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サッカー未経験の父親が少年チームのコーチになったら、想像以上にドラマがあった  作者: 岩田 ヒロ


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7/7

練習試合

お父さんコーチたちに勧誘されて、コーチになったユースケのパパ。お父さんコーチの奮闘と奇跡のプレーを魅せる子供たちの熱い戦い。第7話、練習試合

 十月下旬、今日は横浜SCと港北FCの練習試合だ。朝からお互いのコーチたちが集まり、ピッチを作る。


 村上コーチが横浜SCの選手を集めた。

「今日から4-2-3-1のシステム、フォーメーションでいく」とコーチ会で自分に説明したポジションを選手に説明した。選手たちは明らかに緊張しているけど、目が輝いている。


 トップ:

 トオル


 ミッドフィールダ:

 ユースケ、ヒョーガ、ユーメイ


 ボランチ:

 ワタル、マオ


 バックス:

 ゲン、ムラッチョ、マサト、リクト


 キーパー:

 アキ


 サブ:

 リュージ、ソウ、ナオヤ


「サブの選手も全員交代で出すから。今日は20分、四本」と村上コーチが言うとサブの選手もうれしそうな顔をした。


「それから石川コーチは主審、浜田コーチは副審お願いしますね」

 ついに主審デビューた。練習試合だから黒い審判服はいらないが、ホイッスル、ストップウォッチ付きの時計を持って、ポケットにはイエローカード、レッドカードを入れた。


 試合開始の挨拶をして、コイントスし、キックオフだ。

「ピー」

 気持ちよくホイッスルが吹けた。


 横浜SCのキックオフで始まる。センターサークルのトオルがチョン蹴りし、ヒョーガが左のユースケにパス。敵の選手がすぐにユースケに詰める。


 少年サッカーとは言え、ピッチの中で、選手たちと走り回るのは初めての経験だ。目の前の選手たちの息遣い、掛け声、ピッチに響く足音、全てが新鮮だ。


 タッチラインからボールが出ると、副審がフラッグを上げる。スローインするチームのフォワード方向にフラッグを傾ける。これがラグビーのラインアウトとは違うところ。ラグビーではフラッグを上げたまま、反対の手でスローインするチームのバックス側に腕をあげるのだ。


 スローインではピッチの外から両足をついて、両手でボールを投げたかをチェックする。少年サッカーではクィックスタートしようと焦って投げるとかなりの確率で片足が上がり、ファールスローになる。


 横浜SCも港北FCもボランティアコーチからなるチームで、実力はほぼ互角。攻めたり、守ったりとなかなかいい試合だ。


 村上コーチが期待したとおり、ポランチのマオやワタルがボールを奪うとトップ下のヒョーガにボールをパス。ヒョーガが首を左右に振って、敵の少ない側のウイングにパス。


 ウィングと敵のサイドバックの攻防が始まる。ウィングがトリプルで抜くか、クロスを上げるか?


 チャレンジするかは選手の判断、あるいはピッチ内のチームメンバー声だ。

「上げろ!」

「突っ込め!」

「ヘイ!パス!」とかピッチの中は選手たちたちの声がよく聞こえる。


 守っているサイドバックも抜かれまいと慎重に相手選手とボールに集中する。フェイントに引っかからずにボールを奪えればよいが、ボールにいけずに足をかけてしまうこともある。その時は主審がすかさずホイッスルを吹き、ファールを取らないといけない。


 なかなかいい試合だった。


 やべ、初めての審判だったので時計を見ることを忘れていた。時計を見ると21分を過ぎていた。20分を過ぎている。すぐにホイッスルを吹いた。


 選手たちと共にベンチに戻る。20分はあっという間だ。選手たちが水分補給してる時、村上コーチが選手に声をかける。そして、村上コーチが、

「石川コーチ、お疲れ様でした。初めてのわりにはスムーズな試合進行でした。だけど一点。ハーフタイムのホイッスルは時間ぴったりに吹かなくていいです。ボールがピッチから出るとか、サイドチェンジのタイミングで吹くのが良いです。攻撃中に無理に試合は止めない。アディショナルタイムの計測は主審に任されてますので」とアドバイスをくれた。そうか、そんなことはルールブックには書いていなかった。


 5分が過ぎて、二本目のスタートだ。

「練習試合だからハーフタイムの選手交代は審判に申請しなくてよいことになってるで、次はムラッチョが下がって、リュージかセンターバック入って。マサトとリュージで敵の侵入とクロスボール止めてな!」


 自分の息子を下げ、リュージを出す。さすがだな、村上コーチはと思った。



 二本目のキックオフのホイッスルを吹く。今度は港北FCからのキックオフだ。キックオフ直後、いきなりハーフウエーライン付近からロングシュートを打ってきた。リュージがヘディングで返すと思った瞬間、リュージの頭が。


