南方への旅路
遺跡での戦いから数日後、リオンたちは南方の塔へ向け、馬車で旅を続けていた。
草原が広がり、風が頬を撫でる。だが、陽光に照らされた景色とは裏腹に、四人の心は常に緊張していた。
「なんか……平和すぎて逆に不安だな」ガルドが背もたれに寄りかかり、ぼやく。
「ふふ、あんたらしいわね」セリアは軽く笑いながら、地図を広げる。
「塔まではまだ二日か……山越えもあるし、油断できない」
ミラは馬車の手綱を握り、目を鋭くして前方を見据える。
「でも、こんな道なら気を抜くのも悪くないわね。みんなと一緒だし」
◇
途中、森を抜けると小さな村に差し掛かった。
子供たちが元気に走り回り、農夫たちが作業に汗を流している。
「平和……だな」リオンは思わず声を漏らす。
しかし、村の中央にある井戸の周りで、小さな騒ぎが起きていた。
「井戸に魔獣の痕跡……?」ミラが眉をひそめる。
子供たちが恐怖で泣きじゃくり、村人たちも困惑している。
「よし、俺たちで確認するぞ」ガルドが馬車を降り、仲間たちも続いた。
◇
井戸を覗くと、影に侵されかけた小型の魔獣がうずくまっていた。
「弱ってる……でも、放っておけない」セリアが杖を掲げる。
リオンは光をまとわせ、魔獣に向かって一閃した。
魔獣は光に焼かれ、逃げ惑うが、リオンは攻撃を抑えつつ、倒すのではなく弱体化させることに成功した。
「これで……村も安心だな」ガルドが笑みを浮かべ、子供たちも安心して駆け寄る。
セリアはリオンの肩に手を置き、ささやくように言った。
「光の力は、戦うだけじゃなく、守ることにも使えるのね」
リオンは少し照れたように頷いた。
◇
再び馬車に戻ると、夕陽が草原を赤く染めていた。
「塔まではもうすぐだ。準備はいいか?」ガルドが声を上げる。
「ええ、でも……ここから先は危険度が上がるはず」セリアが慎重に答える。
「楽しみでもあるけどね」ミラがにやりと笑う。
リオンはペンダントを握りしめ、決意を胸に刻む。
(影の組織も、封印の鍵も……全部、俺たちで止めてみせる)
南方の塔へ向かう道は、彼らの試練をさらに深めることになる。
そして、旅路の途中で待ち受ける新たな出会いと困難が、三人――いや、四人の絆をより一層強固にしていくのだった。




