第25話「魔王、思わず告白する」
放課後。
教室には勇者・麗奈・魔王の三人。
「はい、今日はここまで」
麗奈がノートを閉じる。
勇者が伸びをする。
「はー、疲れた。サンキュな、麗奈」
自然な笑顔。
自然な距離。
自然な空気。
――その瞬間。
魔王の胸が、ぎゅっと締めつけられる。
(……まただ)
(このざわめきは何だ)
勇者がふと麗奈に顔を近づける。
「なあ、明日も教えてくれよ」
「べ、別にいいけど……」
そのやり取りを見た瞬間。
ドクン。
魔王の鼓動が跳ねる。
(……なるほど)
(理解したぞ)
目を閉じる。
内なる声が響く。
(我は魔王。魔界を統べし者)
(だが――)
(我は……)
目を開く。
ギラリ。
(麗奈を……他の者に渡したくないのだ)
教室の空気が一瞬、震える。
三バカ(遠巻き観察中)
「出たぞ……」
「覚醒モードだ」
「世界やばい」
魔王、心の中で宣言。
(そうか……これが……)
(独占欲……否)
(――恋か)
一人、静かに頷く。
(認めよう)
(我は麗奈を望む)
勇者が背中を向け、帰ろうとする。
その背に向かって、魔王は静かに呟く。
「勇者」
「ん?」
ゆっくりと立ち上がる魔王。
黒いオーラがふわりと立つ。
だが顔はやけに真剣。
「麗奈は――」
一瞬ためる。
教室全員固まる。
「我のものだ」
静寂。
勇者「は?」
麗奈「はぁ!?」
三バカ「言ったァァァ!!」
魔王、腕を組む。
「渡すつもりはない」
(言った……我は言ったぞ……)
(うわあああああああああああ!!)
内心大混乱。
(何を言っておる我ァァァ!!)
だが外見は堂々。
勇者、数秒フリーズ。
そしてニヤリ。
「面白ぇじゃねぇか」
麗奈、顔真っ赤。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!私は物じゃない!!」
魔王、内心。
(しまった……)
(怒らせたか……)
(我、滅亡の危機)
三バカ。
「これ完全に宣戦布告」
「青春戦争開幕」
「世界より先に教室が終わる」
勇者が一歩前に出る。
「じゃあ正々堂々いくか、魔王」
魔王、目を細める。
「望むところだ」
バチバチバチ。
火花散る視線。
麗奈、頭を抱える。
「なんでこうなるのよ……」