 頭が下がって、ボールをよけた。。。そして、そのままボールはゴールマウスに吸い込まれた。

「ピー、港北FCのゴール」とホイッスルを吹いた。


 横浜SCのメンバーが、

「リュージ、よけちゃ、ダメ、ダメ」と言って、笑いながらリュージに集まる。


「リュージ、あそこはヘディングする場面!次からヘディングね」と村上コーチが言う。練習試合なので穏やかな雰囲気である。一方の港北FCは大喜びだ。


「ちょっと怖くてよけちやった。次はオッケー、ヘディングしまーす」とリュージが笑って答えた。


 ゴールが決まったので、横浜SCのキックオフだ。ホイッスルを短く吹く。トオルのチョン蹴りからヒョーガがドリブル突破しようとする。右に行くと見せかけ、左に行く。ナイスなフェイントだ。相手のペナルティエリア手前で敵に阻まれ、右のユーメイにパス。


 ユーメイがドリブルで敵のサイドバックを抜き、ミドルシュートを打つ。しかしキーパーがキャッチ。


「ユーメイ、ナイスシュート」と村上コーチとベンチのメンバーが声をかける。


 キーパーがボールを大きく蹴り上げる。ハーフウェーラインまで飛んだ、そこにはマオが待っている。ボールを優しくトラップした。練習どおりだ。敵の二人がマオに襲いかかる。マオは充分敵を惹きつけて、ワタルにパスする。


 こんな近くで見せてもらったけど、みんなうまいんだな!



 三本目はムラッチョが戻り、リュージがアウト。ユースケのかわりにナオヤが左のウイングに入った。


 早速ナオヤにチャンスが来た。マオが左にキラーバスを出す。高速で転がるボールはゴールラインを割ると思ったが、ナオヤが追いついてボールを止めた。さすがスーパーカー。ベンチからもどよめきが湧いた。


 しかし、ボールを止めたナオヤはそのまま止まらずにナオヤ自身ががゴールラインを割っていく。ボールは止められたのだが、自分は止められなかった。

「えー」とベンチから残念な声。

 止まったボールは相手のサイドバックにあっさりと取られ、敵の攻撃が始まる。村上コーチとサブのメンバーが頭を抱えていた。


「ナオヤ、次はボールと一緒にナオヤも止まろうね!」と村上コーチが楽しそうに叫んだ。ナオヤが笑って、親指を立てていた。


 敵の攻撃が始まった。ミドルシュートが飛ぶ。今度はマサトの正面だ。ボールはマサトのオデコでなく、顔面にヒット。ゴールは防いだがマサトが痛そうに顔面をおさえている。ヒョーガがクリアボールをタッチの外に蹴り出す。ホイッスルを短く吹いた。


 チームメンバーがマサトを囲む。ムラツチョが、

「コーチ、マサトが鼻血」と村上コーチに大声で言う。

 村上コーチが、

「主審、選手交代お願いします」、と言うので、ピピッとホイッスルを吹いて、スローインを止める。 

「マサトに変わって、リュージ」


 鼻血のマサトがピッチに出るとサブのユースケとソウが薬箱を持って、マサトを介抱しに走る。


 リュージがピッチに入ったので、ホイッスルを吹いてスローインのリスタートを指示した。



 四本目はヒョーガの代わりにソウが入った。

「ソウ、どんどんシュート打ってけ」と村上コーチが声をかけた。

 港北FCもサブに入れ替えてきた。元気のいい選手たちが走り回る。どちらも攻めあぐねているのかロングパスの応酬が続いた。

「ダメ、ダメ。雑になってるよ!もっとパスを短くつないで、ドリブルでえぐろう」と村上コーチが言う。


 するとボールを持ったワタルがドリブル突破し、トップ下のソウにパス。


 ソウがトラップし、ゴールに向いた。ほぼゴール真正面のペナルティエリアの少し手前だ。


 左足でゴール右スミ狙ってシュートを打ったが、ボールは左足のアウトをこするように蹴り上げられ、左にカーブしてゴールに飛ぶ。右と思ったキーパーも左に飛んだが間に合わない。


 左スミに決まった。

「ピー、横浜SCのゴール」


 これが村上コーチが言う左のファンタジスタだ!


 この日の練習試合は、20分、四本は1対1で終了した。


 自分の初主審も無事終了。



 家に帰り、晩御飯を食べながらユースケと反省会だ。

「初めて主審したよ。どうだった?」

「まぁ、よかったんじゃない。ケチもつかなかったし」


「最後のソウのシュートはすごかったな!」

「あいつはいつもおいしいとこ持っていくんだよ。俺のサイド攻撃見た?」

「見た、見た。クロスも何度か上げたけど、トオルにはつながなかったな」

「ホントは左サイドで、俺とゲンのオーバーラップとか出来れはいいんだけどね」

「そっか、そっか。今度、サイド攻撃の練習、山下コーチにお願いしとくよ」


 どこまでお父さんなで、どこからコーチなのか難しいなと思いながら、ビールを飲んだ。今日分かったことは、ただの応援でなく、審判やコーチとなって試合を見るとサッカーが10倍面白くなったといこと。


 なんとなくコーチや審判出来そうかなと思ったが、そうはなかなか思い通りにならなかった。


読んでいただき、ありがとうございます。毎週火曜日に続編を投稿する予定です。

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