
憎しみではなく喜びの涙です。
その時から私は女ではなく母親になったのだと思います。」
ゆったりと息子をみつめて微笑む彼女は堂々としていて、嘘を言っている様には見えない。
それに答えてにっこりと笑うフランドル君も母親の事が大好きだとわかった。
「ん、りょーかい。事情は把握したからフランドル君は抹殺対象から外すよ。その代わり貴族の爵位は剥奪して平民として市井に下りて貰おう。」
フランドル君の処罰について決定すると、彼女とユーゼル君はホッとした顔を見せた。
特にユーゼル君は脱力してソファーにもたれ掛かっている。
やだなぁ、彼は人のことなんだと思ってるんだ。血も涙もない鬼畜だとでも思ってんだろうか。
私だってね、情状酌量、って言葉くらい知ってるんだよ。
「で、マリアンヌさんだけど…」
「はい。覚悟はしております。
息子にも説明してありますので、どうぞ優希様のしたいようになさって下さい。」
「そのことなんだけどさ、マリアンヌさんも市井に下りちゃいなよ。
今回の粛正は見せしめも兼ねてるから貴女だけ見逃すわけには行かない。だから死んだことにして2人で名前も何もかも変えて生きていくと良いよ。
大丈夫!しばらくはユーゼル君が面倒みてくれるし周りへの誤魔化しもやってくれるから!!!」
秘技:丸投げ(この技は相手に多大なる迷惑をかける場合があるので使い所に気をつけましょう。)
いきなり話をふられたユーゼル君は大慌てだし、マリアンヌさんとフランドル君は
ポカーン(゜ロ゜)
てしたあと、2人で抱き合ってマリアンヌさんは静かに、フランドル君は声を上げて泣き始めた。
沢山人を殺してる私が言うのもアレだけど、一緒にいられるのならば親子は一緒にいるのが一番だと思うんだよ。
だからユーゼル君、後は頼んだ☆
タイトルでネタバレしまくりw




