表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/18

第7章:権力の奈落

賈詡の献策を受け入れた李傕と郭汜の軍は、破竹の勢いで長安へと進軍した 。道中で兵を吸収し、その数はおよそ十万にまで膨れ上がった 。董卓の仇討ちという大義名分は、行き場を失っていた涼州兵たちを一つにまとめ、恐るべき熱狂を生み出していた。


王允が率いる朝廷軍はなすすべもなく打ち破られ、呂布は都から追放された 。長安の城門が内から開かれた時、民衆の歓声は悲鳴へと変わった。李傕と郭汜の軍は、解放軍ではなく、飢えた狼の群れだった。略奪、暴行、殺戮。かつて漢王朝の栄華を誇った都は、わずか数日で地獄へと変貌した 。



賈詡は、その惨状を城壁の上から、ただ無表情に見下ろしていた。自らの言葉が解き放った災厄が、眼下で牙を剥いている。胸を焼く罪悪感を、彼は冷たい理性の氷で無理やり凍らせていた。


李傕と郭汜は、幼い献帝をその手に掌握し、後漢の朝廷を完全に支配下に置いた 。彼らは賈詡の功績を認め、彼を要職に就かせた 。しかし、そこは権力の頂点などではなく、欲望と暴力が渦巻く奈落の底だった。



李傕と郭汜は、董卓以上に統治者としての器量を持ち合わせていなかった 。彼らは日夜酒宴に明け暮れ、些細なことで部下を斬り捨て、互いの功績を妬み、足を引っ張り合った。賈詡は、この二人の暴君の間を綱渡りのように立ち回りながら、ただ息を潜めていた。権力者の猜疑心がいかに恐ろしく、その愚かさの側で生きることがいかに困難であるかを、彼は董卓のもとで嫌というほど学んでいた。目立たず、逆らわず、ただ嵐が過ぎ去るのを待つ。それが、彼がたどり着いた生存戦略だった。


だが、彼が作り出した嵐は、彼の想像をはるかに超えて、激しさを増していった。


本作を楽しんでいただけましたら、ぜひ評価で応援をお願いいたします。

よい評価をいただけると執筆のモチベーションがあがります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