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幻想戦記  作者: 竜影
第3章
164/170

第141話 思い・・・・・・貫く力






激闘の合間。嘲るような表情で、ソウセツはディステリアを見ている。

「この愚かな世界を、貴様は自分だけのちっぽけな『正義』で守ろうと言うのか!?」

「どれだけぶつかろうと・・・・・・」

息をつき、ディステリアは敵を睨む。

「―――どれだけ悩もうと・・・・・・それでも自分の力で道を選び、歩いて行く!!それが・・・・・・」

床を蹴り飛ばし、ソウセツに向かって行く。

「『生きる』という名の―――戦いだ!!」

振り下ろされる天魔剣を飛び越え、ソウセツは蹴りを放つ。ディステリアはそれをもう片方の天魔剣で受け止め、振って弾く。

「だが!!人はそれを、自ら放棄することを望んでいる!!悩むことをやめ・・・・・・傷つくことを恐れ・・・・・・苦しむことを拒絶し・・・・・・自らの持つ可能性を、つまらぬ型に押し当てて、抹殺しようとする!!」

踵落としをかわし天魔剣を振るが、ソウセツはそれすらも軽くかわす。

「悩むことに苦しさを感じれば、拒絶したくなるのも、逃避したくなるのも、『心』があるのなら当然だ・・・・・・だけど!!」

「だが、それは・・・・・・貴様の言う『生きる』と言う戦いに必要な爪と牙を、自ら捨てるに等しい行為だ!!」

何度も蹴りつける間左右の指で違う魔方陣を描く。ディステリアは知らないが、これは振るい時代にあった魔術の発動法。魔方陣の書き方が術ごとに違い複雑なため、簡単な詠唱より広まらなかった。その忘れ去られた術をソウセツは使いこなしている。

「そうだ!!だからこそ・・・・・・それを手放すことは許されない!!一度手放しても・・・・・・いつかはそれに気付く!!」

「いつかは・・・・・・それでもと・・・・・・いつまでも変わることがない。そのような世界に・・・・・・」

魔方陣を書き終え、すぐ放たず保つ。天魔剣を振る攻撃は、全て蹴り技で捌いている。

「生き長らえる資格はない!!」

「てめえで決めんな!!」

振り上げられた天魔剣をかわす。がら空きの胴体に蹴りを入れようとするが、それを何度も許すディステリアではない。体を仰け反らせてかわし、逆にソウセツを蹴り上げた。追撃をかけようと飛び出すが、そこに右手の魔方陣を向けられる。

「ファイアブラインド!」

炎の壁が上から打ちつけられ、ディステリアの鎧を熱する。剥き出しの髪や顔が燃えかけたが、とっさに離れたため大事には至らなかった。

「エンシェント・ナイトフェンサー!!」

もう一方の魔方陣はソウセツの左腕に合わせて動き、そこからいくつもの白い刀剣が投げられる。左右の天魔剣を振って防ぐが、捌ききれず何発か食らう。鎧のおかげで刺さることはなかったが、代わりに食らった部分が砕ける。

