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1:聖女(予定)、現状を把握する

「う……」


 ひっついた瞼をこじ開け、意識して瞬きをする。

 極端なドライアイは職業病。一日中モニターを眺める生活では、幾ら目薬をさしても改善されるはずもない。

 帰宅後コンビニ飯をかっ込んで即ゲーム、なんてこれまた目を酷使する趣味持ちなので、瞬きを何度繰り返してもパサパサだ。潤いの欠片もない、いつもの朝の筈だった。


「……あ?」


 様子が違ったのは、目の前に浮かぶ文字と数字。

 なんだこれ……ステータスボード? ログアウトせずに寝落ちした?

 ゴーグルを外そうとした手が空を切る。何度か触れて、探って、ペタペタ顔を撫でてようやく気付く。私ゴーグル着けてないな? なのにステータス表示されてるってどういう事?

 そうか、寝ぼけてるんだ。

 いくらはまってるからって夢でまでゲームしてるんだ……我ながら引くわ。

 人間らしい生活の、最低ラインをギリギリまで攻めすぎたかもしれない。生きていく為にはお金が必要で、お金を稼ぐために仕事はする。でも他の時間は唯一の趣味に全てを注いだって良いじゃない! 人として明らかにダメって分かってるけど……あー、木曜か。まだまだ週の半ば……って!


「やばっ、遅刻っ!」


 視界の端に浮かぶ悲惨な数字に、慌ててログアウトボタンを押しベッドから飛び出す。

 昨日帰宅するなり脱ぎ散らかした筈の服は見当たらず、何だか部屋の様子も変だ。

 白っぽいフローリングじゃなく荒削りな板材、それも相当古いし薄汚れていて──何コレ、土? 慌てて足の裏を見ると、案の定汚れてしまっていた。


「はあ? え、あれ?」


 目の前のステータスボードは消えない。

 ログアウトボタンはグレーの無効表示。

 なのにちゃんと足の感触があり、匂いまでする。埃っぽい空気、ボロ布を継ぎ合わせただけのがさついた寝具、木組みの小さなベッドもちゃんとある。

 家具屋で適当に購入した新生活セットの、安っぽいパイプベッドじゃない。

 VRの、作り物の世界じゃないみたいな──


「……うそでしょ」


 ぽかんと辺りを見回すと、視界に合わせてステータスボードも動いた。

 小さな家……というより小屋? ええい、文字と数字が邪魔だ。ボードの端にあるバツボタンを押そうとして我に返る。これってゲーム? 現実? どっち?


「待って待って」


 怖くなってバツボタンから手を離す。

 もう一度、ステータスボードをよく見てみた。累計2000時間以上やりこんでいるゲームの画面に似て……そのものですね間違いない。

 もはや見慣れた光景だ。ゲーム開始時に入力するネーム欄、簡単なプロフィール……は弄ってないからデフォルトそのまま。

 そしてMAXまで鍛えた筈のステータス……


「ぎゃー嘘でしょおおお! レベル1まで戻ってるっ!?」


 はうあああと情けない声を上げてベッドに倒れ込む。なんてこった、仕事以外全ての時間をつぎ込んで作り上げた最強主人公がクソ雑魚に!

 やだやだ運営に連絡すれば戻るよね!? レベル99までの無料版じゃない、ちゃんとお金払ってキャップ外してアイテム欄拡張して育て上げた私の最強キャラあああ!

 イベントは逃さずプレイ、全スチルとボイスを揃え、完全攻略を誓ったこのゲーム。


「また最初からやり直しなのぉぉ……」


 我ながら相当情けない声が出てしまった。

 感情のままえぐえぐと涙を流していると、漂う埃のせいかくしゃみが出た。『へくちゅ』とやけにかわいらしい。普段の猛々しい『ぶええーっっっくしょォォイ!』はどこへ。


「っていうかそもそもこの状況、何?」




 ブラックな職場と絶妙に気の合わない家族と縁の薄い友人関係に囲まれた私の人生は、ゲーム以外楽しみがない。

 両親は共働き、子供の時からずっと一人。

 一人でも遊べるゲームが好きで、暇さえあればゲーム機のスイッチを入れていた。

 そのせいか成績は今ひとつふるわず、志望校に落ちて親にも散々文句を言われたけれど、生きがいなのだから仕方ない。

 学生時代は一日ゲーム漬けも珍しくない、自堕落な生活をしていたけれど、流石に社会に出てからは思うように遊べない。

 毎日帰宅は十九時を過ぎ、食事をして最低限の家事の後、即ベッドへ倒れ込むような潤いのない生活。

 それでも、どうしてもゲームがしたい私が手を出したのが、手軽に出来るいわゆるソシャゲ。

 パズル、育成、RPGと評判のものを一通りプレイした結果、ドはまりしたのが某老舗メーカーが手がけた『リリアーシュ戦記』だった。

 元ネタは少女漫画。

 原作は無料期間にさらっと読んだ程度。ちなみにまだ続いている。

 長期連載の一応名作枠、多分王道なのかな? 

