第26話「最強の女」
教室。
魔王と勇者、バチバチ。
「望むところだ」
「逃げんなよ魔王」
空気が震える。
三バカは机の陰。
「始まるぞ……」
「麗奈争奪戦……」
「歴史に残る戦いだ……」
その瞬間。
バンッ!!!
教室のドアが勢いよく閉まる。
全員ビクッ。
ゆっくり振り向く二人。
そこに立っているのは――
麗奈。
無言。
静か。
しかし目が怖い。
「……あのさ」
低い声。
勇者と魔王、同時に背筋が伸びる。
「私を」
一歩。
「勝手に」
二歩。
「物みたいに」
三歩。
机に手をつく。
ドン。
「扱うなぁぁぁぁ!!」
ドゴォォォン!!
なぜか窓ガラスが震える。
三バカ。
「覇王色だ……」
「魔王より強い」
「世界の真の支配者」
勇者、冷や汗。
「いや、あれはその……」
魔王、内心。
(我、魔界より恐ろしい存在を知る)
麗奈、腕組み。
「恋愛を戦いにするな」
「張り合うな」
「勝手に決めるな」
ズバズバ刺さる。
勇者「すみませんでした」
魔王「……すまぬ」
教室、完全静寂。
麗奈は深呼吸。
そして少しだけ頬を赤らめる。
「……私は私の意思で決めるの」
その一言。
勇者、真顔になる。
魔王も静かに頷く。
三バカ、小声。
「これは名言」
「正論パンチ」
「ラスボスは麗奈だった」
麗奈、二人を睨む。
「分かった?」
勇者&魔王、同時に。
「はい」
完全敗北。
麗奈は鞄を持つ。
「今日は解散。頭冷やして」
スタスタと教室を出ていく。
残された二人。
沈黙。
勇者、ポツリ。
「……強ぇな」
魔王、腕を組む。
「うむ」
少し間。
勇者「でもよ」
魔王「うむ」
勇者、ニヤリ。
「それでも俺は譲らねぇけどな」
魔王、静かに笑う。
「我もだ」
三バカ。
「懲りてねぇ!!」
「学習能力ゼロ!!」
「第二ラウンド確定!!」
――廊下の向こう。
麗奈は一人歩きながら。
小さく呟く。
「……もう」
ほんの少し笑う。
「なんなのよ、あの二人」
顔、真っ赤。




