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勇者vs魔王vsJK、地球の高校で最強(?)決定戦  作者: ムーンキャット


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32/41

第32話「見てしまった背中」

◆放課後・公園

夕暮れ。

麗奈はコンビニ帰り。

ふと聞こえる足音。

ダッ、ダッ、ダッ――

「……え?」

公園のトラック。

全力で走る影。

勇者。

汗だく。

息を切らしながらも止まらない。

「くそ……もう一周!」

麗奈、木の陰からこっそり見る。

(え、なにあれ)

勇者は腕時計を見る。

「タイム遅ぇ……!」

再びスタート。

本気の顔。

学校で見せる笑顔じゃない。

真剣。

必死。

転びそうになっても踏ん張る。

「負けねぇからな……」

小さな呟き。

麗奈の心臓が跳ねる。

(誰に言ってるのよ……)

分かってる。

自分だ。

勇者は気づかない。

最後のダッシュ。

ゴール。

膝に手をつく。

空を見上げる。

「……ちゃんと、見ててくれよ」

麗奈、顔が熱くなる。

(ばか)

でも、少し嬉しい。

そっとその場を離れる。

◆別の日・夜道

塾帰り。

静かな住宅街。

庭先から物音。

シャッ、シャッ。

視線を向ける。

魔王。

月明かりの下。

無言でスクワット。

無駄にフォームが完璧。

(え……)

さらに腕立て。

さらにダッシュ。

息は荒いのに、顔は静か。

だが。

ぽつり。

「……我は魔王」

止まる。

「逃げぬ」

一瞬、表情が揺れる。

「……勝ち取る」

その声は小さい。

でも本気。

麗奈、胸がぎゅっとなる。

(なんで)

(なんでそんな顔するのよ)

魔王はふと空を見る。

「勇者……」

ライバルの名を口にする。

少しだけ笑う。

「来い」

麗奈、動けない。

(……ずるい)

学校では余裕ぶってるくせに。

一人の時はこんなに真面目で。

その時。

魔王、ふと視線を感じる。

振り向く。

麗奈と目が合う。

沈黙。

三秒。

魔王、固まる。

(見られた)

(終わった)

(威厳が)

麗奈、ゆっくり出てくる。

「……なにしてるの」

魔王、静かに立つ。

「散歩だ」

汗だく。

麗奈、じっと見る。

「へぇ」

間。

小さく笑う。

「頑張ってるんだ」

魔王、目を逸らす。

「当然だ」

「負けられぬ」

麗奈、少し赤くなる。

「……無理しないでよ」

その一言。

魔王の心臓が跳ねる。

「我は――」

言いかけて止まる。

麗奈、少しだけ優しく。

「ちゃんと見てるから」

魔王、完全停止。

(見て……いる?)

心の中で爆発。

(落ち着け我)

(動揺するな)

だが耳まで赤い。

麗奈はくるりと背を向ける。

「じゃあね」

去っていく。

魔王、一人。

夜空を見上げる。

「……反則だ」

小さく呟く。

そしてもう一度、スクワット開始。

さっきより気合い二倍。

翌日。

教室。

勇者と魔王。

なぜかどちらも顔が引き締まっている。

麗奈、二人を見て少しだけ微笑む。

三バカヒソヒソ。

「なんか空気違う」

「フラグ立ってる」

「体育祭やばい」

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