 簡単に言えば癒やしの力を持つ平民出のリリアーシュが聖女の力を見出され、王子様やら騎士様やら暗殺組織の殺し屋と知り合ってなんやかんや恋したりすったもんだする、ドラマチックなストーリー。

 ちなみにリリアーシュは元貴族の両親が駆け落ちして出来た子で、序盤は平民の雑魚扱いだが後に持ち物と容姿でその尊い血筋が発覚する。

 学園に入ったり聖女を信仰する教会に囲われたりと属性モリモリの主人公である。

 ゲーム内容は恋愛要素ありのRPG。

 うっかり老舗メーカーが手がけたが為にガチガチの硬派な育成システムが付属、其処に徹底したやりこみ要素を加えたせいか、男女問わずのニッチな人気が出た。

 後にVRに対応し、美麗なグラフィックが評判を呼ぶ。ライト層を取り込みつつゲームとしての完成度からまたまた評判を呼び、今ではしっかり人気作。

 イベント特需でセルラン20位前後はジャンルから言えば十分快挙だと思う。

 ただし基本プレイ姿勢は変わらず、主人公はリリアーシュ一択。

 女も男も問答無用でリリアーシュちゃんになる。

 通常フィールドではコマンド式RPG、ただしおまけのミニゲームがかなり豊富で本格的。

 リズムゲー形式のダンスに乗馬、アクション要素を取り入れたスキーなんてのもあり、飽きさせない作りになっている。

 そしてシステム面の都合でリリアーシュはとんでもなく多才な少女と成り果てていた。

 遭難イベントで白銀のゲレンデを颯爽と降り始めた時は唖然としてしまった。も、もっとこうヒーローと山小屋で温め合いとかしなくていいんですかね……? たくましすぎるわリリアーシュちゃん。

 さて、そんなリリ戦に半年前、新フィールド『自由都市ゼクラス』が追加された。

 隣国イクスにあるダンジョンを有する都市。つまり追加要素はローグライクなダンジョン探索!

 告知を見た私は驚喜した。何を隠そう一番好きなジャンルである。これでサービスが終了まで私がリリ戦を遊べてしまう事が決定した。正に神仕様。

 これが結構出来が良く、本編そっちのけでダンジョンにこもるプレイヤーが続出。

 当然私も手塩にかけた最強リリアーシュとチート王子を連れて行き、もはや聖女にあらずの勢いでダンジョンに潜りまくっている。希少なアイテムやつよつよ装備をゲットして、今はアイテム埋めに入っていた。リリ戦のアイテム上限数は999個。まだしばらくは遊べる算段だ。

 個人的に今が一番盛り上がっていると行っても過言ではないのに。


「レベル1はないってぇ……!」


 目の前に浮かぶ[リリアーシュ・トラウム][14歳][射手座]の文字を見て絶望する。

 射手座はプレイヤー、つまり私のプロフィールが反映されている。

 多少属性値が変わるらしいが、やりこめば全部MAXになるので大した影響はない。

 視線を下へ……そこに並ぶは見るも無惨なヒトケタ数字。あれだけ頑張って育てたのにと、シンプルに悲しくなった。


「いや違う、それどころじゃないわ」


 ベッドの上であぐらをかき、膝に肘を乗せ、下りてきた前髪を吹き飛ばす。

 ステータス画面では柔らかくうねる金髪に空色の目をした美少女が、やさぐれた顔でこっちを見ていた。

 きっちり3D展開してるね流石だね。本当このゲームグラ良いね。

 わー本物だあ、なんてツヤツヤした金髪を指に巻いて感心している場合ではない。

 まあこれのおかげで鏡がなくても間違いなくリリアーシュ=自分って確認出来たんだけど。


「……どうしたらいいのよ」


 何の因果か冗談か、今の私はリリアーシュ。

 この体は間違いなく生身。しかしシステムが生きているのも現実。

 腕を振ればステータス画面のリリアーシュがひらりと手を振り、右腕をぶん回し、ファッ○サインをする。うわ、リリにとんでもない事させてしまった。お行儀が悪いったらない。