「フッ、この分だと勝負は目に見えているな」

「ほざけえええぇぇぇっ!!!」

突っ込むディステリアの攻撃にソウセツが目を見張る。

「(これは・・・・・・)」

後ろ跳んでかわすこともできたはずだが、天魔剣の剣先がソウセツの頬を掠める。怯んだ隙に、右の天魔剣に闇の力を溜める。

「フォーリング・アビス!!」

降り注ぐ闇の流星がソウセツに追い打ちをかけた。黒い爆炎がソウセツを包み、ディステリアは翼に爆風を受けて後ろに下がる。

「・・・・・・どうだ・・・・・・?」



                      ―※*※―



「フォース・カリバーン!」

魔力を溜め肥大化した光の剣を振り下ろし、凄まじい光がカーモルに直撃し包み込む。

「紅蓮鳳凰牙!!」

炎に包まれた魔装神具の短剣を振り上げ、翼を持つ炎の四足獣を放つ。フォース・カリバーンの光が消えると共に爆発音が響き、クウァルは手応えを覚える。

「クリスタルソード!!」

セルスが杖をかざし、水晶の剣で周囲を囲む。閃光と衝撃が走り、最後に巨大な剣がカーモルの頭上から落ちる。

「フォース・エクスカリバー!」

そしてトドメのセリュードの一撃。モーションは同じだが、こちらのほう外力が上。一斉攻撃を終えたセリュードたちの鎧はボロボロで、腕や頬は傷だらけ、息も切らしていた。

「どうだ・・・・・・?」

「私たちが持てるだけの一斉攻撃。これが効かなかったら・・・・・・」

「このパターン・・・・・・前にもなかったか?」

気まずそうなクウァルの言葉に、セリュードとセルスが彼と顔を合わせる。突然、発生した凄まじいエネルギーに、セリュード、クウァル、セルスが吹き飛ばされる。

「くっ・・・・・・」

「この感じ・・・・・・まさか・・・・・・」

「さすが。一度、負けただけはあるな・・・・・・」

「魔神装具、魔邪刃。貴様が持っていたのか・・・・・・」

驚いたクウァルが声を上げると、カーモルはニヤリと笑う。

「アポリュオンにはこれの力を目覚めさせるために預かってもらっていたのだよ。おかげで・・・・・・」

直後、魔邪破からとてつもなく邪悪な魔力がほとばしる。

「これほどの力を発揮するようになった」

「ここまで強い邪気を発する・・・・・・魔邪破はもう、浄化できない・・・・・・」

「なら・・・・・・方法はただ一つ!!」

三人は強い目差しで、カーモルと〈魔邪破〉を見る。

「―――破壊する!!」

「やれるものならやってみろ!!」

吼え猛り、向かって来たクウァルをカーモルは迎え撃つ。セリュードはすぐにでも動きたかったが、二本とも最大攻撃を放ったためフォース・カリバーンとフォース・エクスカリバーは消滅しており、再生性の必要があった。

「おりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

クウァルの攻撃を〈魔邪刃〉で受け止めるが、その剣は〈紅蓮鳳凰牙〉。それを砕こうと〈魔邪破〉は邪悪な力を発するが、〈紅蓮鳳凰牙〉の炎に飲み込まれる。

「これしきで壊せると!?」

あざ笑うカーモルは〈魔邪刃〉を振り、〈紅蓮鳳凰牙〉の炎を掻き消す。

「クウァル!離れて!!」

セルスの声の後にクウァルが放れると、無数の火球が当たる。煙が晴れるとカーモルが切りかかり、クウァルの〈紅蓮鳳凰牙〉とぶつかる。その度に〈魔邪刃〉から黒い蛇が飛び出すが、髪疲れる前にクウァルは切り伏せる。しかしそうすれば、カーモルの攻撃に押される。

「そっちの蛇は任せて!」

杖を向けたセルスがフラムランスで蛇を貫く。しかしクウァルに近いため熱による彼へのダメージが心配されるが、それに気付いたのは蛇を貫いた後。しまった、と焦った彼女の考えを読んだのか、クウァルがカーモルと激突しながら叫ぶ。

「こっちは大丈夫だ!セルスは自分のやるべきことに集中してくれ!!」

「・・・・・・簡単にやられるほどやわじゃないもんね、クウァルは!」

クウァルに励まされ、セルスは〈魔邪刃〉の蛇の相当に集中する。フラムランスの高熱が心配されたが、実は〈紅蓮鳳凰牙〉が熱を吸収している。しかしそれを知ってるのはクウァルとセリュードのみで、セルスとディステリアは知らされていない。完全に彼らの連絡ミス。

「ちぃっ・・・・・・こんなことが!!」

押されていることが信じられず呟いた時、〈紅蓮鳳凰牙〉が〈魔邪刃〉を砕いた。

「なっ、バカな・・・・・・アポリュオンが力を引き出した、魔装神具が・・・・・・」

「真に魔装神具の力を引き出すには、持ち手が共に鍛錬しなければならない。それがわからなかった、あんたの落ち度だ」

「ほざいてろ!!」

悪あがきに砕けた〈魔邪刃〉の刀身を実体化させた魔力で補い切りかかる。〈紅蓮鳳凰牙〉で迎え撃つクウァルだが、今度は逆に砕かれた。

「何!?」

「共に鍛錬した使い手が、なんだって!?」

あざ笑い蹴り飛ばす。体勢を崩したクウァルに〈魔邪刃〉を突き立てようと振り上げる。セルスがフレイムランスを飛ばすが、それでも離脱する時間は稼げない。だがそこへ、セリュードがフォース・エクスカリバーとフォース・カリバーンを構えて突っ込む。

