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レーテの川の水  作者: 鮎川 了
Μνημοσύνη
16/26

―希―




 母の心はもう壊れていた。

 プラスティックの粗悪品を嬉々として受け入れ、虐げられ、暴力を振るわれても笑っているだけだ。


 気付いたからこそ壊れたのだ。 

 これは死んだ父の代わりにはならない。


 なのに、なんて軽はずみな事を……と。


 幸せを取り戻す為に焦った母は不幸を家に呼び込んでしまった。


 私は母を憎んだ。


 父の思い出を汚す者達を憎んだ。


 しかし非力な私にはどうする事も出来ない。


 毎日、“偽物”から受けた折檻の痕を隠して学校へ行く。そしてまた帰って来ると折檻が待っている。


 ある日、家の前で入るのを躊躇ためらっていると、隣の家から声がした。


 「明日香ちゃんだよね?」


 隣の家の玄関灯に照されて、背の高い青年が立っている。


 「覚えてないか、小さい頃は良く遊んだんだよ。他県の大学へ行ってたんでなかなか戻って来なかったんだけど……暫く見ないうちに大人っぽくなっちゃったね」


 その爽やかな笑顔には見覚えがあった。

 小さい頃、よく遊んでくれた隣の……


 「幸治お兄ちゃん!」


 すっかり大人になったその人は、私をこの地獄から救い出してくれる王子様に見えた。 










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