スキマ執筆のすすめ
アイディアが湧き出て、最高のプロットもできました。さあ、世紀の大作を書くぞ!
こう言うときは、作家らしく、時間をとってホテルにでも缶詰になって、創作に専念したいところ。
だが、悲しいかな、プロの作家ならともかく、今時の忙しい学生&社会人が缶詰になれる暇なんてそうはありません。
一日二十四時間から、学校職場マイナス通勤通学マイナス風呂睡眠マイナス人付き合い息抜きうんぬん……。引き算の結果、一時間でも執筆時間が作れれば儲けものです。
それだって、忙しくなったり、体調が悪くなったりすれば、あっさり霧散してしまいます。
土曜日、日曜日だって、どれだけ時間がとれるか、分かったものではありません。
現代人は慢性的に多忙なのです。
発想の転換を行いましょう。
執筆のためにまとまった時間をとるという努力をやめてみることにします。
今日ご紹介するのは、その名もスキマ執筆。
やり方はシンプル、仕事中も常に意識の片隅でストーリーをもてあそんでおいて、手元にメモを常備して、どんどん書き取っていくというもの。
慣れさえすれば、日常のランダムなスキマ時間で、小説のランダムな場面を書き始めることが可能です。
速やかに小説の世界に没頭するのが、このテクニックの鍵です。
没頭しやすいように私は、事前にどういう場面を書くかを決めておきます。
メモ帳に始まりの一文を書いておいて、スキマ時間を見つけるや、メモ帳を懐から取り出し、一気に書き進めていくのです。
なにやら中途半端で、効率悪そうなテクニックですが、これをやることで純粋に仕事の息抜きになります。
単調な仕事にリフレッシュは不可欠です。そして、私にとって執筆は最高の清涼剤です。
自分の最高の趣味を、望む瞬間に行える……これほど、幸福なことがあるでしょうか?
効果的な息抜きで、結果的に執筆・仕事双方の集中力を向上させることを期待します。
私は学生時代も、授業中に執筆していましたが、今ほど勉強・執筆のモード切り替えが洗練されていませんでした。
当時、もっと執筆力があれば、創作のみならず、学校の成績ももっと快調だったのではないか……なんて想像してしまいます。
社会に出てしまった後で、学校の成績に何の意味があるのだと問われてしまえばそれまでですが。
スキマ時間にちびちびメモしたところで、まともに小説は進みはしねえだろ……なんてバカにするなかれ。
一時間にメモ一枚、百文字書けたとして。
八時間労働でメモ八枚。八百文字。原稿用紙二枚。
五日で原稿用紙十枚です。
金を稼ぎながら短編一本ぐらいをひねり出せるのです。
これは、バカにできない成果だとは思いませんか?
むろん、本格的に執筆するのは、勤務時間外です。スキマ執筆の成果をパソコンに入れて、洗練させます。
良質な仕事にはマルチタスクが必須です。
仕事に、執筆というタスクを一個足して、働きながら趣味をする。
人生をより楽しくするために、こんな執筆法にチャレンジしてみてはどうでしょう?