「今此処にいる私がリリアーシュってことは、これから本編のストーリーが進んでいくってこと?」


 ダンジョンに熱中するあまり、半ば忘れかけていたストーリー。

 よくよく思い出してみるとこのリリアーシュという少女、人生が波瀾万丈過ぎる。

 大体スタートからして親なしのド貧乏山小屋一人暮らし。

 薬草だの木の実だのを採取して暮らしているが、頼れる身内もなく村人は基本冷たい。

 こっちが話しかけても挨拶すら返してくれない。奴らコミュニケーションから言葉という概念が消失してやがるのだ。そのくせ頭の弱い子扱いってどういう了見だゴルァ。

 それだけなら不憫枠で済むかもしれない。

 しかし悪いことにリリアーシュ、美少女だった。

 そのうち癒やしの力が村人にばれ、村長に告げ口されて連れて行かれてしまう。

 そんでもって出てくる村長の息子がまたしょーもないやつでして。


「最悪なんだけど」


 顔はそこそこだが性格が悪く、絵に描いたようなDVモラハラセクハラ男。

 後に出てくる王子やら騎士やらのヒーロー役の当て馬的存在? だとしても限度ってものがあるだろう。

 辺境の寒村を仕切る独裁強欲村長の血が嫌な方向に覚醒しまくったのだろう。加えて母親も根性がねじ曲がっており、溺愛する息子を誑かす(してない)リリアーシュを嫌う。

 嫌いなら追い出せばいいのにとプレイしてて思った。

 なのに中途半端に偽善を気取り、引き取ってやった恩に着せてリリアーシュをこき使う。

 幾ら働いても報酬はなし。ろくな食事も与えず、納屋の隅に寝かせるなど悪行三昧。

 村長は村長でリリアーシュの力を利用する事しか考えず、村人は徹底無視か馬鹿にするかとろくな連中ではない。

 もはや村ぐるみの虐待と言っても過言ではなく、歴代プレイ済みRPGの主人公の中でもかなり厳しいスタートに、少女漫画の過酷さに唖然とした。

 もっとふわふわでキラキラなイメージだったんだが。絵は確かにそんな感じなんだけど、物語的にはこれでもかというぐらい厳しい。


「これまずいのでは?」


 そんな辛い時期も過ぎて、ようやく王都から助けが来るかと思いきや、実は後の方が面倒かつ厄介。

 癒やしの力を認められ、教会に保護されたリリアーシュ。

 これでようやく聖女として認められ……ない。まだまだ試練は続くし酷い目にも遭い続ける!

 癒やしの力が認められた後も、リリアーシュの身元は定まらない。

 教会内の権力争いに巻き込まれ、すんなりと認定が下りず『聖女(仮)』という中途半端な扱いに。

 田舎の平民を聖女に押す一派と、相応しくないと対抗する一派で緊張が高まる中、襲撃されたリリアーシュは『聖女として必要な教養を身につける』という名目で学園に入学させられる。

 関係者以外お断りな学園内なら安全を確保出来るはず、と説明されるが当然ながら無事ではいられない。

 貴族と平民が入り交じる学園で美少女がされる事と言えば、イケメンからの惚れられとイケメンを慕う有象無象からの嫌がらせ、身分差からの見下されだ。

 これが割としゃれにならないレベル。いじめを超えて生死に関わる暴行を含む。

 フルボイスでもないのに妙にリアルなテキスト、対立する令嬢キャラの過激な台詞と形相にドン引きしたものだ。美少女なのに、いや美少女だからこそ、歪んだ表情の醜悪さが際立つ。

