アパート❷
サクッとキャラ紹介!!
吉塚力也
好きな物 和菓子 嫌いなもの 辛いもの
身長176cm 血液型A型
(特徴がないからすぐキャラがぶれる…。頑張って)
朝から曇っていた事もあってアパートに着くやいなや雨が降り出した。石川は雨が降りやすい県で「弁当忘れても傘忘れるな」っといわれるくらいコロコロ天気が変わる。
リモコンで除湿のボタンを押す音が寂しく部屋の中で響いた。
暇だ
良い友達もいなければ好きなゲームも無い力哉のやることはアニメを見るくらいしか無い。けれど今ある今季のを全て見終わったせいでやれることと言ったら予習くらいしか無かった
とりあえずお昼ご飯でもと冷蔵庫を開ける、中には冷気以外なにも入っていなかった
「そういや昨日使い切ったのか……買い出し⋯」
ため息と共に少し強めに冷蔵庫を閉め部屋の電気を消す。どうせ雨はやまないだろうと除湿はそのままにして部屋を出た。ざあざあと打ち付けて来る雨をビニール傘で守り、少し靴を濡らしながらスーパーへ向かった。
雨のせいか時間帯のせいか、いつもと客層の雰囲気が違うことを感じつつ、適当に肉やらなんやらをカゴに入れる。最初の頃は面倒くさく、カップ麺ばかりを食べていたが両親に勘づかれたのか、最近はご飯写真提出を求められるようになってしまったので自炊するしかない。材料費高騰を理由に多少多くお小遣いを貰っていることもあり、自炊せざるを得ないと言うのが現状だ。少し気になっている美人店員さんがいないことに落胆したがどうしようもないので優しそうな小太りのおばあさんのいるレジにカゴを置いた。
慣れた手つきで商品をスキャンしていくのを横目に、隣に棚に配置されているタバココーナーが視界に入り、彼女のことを思い出した
美人だったけど多分ヤンキーだな。はぁ…なんであんなこと言ったんだろ。今日のことを明日教室でなんか言われるかもしれないし、これがきっかけにカツアゲとかも…
ポイントカードの有無を聞かれて思案が弾け飛び、そのままレジを抜けていった。何回も行くのが面倒だからと多少多めに買ったことを雨を見て後悔する。傘もあるから片手で帰らなきゃ行けねないのか⋯
さっきより大きなため息をついて、傘を広げた
さっきまで綺麗に咲いていた桜は雨の中では少し淀んで見える。
泥の混じった水溜まりに足を浸からせないよう避けつつ終点を目指す。行きよりも長く感じた帰り道に、これから料理をしなければならないことを考えるとわざと水たまりに足を入れたくもなってしまう。アパートの部屋は2階なので雨が滴っている階段で滑らぬよう、手すりに捕まり1歩1歩足を上げる。すると1階の扉の前で誰かが座っているのが見えた。。
「あ…」
体育座りの見覚えのある銀髪のウルフカット。集会で俺を蹴り、いまさっき路地でタバコを吸っていたあの女だった。けれどその瞳はどこか悲しみを孕んでいた
「何。ストーカー?」
「いや、俺ここに住んでて」
「っそ。見せものじゃないから。早く行ってくれる」
彼女はそう言うと目を逸らして下を向き耳を塞いだ。何もしていないのに耳まで防がれたことに悲嘆してしまう。だが耳を塞いだ原因が俺ではなかったことに徐々に気づいていく。雨でほとんど聞こえなかったが今の沈黙で耳が澄んでいると喘ぎ声が聞こえてきた
甘くやらしい女の声はどんどんボルテージを上げて響いてくる。今までこんなの聞こえたことは無かったが外だとこんな音が聞こえていたとは。だが次第に音の発信源が女の座っている部屋からだと気づき始めると心で複雑なものを感じ取ってしまった
「ご家族の方?」
「…お姉ちゃん」
そっと冷たくそう言う。
雨は止まる気配が無く、むしろより強くなっているように感じる。風も吹き荒れているので屋根の下と言えど平気で彼女の制服に雨がかかっていっている
ポツポツとまばらにワイシャツがしみているのを気づいているのかわからないが特に気にしていないように見えた。この世に執着してない幽霊のようにも見えた
「良かったら家来ます?お姉さん終わるまで」
男子高校生が同い年の女子を部屋に招くというのは一見やらしさ満点に見えるが、当の本人に特に他意は無く、ただ雨で風邪をひいてしまったら可哀想だなとぼんやり思っていただけだった。
彼女は一瞬何か考えたような顔をすると、立ち上がりスカートに着いた砂を払う
「ありがとう」
雨に負けそうな冷めた声で感謝し階段を登り始めた
初めて女の人を家にあげたものだから何すれば良いのか分からず、沈黙が広がる。少しでも紛らわそうとさっき買ったおまんじゅうを女の人の前に差し出す
「朝はすいませんでした」
コンロを見たままヤカンを火にかける。見えないので分からないが、こそこそ袋を触る音がするので興味は持ってくれただろう
「この饅頭頂いていいの?」
「どうぞ」
小さな口でで饅頭を食べる。2、3口で食べ終え感想もないままなので口に合わなかったかと思ったが少し頬が上がっているのに気づいて
「もう1つありますけど良かったら」
「頂いてもいい?」
集会の時、路地裏の時とは違う人のように感謝するのでピントが外れそうになる
お湯が湧く。最後に少し残っていた茶葉を急須に注ぎコップによそった
「そういえば名前なんて言うんですか?」
「海中…もくず」
下の名を言った時彼女の美しい瞳が下がった
今の状況も相まって個人情報を教えるのを警戒しているのだろうか
「確か…」
「吉塚力哉です」
「めずらしいね」
「まぁ。担任の四月一日先生には叶わないですけどね」
さっきの担任の先生も独特な苗字だ。
「さっきのタバコのことだけど、誰にも言わないでくれない?」
「大丈夫ですけど吸ってるの意外ですね」
嘘をついた。見るからにヤンキーのような見た目の彼女は吸っていてもおかしくない、と言うより吸っていないとおかしいほど吸っているときの光景が合っていた。けれどそれを今ここで言い、気に触られでもしたらやられるのは俺なので、もくずさんを高めようとそう言った
「まぁね。饅頭のお礼と言ったらあれかも知れないけど、良かったら1本いる?」
スカートのポケットから出されたタバコには可愛いラクダが書かれている。もちろんその下にでかでかと害を訴える注意書きが書かれているが
「いや、大丈夫です」
万が一学校に見つかれば退学は確定。さらに俺は富山に送り返される羽目になるので絶対にそんなことは出来ない
「そっか」
「特に偏見とかある訳じゃないですけどバレたら退学なので」
「じゃあ悪いけど雨で火つかないから、ここで吸ってもいい?」
アパートは特に禁煙という訳では無い。だが初対面で未成年同級生を前で吸うと言うのはどうなのだろう。けれどまだ心の中に恐怖心があるせいか「どうぞ」と言ってしまった。これは同罪になるんだろうか
慣れた手つきでタバコに火をつける。せめてもの配慮なのか排気口のあるところに顔向け口から白い煙を吐き出した。臭く僅かにクラクラするような、汚い匂いだった




