苦手シーンを上手く書けるようになりたい!
大抵の小説家にとって、書きやすいシーンと書きにくいシーンがあると思います。
私の場合、男女がサブマシンガンで撃ち合うシーンはさっさと書けますが、男女が突っ立って愛を伝えるためにだべり合うとなると、筆が止まります。
進取の気象に溢れた行動力のある人間を書いていると、書いていてテンションが上がりますが、沈み込んだキャラが憂鬱そうに心情を吐露する場面となると、書いている私まで自殺を考え出す始末。こんなザマでは、うまく小説は進んでくれません。
感情移入というのは楽しいし、執筆する上でのスパイスみたいなものですが、シーンごとに執筆テンポが乱れるのは困りものです。
私が理想とするのは、どのようなシーンでも機会のように着実に進めていく執筆力なのです。
弱点の補強に焦点を当てましょう。
なぜ、うまく書けないシーンがあるのか?
そのシーンがどう展開していくのか、『型』ができていないため、行き当たりばったりな執筆になってしまっているのです。
あらゆるスポーツや武道、舞踊同様、『型』ができれば、よりスムーズに、効率のよい執筆をこなすことができるでしょうし、読んでいる側にも感動をもたらすことができることでしょう。
どうやったら、『型』ができるのか?
『型』ができていない理由は、勉強の不足、その一言に尽きるでしょう。
よほど波瀾万丈な人生を歩んでいない限り、小説を書く際には、頭の中の情報を編集して、展開をシミュレートして執筆しているはずです。
情報の仕入先として最も有力なのが、読書でしょう。読んでインプットした情報を、執筆という形でアウトプットして、学習のサイクルが成立するものなのです。
苦手シーンですが、十分に読んだことがない、書いたことがないことが原因で、いざ必要なときに、これを書くことができません
私本人としては、それなりに読書はしているつもりですが、どうしてもジャンルに偏りが出てしまいます。本箱を眺めてみると、SFや軍事やハウツー本ばかりが詰まっています。未読の積ん読用本箱まで同様です。
どうやら、無意識の選別のせいで、あまり読まないジャンルの本は、永遠にあまり読まないままになりそうです。
以上のことより、受動的な読書で苦手分野が克服できると考えるのは甘いという結論に至りました。
積極的に学び取る他ありません。
目標として、苦手なシチュエーションで、キャラクターに言うべき言葉、とるべき行動を迅速かつスマートに描写できるようになりたいです。
これをクリアするためには、筆者がそのシチュエーションに適した言葉を、即座に思い浮かべなければなりません。
これを書いていて、私はあることを連想しました。
これって、まるで語学学習みたいではありませんか。
必要なシチュエーションで、必要とされるフレーズを、自在に頭の中から引き出せるようにする。海外を旅行中に必要とされる語学とそっくりです。
それならば、語学学習の勉強法が役に立つこと間違いないでしょう。
幸い、語学の勉強は誰もが得意です。日本の大抵の中学・高校で英語を教えていることでしょう。何年間も勉強しているので、誰もがマスターしています。
……よその言語をマスターするのに必要なのは、語彙に限ります。
三千単語を暗記できれば、日用会話程度はこなせるそうです。
つまり、重要なのは暗記することです。シンプルかつストレートです。
苦手シーンをクリアするために、文章を暗記してしまうのが手っ取り早いでしょう。
幸い、人間の記憶力は驚異的です。
円周率を何万桁も暗記している人だっています。
ましてや、自分のよき創作のためとあれば、記憶にも力が入るというものです。
暗記したものを、そのまま創作に投じるのは芸がありませんが、自分の中に蓄積したデータで『型』を作るというわけです。
いわゆる守・破・離のうちの守の部分をしっかり作ることができれば、創作をしているうちに作品のレベルを上げていけることを期待できます。