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サッカー未経験の父親が少年チームのコーチになったら、想像以上にドラマがあった  作者: 岩田 ヒロ


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4/7

誰を試合に出すか?

お父さんコーチたちに勧誘されて、コーチになったユースケのパパ。お父さんコーチの奮闘と奇跡のプレーを魅せる子供たちの熱い戦い。第四話、誰を試合に出すか?

 先ずはカッコからということでサッカーのウェアとシューズを買った。ユースケがコーチはみんなトレ・シューだと言うのでアディダスのトレ・シューとウェアを買った。確かに試合を出るわけではないのでスパイクは不用だ。


 次に村上コーチが貸してくれた公式ルールブックを読んだ。だいたいのルールは知っていることばかりだったが、選手たちに教えるのだから、いい加減ではダメだ。それに小学生の公式戦の主審、副審をするためにはJFA公認の4級審判資格を取らなければいけない。村上コーチや浜田コーチは一発で合格したらしい。ルールブック読んでおけば楽勝と言っていたが、落ちたら恥ずかしい。かなりプレッシャーだ。

 直接フリーキックと間接フリーキックの反則の違いがややこしかった。一応覚えて、ユースケに問題を出した。ハンドは?直接。オフサイドは?間接。押したら?直接。即答だった。

「知らなかったの」と馬鹿にされた。


 金曜日の夜、エンリコのコーチ会に参加した。浜田コーチは仕事が忙しくなかなかコーチ会には参加出来ないらしい。村上コーチから明日の練習メニューの説明を聞いた。山下コーチも明日の練習には参加出来るらしい。

「技術的なアドバイスは適宜お願いしますね」と村上コーチが言うと、山下コーチが了解と答える。

 パス練、リフティング、鳥かご、1対1のボールキープ、コーン・ドリブル、クロスからのシュート、ヘディング練習、ブラジリアン体操、ワンタッチ、ツータッチ縛りのミニゲームなど知らない言葉が飛び交ったが、まぁ、そのうち覚えられるであろう。


 1時間くらいすると、6年担当の高橋コーチと吉田代表が合流してきた。

「いやー、困りました」と高橋コーチ。

「六年のユーキのママが、どうしてうちの子は試合に出れないのかって言って来ました。もっと公平に試合に出れるようにお願いしますって」

「たまにいるんですよ、誰を試合に出すかとか、ポジションのこととか、ゲームの組み立て方とかに口を出してくる親御さんが」と吉田代表。


 そうか、そう言うことを相談する親がいるんだと初めて知った。もし、自分ならなんて答えるであろう。確かに自分も子供の試合の応援に行って、子供が試合に出れないと残念に思うことがあった。でも試合を見てると、あーあの子のほうがうまいなとか、足早いからなとか自分を納得させたりしたことはあった。ユースケには練習頑張れば次は試合出るれるよってなぐさめたりもした。


 今の4年生は14人だから、3人はスタメンから外れることになる。怪我や調子が悪い選手がいれば途中出場のチャンスはあるが、スタメンに選ばれることは選手にとって喜びであり、大きなモチベーションにもなる。低学年の頃のサブの選手たちはベンチにいてもゲームも見ずにサブの選手同士でしゃべったりして、コーチに注意されたりしていたが、高学年となると応援もするが、いつでも途中出場出来るという気持ちをアピールする選手は少なくない。


「今の6年は何人いるんでしたか?」と村上コーチが聞くと、

「16人です。5人はサブなんです。6年になると、選手たちの技量がはっきりしてくるんです。ドリブルがうまい子、足が速い子、ディフェンスがうまくい子。そうするとだいたいポジションが固定されるんですよね。それはいいことで、選手たちもポジションが固定されると連携プレーがしやすいんですよね」

「そうなんですよね、ボールさばきがうまい子とかがはっきりしてくる。経験の長さやセンス、特にシュートのボールの速い子とか、長いパス出せる子とか、はっきりしてきますよね。そうか、ユーキは一年からやってるから、低学年の頃は全員試合出れるように調整してたの知ってるから、高学年になってなんで試合出さないのかって思うのでしようね」と山下コーチ。


「それをいちいち親御さんに説明することは確かに骨が折れる。と言うか説明する義務はないのですけどね。クラブチームで選手が20〜30人もいると何も口出ししないけど、うちみたに20人以下で、コーチたちもボランティアだったりすると相談出来るのでないかとか、コーチの子供を贔屓してるとか言ってくる親がたまにいます」と吉田代表。


「わたしは途中交代は局面を打開出来る選手をサブにとっておいて、後半の途中で交代させるようにしています。今の4年のナオヤ、彼はスーパーカーのように足が速い、だからいつも後半途中で、ユースケと交代させます。相手チームはその速さにビビって守備が乱れます。そうするとチャンスが生まれます。でもナオヤがシュート決めたことないんですけどね」と村上コーチは笑って言う。そして続けて、

「新しく入ったリュージも、まだまだボール蹴れないけれど、今度のゲームで途中出場させようと思ってます。だって、あんなデカい選手がディフェンスやトップ下に入っただけで相手は焦ります。とっても楽しみだと思いませんか?」と村上コーチが面白いことを言った。


「それはいい考えです」と山下コーチと吉田代表が頷いた。

「6年のユーキはそれほど特色がないんですよね。彼を出すと他の選手からも、なんでって空気が流れる可能性もあるんですよね。なんて彼の母親に言うべきだったですかね?」と高橋コーチが苦しそうに言う。

「先週はなんて答えたのですか?と吉田代表が尋ねた。

「まさか、そんなこと言うと想像してなかったので、思わず、試合に勝つためのベスト・メンバーをコーチたちと話し合って決めてます。ユーキもそのうちチャンスはあると思いますよって答えました」

「横浜SCの理念の『楽しくそして勝ちにこだわる』ですからベスト・メンバーで臨むことは間違いでないです。高橋コーチ、この週末、わたしも練習参加しますので、そこでユーキのママが来れば会話しますよ」

「ありがとうございます。代表から言ってもらえると助かります」

「コーチたちは選手たちと練習や試合に集中してください。親御さんの問題やサッカー協会の調整はわたしのほうがなんとかしますから」

「ありがとうございます」と高橋コーチ、村上コーチは頭を下げた。


  たかがコーチと思ったが、大変な仕事だ。練習や試合のこと、選手たちとその親御さんのこと。いくら子供と一緒だとは言え、無償でこれを続けるとはとんでもない精神力だ。こないだの試合の審判で村上コーチは応援している親たちにイエローカードを出したことを思い出す。このコーチたち、特に吉田代表は10年も続けているとは頭が下がる。自分で務まるか心配になった。でも、このエンリコでコーチ同士で会話できることはいくぶん気を楽にしてくれた。


 翌日の土曜日は朝から新横の河川敷のグラウンドで練習だった。村上コーチがメールで、ピッチ作るので30分前に集合と連絡が来てたので、8時半頃に行くと既に村上コーチの浜田コーチはピッチに立っていた。まずはピッチ作り。石灰で白線を引かなければいけない。意外に難しい。メジャーを張って、その上をラインカーで真っ直ぐに一定速度で押さないといけない。早く来た選手たちも手伝ってくれて、なんとか9時には完成できた。いやいやこれは慣れるまでは大変だと思った。

読んでいただき、ありがとうございます。毎週火曜日に続編を投稿する予定です。

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