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勇者vs魔王vsJK、地球の高校で最強(?)決定戦  作者: ムーンキャット


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第2話 勇者、教室へ

「ねえ凌、ほんとに大丈夫?」

 隣を歩く少女――御手洗梓が、不審者を見る目でこちらを覗き込んでくる。

「何がだ」

「さっきからずっとキョロキョロしてるし、信号でいきなり立ち止まるし」

「赤い光が出ていた」

「だから止まるの!」

「罠ではないのか?」

「違うよ!?」

 この世界は妙な仕掛けが多すぎる。

 光で進行を制御するとは……高度な文明だ。

 俺は油断なく周囲を観察する。

 鉄の箱(車)が高速で走り抜け、制服を着た若者が群れを成して歩いている。

「凌ってさ」

 梓がふと、横目で言った。

「昨日までそんなキャラだったっけ?」

「昨日?」

「うん。なんか今日、ちょっと……別人みたい」

 ぎくり、と胸が鳴る。

 別人。

 間違ってはいない。

「人は一晩で強くなることもある」

「いや急に何」

 校門が見えてきた。

 巨大な建物。三階建て。広い敷地。

「ここが……学校か」

「そうだよ? 二年も通ってるよね?」

「二年……?」

 長期滞在型の修行場か。

 なるほど、面白い。

 校門をくぐると、周囲から視線を感じた。

「おい、神崎だ」

「今日来たんだ」

「また地味だなー」

 ……?

 なぜか弱者を見る目だ。

 俺は軽く拳を握る。

 今の身体では勝てぬかもしれぬ。

 だが、魂は勇者だ。

「ほら行くよ」

 梓に引っ張られ、建物の中へ入る。

 廊下。教室。扉。

 梓が扉を開けた。

「おはよー」

 教室内が一斉にざわめく。

 数十人の男女。

 まるで若き戦士たちの集会だ。

 俺は足を踏み入れる。

 ――瞬間。

 空気が変わった。

 視線が一つ、強く刺さる。

 教室の窓際。

 長い黒髪の少女が、静かにこちらを見ていた。

 凛とした目。

 冷静な視線。

 無駄のない姿勢。

 ――強い。

 本能が告げる。

 この女、只者ではない。

 俺は自然と歩み寄る。

「凌? どこ行くの?」

 梓の声を無視し、彼女の前に立つ。

「貴様」

 教室が静まり返る。

「……何?」

 少女は眉をひそめる。

「名を名乗れ」

「は?」

「俺は神――」

 危ない。

「……凌だ」

 少女は数秒こちらを見つめ、淡々と言う。

「藤沢麗奈」

 なるほど。

「藤沢」

 俺は腕を組む。

「貴様、強いな」

 教室が凍る。

「……何の話?」

「隠すな。目を見れば分かる」

 俺は真剣だ。

 だが周囲はざわつき始めた。

「神崎どうした?」

「ついに壊れた?」

「陰キャが急にイキり出したぞ」

 陰キャとは何だ。

 その時、前方の扉が開いた。

「席につけー」

 教師らしき男が入ってくる。

「今日は転校生がいる」

 教室がざわつく。

 転校生?

 新たな戦士か。

「入れ」

 扉が開く。

 一人の男子生徒が入ってきた。

 小柄。

 猫背。

 弱そうだ。

 教室からひそひそ声。

「…や、山田……次郎だ…………」

 声も小さい。

 ……だが。

 俺は感じた。

 ほんの一瞬。

 視線が合った。

 その目の奥に。

 闇が、あった。

 次の瞬間、山田はすぐに目を逸らす。

 ただの弱者の顔に戻る。

 気のせいか?

 いや。

 あの一瞬。

 確かに。

 戦場で感じた圧。

「……面白い」

 俺は小さく呟いた。

 この“学校”。

 どうやら、ただの修行場ではないらしい。

 俺の知らぬ強者が、いる。

 そしてそれは――

 俺の宿命に、深く関わっている気がした。

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