「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

右のフォース・エクスカリバーの一撃を左腕で防がれるが、すかさず左のフォース・カリバーンを振る。だが、その攻撃は読まれており、簡単に腕で防がれる。その間にクウァルは後退したが、セリュードにとっては時間稼ぎではなく本気の攻撃を防がれている。それでも彼は焦らず宙返りして蹴りを放ち、仰け反ったカーモルにかかげた両腕を振り下ろす。フォース・エクスカリバーとフォース・カリバーンがカーモルの胴を切るが、

「!!」

ダメージを意に介せず、カーモルは両側から挟み込むように拳を叩き付けようとする。だが、

「クリス・ウォール!!」

「魔神旋風拳!!」

セルスが作り出した水晶の壁と、クウァルが体を回転させて叩き込んだ拳圧がそれらを防ぐ。

「!?」

「サンキュー、二人とも!!」

セリュードはそのまま突っ込むが、カーモルの頭部が獣のそれに変化していたことに気付く。開きかけた口にはエネルギーが溜まっており、今の状況では回避は難しい。両側から肥大化した拳が襲いかかった時に気付くべきだった。

「(なら・・・・・・!!)」

両腕の剣先をカーモルに向け、わずかに足に触れた床を蹴る。

「リヒト・ラッシュ!!」

両手の剣の連続攻撃がカーモルの吐き出した光線を切り刻み、防ぎきる。だがその先に見たのは、巨大化したカーモルに、その腕に捕まったクウァルと、それを助け出そうとしているセルスだった。

「クウァル!セルス!」

向かおうとしたセリュードに、「来るな!!」とクウァルが叫ぶ。

「俺のことは気にするな!攻め続けろ!」

だが、二人を気にせずにはいられない。カーモルを確実に仕留めるためにセリュードの切り札を使うには、攻撃範囲から二人が離れていなければならなかった。

「く・・・・・・」

なら、セリュードが取るべき行動は決まっている。助走をつけてのジャンプでカーモルの肩を切り付け、クウァルを解放する。だがその直後、カーモルの右腕がセリュードを襲う。

「・・・・・・!?」

「セリュード!!」

とっさに両腕の剣で防御するが、逃れたクウァルが着地した直後にセリュードが壁に叩き付けられる。しかし、その腕が吹き飛ばされる。頭から血を流し、いつもからは想像できないほど鋭い視線でカーモルを睨んでおり、クウァルとセルスは思わず寒気を感じた。

「―――っ!!」

カーモルも寒気で動けずにいると、セリュードが砕けた壁から歩き出す。砕けたフォース・エクスカリバーとフォース・カリバーンがセリュードの魔力を吸って、刀身を再生させる。黙ったまま二本の剣を構え、そして駆け出す。

「真空断絶破!!」

フォース・エクスカリバーを振って発生させた巨大な竜巻がカーモルを捕らえ、その風に乗ったセリュードが周りから斬撃を飛ばす。

「なぁんのおおおおおおおっ!!!!」

四方八方から来る全ての攻撃を叩き落とし、竜巻の真上から切りかかったセリュードを迎え撃つ。

「でやああああああっ!!!」

一つになった剣をセリュードが振り下ろすが、真っ向から受け止められる。

「力の差を思い知るといい!!魔導変化・レベル5!!」

カーモルの背中に翼が生え、腕がさらに大きくなり、セリュードの剣を押し返す。どんなに力を入れても、押し返される。

「ぐ・・・・・・!!」

「ハハハハハハァァァァァァアアアアア!!!」

「クウァル!」

「おう!」

セルスに声をかけられ頷くと、杖を構えた彼女の前に立つ。

「フェアリー・ブースト!」攻撃力上昇の補助魔法がクウァルにかかり、光に包まれることで全身の力が一時的に増す。深く曲げた足で床を蹴り、カーモルに向けて全力疾走。さらに足のばねを最大限発揮し、カーモルの腹に渾身の一撃を叩き込む。

