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勇者vs魔王vsJK、地球の高校で最強(?)決定戦  作者: ムーンキャット


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23/41

第23話 「静寂の図書室」

次の日の昼休み。

図書室。

静寂。

山田次郎は入口付近で腕を組んで立っている。

(落ち着け)

(これはただの学習会だ)

(我は魔王)

(断じて浮き足立ってなどいない)

キョロッ。

廊下を見る。

(勇者は……いないな?)

さらに窓の外も確認。

(よし、勇者は見ていない)

何と戦っているのか自分でも分からない。

ガラッ。

「ごめん待った?」

藤沢麗奈。

柔らかい声。

魔王の心臓、爆発。

(来た)

(近い)

(思ったより近い)

「問題ない」

声が少し裏返る。

自分で驚く。

(落ち着け我)

向かい合わせに座る。

机が小さい。

距離が近い。

(近い)

(図書室はなぜこんなに静かだ)

(心音が響くではないか)

麗奈、ノートを広げる。

「ここ教えてほしくて」

身を乗り出す。

距離、さらに縮む。

魔王の思考、崩壊。

(ち、近い!!)

(触れるぞ!?)

(いや触れてはいない!冷静になれ!)

説明しようとするが、声が低くなる。

「こ、ここは関係代名詞で」

麗奈、真剣に聞く。

「へぇー」

顔が近い。

目が合う。

数秒。

(我は魔王)

(魔王だ)

(女子と目が合っただけで動揺する存在ではない)

だが視線を逸らす。

完全敗北。

麗奈、くすっと笑う。

「山田くんさ」

嫌な予感。

「なんか今日そわそわしてない?」

心臓停止。

(見抜かれた!?)

「していない」

即答。

だがキョロッと廊下を見る。

麗奈「何見てるの?」

「……勇者」

「え?」

「いや」

しまった。

麗奈、首を傾げる。

「神崎くん?」

魔王、内心。

(なぜ名を出した我)

(愚かか)

慌てて取り繕う。

「奴が見ていないか確認しただけだ」

「何で?」

「……」

言えない。

(図書室で二人きりなど知られたら)

(挑発される)

(いや違う)

(何が違う?)

混乱。

麗奈、少し真顔になる。

「山田くんってさ」

ドクン。

「好きな人いるの?」

完全停止。

時間が止まる。

(来た)

(最終試練)

(これは罠だ)

(答えを誤れば魔界が滅ぶ)

心の中で叫ぶ。

(我は魔王!魔王だ!!)

(恋など弱さ!断じてあり得ぬ!!)

だが。

もし。

ここで。

「いる」と言ったら?

麗奈が困った顔をする未来が一瞬よぎる。

胸が締め付けられる。

(それは……嫌だ)

即答。

「いない」

言った瞬間。

なぜか少し胸が痛む。

麗奈。

一瞬、ほんの少しだけ。

安心した顔。

それを見た瞬間。

魔王、内心大爆発。

(なぜ安堵する!?)

(なぜだ!!)

(我は魔王!!)

視線が泳ぐ。

また廊下を確認。

(勇者はいないな!?)

誰もいない。

だが落ち着かない。

麗奈、ふふっと笑う。

「そっか」

「……何だ」

「いや、なんでもない」

その笑顔。

破壊力高すぎ。

魔王、完全に顔が赤い。

(熱い)

(これは黒炎ではない)

(別の炎だ)

その頃――

校舎外。

自販機前。

神崎凌。

御手洗梓が言う。

「今頃、図書室で二人きりだよ」

凌、止まる。

「……二人?」

「うん」

沈黙。

凌、無意識に図書室の窓を見る。

かすかに二人の影。

胸がざわつく。

(何だ、この感覚)

(魔王が調子に乗っているのが気に入らないだけだ)

だが視線は逸らせない。

図書室。

麗奈が笑う。

次郎の心臓が跳ねる。

(我は魔王)

(魔王だ)

(断じて……)

「山田くん?」

「……何だ」

「顔赤いよ?」

終わった。

「暑いだけだ」

即答。

冬なのに。

麗奈、笑う。

「変なの」

魔王、内心。

(厄介だ)

(これは非常に厄介だ)

(だが――)

ほんの少し。

ほんの少しだけ。

嫌ではない。

その自覚が。

何より恐ろしい。

窓の外。

勇者の視線。

三角形が、静かに歪み始める。

――続く。

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