プロット製作3 テーマかストーリーか
プロットはテーマと、ストーリーどちらから作るのがいいのでしょうか?
テーマからプロットを作るとすると……
錬金術に関する物語。テーマは『テクノロジーの暴走を、人間が気合いで止める』。
ヴィクトリア朝時代っぽい世界観。錬金術ベースの産業革命が起こり、市民の生活にまで定着。繁栄を極めているものの、軍用錬金術に長けたプロイセンっぽい国や、宗教的理由で錬金術を禁じるアメリカっぽい国(南北戦争中)や極東の神秘の国が台頭してきて、国家レベルの謀略がいっぱい交差して、それらを人外レベルの存在が裏でコントロールしていて……主人公は植民地総督で、本国と植民地との間で板挟みになっているけど、すごい古代の遺跡を見つけちゃって……
壮大ですね! 完成するのに何年かかることやら。
テーマや世界観から物語を作ろうとすると、途轍もない大河小説のプロットができてしまうのは、私だけでしょうか?
こんなプロット、一体、何から書き始めていいのか分かりません。書き終える目処も立たないため、モチベーションが上がりにくいのです。
将来、大河小説を大量生産できる執筆スタミナが身につくまで、お蔵入りということになります。
対してストーリーから作ってみると……
「男の心臓が反乱を起こす」
「心臓と戦い殺される」
「男は生き返る」
「死闘の末、勝利する」
シンプルですね。
奇抜な物語を書くにしても、ストーリーというのはシンプルなものです。
四行で書けてしまいます。また、それが起承転結の本質なのでしょう。
迅速に完結させることで、大量の生産量を確保したい私としては、なるべくストーリーから作っていきたいところです。
恋人を殺された男が軍隊相手に一人で戦う~なんて、ありきたりなストーリーでも、テーマや世界観を後づけてユニークなものにしていくことは簡単だと思います。
軍隊と戦うのなら、主人公はサイボーグ化しておこうか。それから、宗教味もプラスしてみて……サイボーグの宗教か。いいね。ユニークだ。書こう。
ストーリーがあらかじめ決まっていると、小説の全体像が見えている強みがあります。
この場合、私は冒頭と起承転結の転から書いていきます。
冒頭からのみ小説を書くと、妙に冗長な作品になってしまうことがありますが、クライマックス&エンディングを定めておくことで、作品の迷走を予防することができるわけです。
週刊誌のマンガで、人気があるからといってダラダラといつまでも続く……そんなパターンに陥らずに済みます。
昔は、プロットをうまく作れなかったので、冒頭から書くしかありませんでした。
でも数を書いたおかげで、今はもっと大きな視野をもてるので、最も効率よいところから書き始めることができます。
では、テーマから書き始めるべきなのは、どういうパターンでしょう?
大河小説ですね。文庫本数冊分……原稿用紙千枚ごえといった作品でしょう。
そんなものは書いたことがありませんが、想像しますに、遠大なバックストーリーがないことには、千枚以上も書き続けることはできないはずです。
短編を作る場合はストーリーからプロット制作、大長編ではテーマからプロット制作がベストな流れでしょう。
原稿十枚の短編に壮大なプロットが必要でしょうか? 設定資料集作る訳じゃあるまいし、そんなものを消化しきれるはずがありません。
典型的な世界やキャラで十分にやっていけるはずです。
対して大長編で、テーマや世界観が欠如していると……とてつもなくダラダラしたつまらない文字の山になりそうです。何か、読者を引きつける強力なメッセージを内包していない限り、読者が何百ページもつきあってくれることは期待できないはずです。
折衷法として、遠大なバックストーリーをもとに、山ほど短編を量産する、なんてテクニックもあるとは存じますが、関連作品を沢山読まないことには、世界観の概要をつかめなかったりしそうで、上級者向けのテクニックに感じますね。
プロットついでに言いますと、私は短い作品では、プロット自体作らないことが多いです。
プロット代わりに本編をスタートしてしまいます。
プロットとしてメモした文字の前後に文章をくっつけていって、そのまま完成させてしまいます。
ちょっと乱暴な気もしますが……必要もないのに、プロット制作なんて儀式をする必要はないでしょう?
あと、プロットで行き詰まって、うまく完結できるか自信がないときは、とりあえず本編書いてみろ、なんて方法を提唱してしまいます。
紙の上で文字を遊ばせてみましょう。書くことで、イメージが頭の中で固まって来るものです。
自衛隊の教練でも、行き詰まったらとにかく行動してみろ、と教えているそうです。