「ごっ―――!?」

呻き声と共にわずかによろめく。カーモルの両腕にひびが入ると、徐々にセリュードが押し返し始めた。そしてクウァルが離脱したのを察すると、切り札を発動する。

「フォース―――クラドホルグ!!!」

エクスカリバーとカリバーンの名の由来となった光の剣。魔力で生成された二つの剣を一つにする、セリュードが身につけた技の最終奥義がカーモルを両断した。

「・・・・・・ッ!!」

両側に倒れたカーモルは体内のマナが暴走し、爆発を起こした。吹き飛ばされたセリュードはクウァルに受け止められる。

「・・・・・・大丈夫か?」

「なんとか。お前は・・・・・・」

「・・・・・・俺も同じようなものだ」

クウァルが後ろに座り込むと、二人の怪我を心配したセルスがかけ寄ってきた。

「・・・・・・にしてもすごいな。まだ技を隠していたなんて・・・・・・」

「いや・・・・・・あれは・・・・・・」

答えるセリュードは、息も絶え絶えだった。

「えっ、じゃあ新しく作ったのか!?あんな土壇場で新しい技を作るなんて・・・・・・」

それはクウァルの勘違いだが、それを説明するほどの余力は残っていなかった。

「そんな・・・・・・ことより・・・・・・ディステリアの応援・・・・・・を・・・・・・」

膝を折ったセリュードに、「大丈夫!?」とセルスが駆け寄る。

「ひどい怪我。これじゃあ、応援に行っても・・・・・・」

「足手まといか・・・・・・。くそっ・・・・・・」

応急処置の治癒術を受けながら、セリュードは悔しそうに呟いた。



                      ―※*※―



「―――エンシェント・クロス!!」

足元に現れた光の刃をジャンプでかわし、天魔剣を振り下ろして迎え撃つ。あれから他の攻撃と共に何度もくらっていたので、次第についてこられるようになっていた。

「さすが、〈天魔の具足〉に選ばれただけのことはある。だが・・・・・・」

ソウセツが少し強く集中すると、光が強くなり天魔剣の刀身が中央から折れてしまった。

「なっ・・・・・・」

「そこだ!!」

叫んだソウセツが腕を勢いよく上げると、大岩ほどの火の玉がいくつも降ってきた。

「何!?うわぁあああっ!!」

天魔剣が砕かれたことに動揺していたディステリアは、かわすこともできずくらってしまった。

「なんだ、あっけないものだな。私も買い被りすぎたという訳か・・・・・・」

失望するように溜め息をつくソウセツだが、煙の中をよく見ると人影がある。その影は紛れもなくディステリアで、手に持っている天魔剣は刀身が元に戻っていた。

「ほう・・・・・・」

興味深そうに目を細めるソウセツに対し、ディステリアは息を切らせる。

「休む暇など与えん!!」

ソウセツの容赦ない攻撃に、ディステリアは逃げるのが精一杯。飛んでくる光弾をかわしながら、目の前に飛んできた光弾を右の剣で弾き、残りをかわしながらソウセツに向かって行く。鎧も左腕の天魔剣も砕かれていくが、即座にそれを修復して切りかかる。だが、ソウセツはディステリアの後ろに瞬間移動する。

「!!」

当たる寸前に両腕の剣で受け止め、力を込めた両腕を同時に振ってソウセツを押し返す。すかさず両腕を振り下ろすと、光と闇両属性の魔力が斬撃となって放たれる。

「う・・・・・・お・・・・・・!?」

斬撃に押されたソウセツはそのまま壁にぶつかった。崩れた壁が落ちると、ディステリアは自分の持つ二本の天魔剣を見つめた。

「これは・・・・・・これも、この剣の持つ能力なのか・・・・・・?」

その時、崩れた壁の方からすさまじいプレッシャーを感じ、反射的にそのほうを見た。次の瞬間、あらゆる方向からディステリアに風が流れる。危険を感じたが、プレッシャーのせいか体が動かない。

