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モバイル便所派の書斎


 決められた時間に執筆する利点を述べたついでに、執筆する場所についても喋っておきましょう。


 本格的な執筆をする場所には、以下のような最低条件をクリアしなければなりません。


・邪魔されない

・快適

・気が散らない

・安価で利用できる


 一番手頃なのは、マイホームの自室でしょう。


 ところが、これが私にとっては難物なのです。マイホームの自室で書こうとしても、驚くほど書けません。集中できないのです。テンションが維持できないのです。

 何か、風水的な原因があるのかもしれません。

 あるいは、十年以上生活している自室に飽きているせいなのかも。


 学校図書館などは基本的に避けています。

 知り合いが話しかけて来て、せっかくの創作世界をぶち壊されてもたまりませんし、知り合いの方も、なぜ私に殺意を向けられるのか戸惑ってしまうことでしょう。


 休日はやけに混雑している市立図書館もダメ。


 公園で書くなんて気持ちよさそう……なんて思っていた時期が私にもありました。

 でも、寒すぎず暑すぎず雨が降らず、アリや蚊や警察官に妨害されずに執筆に専念できるシチュエーションというのが酷く希少なのですよね。





 こうやって考えてみると、最低条件をクリアしている場所というのは意外とないものです。

 最高の書斎。それは、どうしてどうして得難いものです。






 そうそう。

 さる、有名作家さんが言っていましたが、物書きには、便所派と広間派という二つに分類できるそうな。

 便所派は狭いところで書くことを好み、パソコン、辞書や資料といったデバイスが手に届くところにないと筆が進まない。

 一方で広間派は、広大な書斎にずらりと蔵書を並べて、それを背に、ゆったりと書く人のことだとか。


 武田信玄が便所派だったというのは、有名なエピソードです。

(便所で仕事してました)


 私も断然、便所派ですね。

 身の回りに事象が色々があると気が散ってしょうがない。必要なものに手が届く小空間でこそ仕事がはかどります。

 自室のデザインも、無意識的に便所のように便所のように進化して行っています。


 私にとって幸いなことに、執筆用データを全て詰め込める電子デバイスは、便所派の最高の味方です。

 いまや、私の行くところ全てが便所的な書斎となり得ます。

 モバイル便所派とでも名乗るときがやってきました。






 さて、自分自身の執筆スタイルを分析した結果、私は自分の書斎の最低条件に一つの用件を足しました。


・リミットが存在する


 私は、追いつめられたときにこそ実力を発揮するタイプだと気づいたのです。


 ここ最近、私が愛用している書斎は、満員電車ほど混んでいない電車内と、コーヒー屋です。


 前者には、目的地に着くまでの間に書かなければならないというタイムリミット。

 後者には、それに加えて有料という条件も加わります。

 この、リミットという薬味が私の執筆テンポを活気づけるのです。





 漫然とだらだらやっても能率は上がりません。

 私が自室で執筆できない理由もこれなのです。


 ネットカフェで六時間何百円というコースを使うこともありますが、やはり、さほど勢いがでません。

 結果として、主に打ち込みや、校正のような雑務をこなすだけで終わってしまいます。

 六時間は長すぎてとても集中力を維持できないのです。


 コーヒー屋は値が張りますが、収入が支出を上回っている限り、そんなに気にしません。

 執筆は私のメイン趣味です。

 変に出費をけちっても、つまらないだけです。





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