第40話「黒幕を捕まえろ」
借り物競走終了直後。
校庭ざわざわ。
勇者と魔王、なぜか満足げ。
麗奈。
真ん中に立ったまま。
ぷるぷる震えている。
勇者「……麗奈?」
魔王「様子が」
麗奈、ゆっくり顔を上げる。
にっこり。
怖い笑顔。
「ねえ」
梓、遠くから手を振る。
「いやー盛り上がったね!」
ピキッ。
何かが切れた音。
◆爆発
「梓ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
全校生徒、振り向く。
梓「来た」
麗奈、全力疾走。
スカート翻しながら本気。
勇者「速っ」
魔王「本気だな」
◆逃げる黒幕
梓も全力。
「ちょっと待って!?体育祭だよ!?」
麗奈「誰があんな紙入れたのよ!!」
梓「偶然偶然!」
麗奈「絶対嘘!!」
観客、爆笑。
実況状態。
「追いかけっこ始まったぞ!」
「第三競技!」
◆校庭カオス
梓、机の間を縫う。
麗奈、ショートカットで追う。
距離縮まる。
梓「待って話せばわかる!」
麗奈「わかりたくない!!」
勇者、呆然。
「え、俺のせい?」
魔王「違う。八割あいつだ」
◆捕獲
ついに。
梓の腕を掴む。
ガシッ。
梓「うわー捕まったー」
麗奈、肩で息。
顔、まだ赤い。
「どういうことか説明しなさい」
梓、ニヤ。
「青春演出?」
麗奈「演出するな!!」
◆核心
梓、少しだけ真面目な目。
「でもさ」
麗奈、睨む。
「嫌だった?」
一瞬。
麗奈、詰まる。
言葉が止まる。
思い出す。
二人同時に手を伸ばしてきた瞬間。
心臓の音。
視線。
(嫌……では)
梓、じっと見る。
「ほら」
麗奈「うるさい!!」
再び赤面。
◆遠くから
勇者「怒ってるよな?」
魔王「怒っている」
勇者「俺、嫌われた?」
魔王「それはない」
勇者「なんで分かるんだよ」
魔王、少しだけ笑う。
「顔を見ろ」
勇者、見る。
麗奈。
怒ってる。
でも。
泣いてない。
逃げてもいない。
勇者、ほっとする。
◆最後
麗奈、梓を解放。
「次やったら許さないから」
梓「はーい」
小声で。
「でも面白かったでしょ?」
麗奈、背を向ける。
「……ちょっとだけ」
梓、勝利顔。