「(まずい・・・・・・)」

「乱れし刃は十字に交わり、荒れ狂う刃は凶器とならん・・・・・・」

動けないのならせめて、と両腕の天魔剣で切り払おうとする。しかし、簡単に捌けるほど安い数ではなかった。

「グランドクロス!!」

真空の十字が入る範囲全てに乱気流が吹き荒れ、真空の刃がディステリアを襲った。

「があああああああっ!!!」



                      ―※*※―



その頃、〈名も無き島〉。あれから数時間が経っているが、情報の混乱はまだ続いていた。加えて数を減らす様子のないディゼアに各地は消耗戦を強いられていた。

「ラリストン卿、現場到着!戦闘開始!」

「ウォーン卿、現場到着!戦闘開始!」

「アシパトル卿、ブルータス将軍、現場到着!戦闘開始!」

「ベルフォード卿、戦闘終了!近くの救援に行けますか!?」

「ウィラトン卿、現場到着!戦闘開始!」

「モリス卿、そちらにウェント将軍が向かっています!持ちそうですか?」

「ブリフォア卿!そちらの部隊は撤退命令が出ています!気を見計らって離脱してください!」

「主戦場はどうなっている!?」

部屋に入って来たパラケルが声を上げると、手の空いたオペレートスタッフが顔を上げる。

「幹部、隊長と思わしき者を撃破し続けています。しかし、敵の勢いは止まりません!」

「司令塔を叩いてもまだ侵攻を続けるのか・・・・・・」

パラケルはそれを、『新たな命令があるまで、あらかじめ入力された命令を続ける』ようにプログラミングされているものと予想していた。

「シャロマ卿、応援を送ります!一時撤退を!」

「オリンポスの海上部隊、誰か応援に行けるところはありませんか!?」

《海上部隊とはなんだ!?こっちは軍隊に入ったわけじゃないんだぞ!》

「す、すいません・・・・・・」

通信の向こうで怒られ、オペレーターが縮こまる。

「フェルナン卿・・・・・・えっ、よろしいのですか!?」

別の女性オペレーターが驚くと、「どうした!?」とパラケルが駆けつける。

「ベルフォード卿が、協力者と共に加勢しようと・・・・・・」

「あいつらが!?」

それなら願ってもないこと。協力者の戦闘力は計り知れない。だが、パラケルは。

「却下だ。彼女たちは自分たちの戦いを十分戦った。これは俺たちの戦いだ、俺たちで決着をつける」

「わかりました。そう回答しておきます」

頷いたオペレーターが返信していると、パラケルは部屋を後にする。向かったのは、ブレイティア総隊長のいる部屋。

「クトゥリア!各地の政府との交渉はどうなって・・・・・・」

そこで言葉をなくす。そこにはいくつものテレビ電話が『SOUND ONLY』の状態になっていたが、中央に座っているはずのクトゥリアの姿はなかった。

「ど、どこに行ったんだ・・・・・・」

ハッと我に返るとテレビ電話に駆け寄る。『SOUND ONLY』の文字が移って入るものの、どのテレビ電話もつながっていなかった。

「つながってない?どういうことだ・・・・・・?」



                      ―※*※―



体を切られる度にモヤに変化し、切られた部位を再生する。モヤへの変化と実体化を繰り返していたデズモルートは、体に限界が近付いていた。

「くっ・・・・・・」

「おおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

ブリューナクで突き飛ばし、振り上げたアンサラーを叩きつける。今度は変化が間に合わず、とうとう避けられない一撃を受けた。

「(これまでか・・・・・・!!)」

地面に落下し、爆発を起こす。空中でそれを見届けたルーグは、島中央部の城に目をやる。

「あとはディステリアたちか・・・・・・」

そんな時、何かが側を高速で通り過ぎる。一瞬敵かと思ったが、素通りされたためすぐその可能性は消えた。だが、

「(どこかで見たような・・・・・・)」

翼が付いた飛行用の道具を腕に着けた男。その顔に見覚えがあったが、すぐに思い出せなかった。






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