後日談
えー、まずはここまで読み進めて下さった全ての方へ。
ありがとうございます。
実はこの作品を気に入って評価を下さった方が3名もいらっしゃいました。
とても嬉しかったです。
この場をおかりして御礼申し上げます。
皆さま、本当にありがとうございます。
*
「――ねぇねぇ、ここんとこあの人見掛けないよねー」
「あの人って誰よ?」
「ほら、あんたに御執心っぽかった黒髪の人ー」
「はぁ? 黒髪って…もしかしてあの変態の事ぉ?」
「えー、何その酷い言われよう!?
あんたついこの間までは満更でも無さそうな顔で相手してたくせに…?」
「酷くなんか無いしあんなのとは全く何の関係もないしそんな顔もしてませんっ!
ほら…少し前に入ってた海エルフからの依頼、覚えてる?」
「あー、恒例のアレね。
数年ごとに依頼が入る海エルフの少子化対策。
魔力が高い馬鹿男どもが心待ちにしてたやつでしょ。
いくら子供が生まれにくくなったからって……男は顔でも金でも性格でも無い、魔力だって言い切るんだから海エルフって凄い種族だよねー。
…そう言えば彼の魔力量ってこの辺じゃダントツだったっけ? ……ってまさか?」
「そう、そのまさか。
しかもあいつ、わ・ざ・わ・ざ・私の受付窓口に持って来たのよ。
他の男どもが男性職員の窓口にこっそりと持って行って手続きしてんのに、よ」
「あー、えーと、それは、ほら、受付に男の人って少ないし。間が悪かっただけ、とか?」
「受付はガラガラでーしーたー。しかもそれだけじゃないわ!
あの男、手続きしている間中、ずぅーっとにやにやと気持ちの悪い薄ら笑顔を浮かべて私の反応を窺ってんのよ!」
「うわー何ソレ気持ち悪ぅぅぅ~。それであんたどうしたの!?」
「普段以上に淡々と処理してやったわ!」
「やるぅ~! でもあの男、何考えてんのかねー?」
「私にわかるわけ無いでしょ。
もう気持ち悪くて気持ち悪くて…うぅぅ~思い出したら鳥肌立ってきちゃったよぉ」
「それってさー、なんか危なく無い?
愉快犯とか、見せるのが好きとか…うわ~全力で引くっ!
顔はそこそこイケてたのに何でそんなに残念なの!?
それってあんたがどんな反応をするか、じっくりと眺めて楽しんでたって事よね?」
「……多分ね」
「キモっ! もしかして変態?」
「だからそう言ったでしょー」
「うぅ~他にもなんか変な、やたらとマニアックな趣味とか持ってそうだよ~。
付き合う前にわかって良かったねー!」
「えー、あんなのと付き合うとかヤメテよー。元からそんな気ないない!」
「へー、ふ~ん? まあそういう事にしといてあげてもいいけどー」
「むー、何よぉその上から目線は~。
もうあんな変態の事なんかもうどうでもいいじゃない」
「うーん、でもそれって彼が依頼で町を離れている今の内にさー、他の同僚の娘達にも要注意人物として知らせといたほうが良くない?
変態行為ってエスカレートするって言うし…被害者があんた一人かどうかもわかんないよ!」
「それは……そうかも。じゃあ女性職員を中心に回覧回しとこうか」
「うんうん、そうしよっ。まぁそんな変態の話はこれで終わりっ! 今度新しく出来た―――」
「ああ、その店なら知ってるー! 私も行きたかったんだぁ。じゃあ―――」
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冒険者―――。
彼らは金に女、スリルに興奮、尽きる事無い欲望を糧に町から町へと気の赴くままに流離う旅人。
時に自らの意思で、時に何かに追い立てられる様にして、彼らは町から町へと渡り行く。
そしてまた一人、住み慣れた町を背に、道なき道へと歩み出す冒険者の姿が……。
「―――――何がどうしてこうなったぁあああああっ!?」