 初プレイ時は見ていられずスキップしてしまった。

 しかし気付くと『実は貴族だった』ターンを過ぎてしまったらしく、えらく話が飛んでいたので泣く泣くやり直した。

 しかしヒートアップする周囲の反応と、比例する形でイケメンとの関係も盛り上がる。

 課題で同じグループになり、課外授業では二人きりで遭難、かと思えば学園の裏庭に出現する変質者こと校長の悪事を偶然暴き絆が深まる。

 その過程で両親が貴族と発覚、リリアーシュは父方の実家トラウム家に引き取られる。

 やったーバンザイハッピー……とはならない。

 引き取ったは良いものの、孫娘への接し方に戸惑う祖父は忙しさを理由にリリアーシュを放置。

 そんな主人の態度に倣い、屋敷の使用人の態度も最悪。村人もかくやのクソ対応。

 更に教育係に雇われた貴族女性はリリアーシュの亡き父に片思いしていた元令嬢で、思い人を奪ったリリ母への恨みで必要以上に厳しく『教育』する。

 ちょっとしたミスでも即座に鞭を振るうお前は女王様か? そういうプレイはご同好の士と楽しんでいただきたい。

 それでも健気の化身リリアーシュは耐えに耐える。

 貴族の立ち振る舞いを身につけ、立派な淑女になった彼女は、その美しさと癒やしの力で注目を浴びる。

 さあいよいよ主人公の存在が世に出る時だ。

 学園で知り合ったイケメン王子にお付きの騎士、インテリ魔術師に謎の美青年暗殺者と甘酸っぱい恋愛模様を繰り広げはするものの、恋愛ターンは体感秒。

 ちょっと甘いイベントがあっても即物騒な事件が起きる。この国呪われてるんじゃないの。この世の悪暗躍し過ぎ、王様教会仕事しろ。

 そんな調子で数々の障害を乗り越え、強くなったリリアーシュと共に新章に突入した訳なのだが。


「そりゃ波乱含みのストーリーの方が見応えはあるけどさ」


 聖女としての力を管理し利用したい教会の魔の手。

 ライバル令嬢に送り込まれた事情あり侍女の妨害。

 わらわらと湧いて出るゲスの極み親類。

 ゲームとして遊んでいる時はドラマチックなストーリーも楽しめた。

 どんなに傷つけられてもそれに耐え、誰にでも優しいリリアーシュの健気さに胸打たれた。

 でもそれはお話だからであって……いざ自分がなってみると、『絶対無理!』という感情しかない。

 そもそもリリアーシュの行動がわからん! 耐えるなんて私は無理だ。

 まず村長の息子が襲ってきた時点で鼻フックからのみぞおち狙い、倒れ込んだ隙に股間を力強くスタンプ、速やかに生殖能力を削ぐべきでは。

 悲しいかな私はあまり人間関係に恵まれず、肉親も割と近づきたくないタイプ。

 二十四年の人生経験で得た学びは、『自分の事は自分でしよう』だった。

 そりゃ人間だもの、無難にやり過ごせたらそれが一番。

 でも中には厄介な人間がいて、こっちが必要以上に気を遣ったり甘い顔すればつけあがり、理不尽な要求をしてくる。

 断れば暴言を吐き、酷い事をされたと被害者面。

 そんな奴らに一々付き合ってられない。

 優しくされたら好きになるし、意地悪されたら……同じだけやっていいって事だよね?


「それになー……いくらイケメンでも王族貴族はちょっと」


 リリ戦のヒーロー、特に王都編の攻略キャラは格好いいけれど、現実なら対象外かも。

 創作だからいいのであって、現代日本で生まれ暮らした私はきっと階級社会に馴染めない。

 平民として蔑まれるのも、貴族になってへこへこされるのも、そういう場面を見るのだって嫌だ。想像するだけで気分が下がる。

 そりゃ現代でも差別はなくならないけど、それを是とする社会は違和感がある。

 男も女も好きなように生きたらいいじゃない! 幸せならOKです! みたいな考え方って現代の文明レベルがあってこそだよね……こっちはモンスター被害そっちのけで領土戦争とかしてる世界観だし。

 伝統を重んじる王国は、女は子供を産み家を守り夫を支えるのが当たり前。

 王子様や騎士様魔術師様、つまり貴族のお坊ちゃんも例外ではない。心優しき美少女リリアーシュに慎ましい振る舞いやら役割を求めてくる訳で……うん、会話だけでも疲れそう。

 リリアーシュには天賦の才がある。メンタルもフィジカルも最強なんです。守られるより自分で強くなって殴った方が早い。

 でも王子その他と知り合ったら、後衛に下げられるだろうな。この国に居る限り逃れられない社会構造に、現代の理屈で太刀打ち出来るかと言うと微妙だ。というか一々説明するのも面倒臭い。


「──となると、目指すは五章」


 考えるほどに逃げたい気持ちが湧いてくる。

 ド貧民から王都までが一章、学園編二章、出自判明貴族編三章、教会暗躍編四章を経てリリアーシュはいよいよ国外へ出る。

 隣国イクスは王政から議会制へ移行しつつあり、この国よりはマシなはず。

 更にダンジョン景気に沸いており、新たな社会基盤が生まれつつある。

 ダンジョン周辺の発展に伴い生まれた自由都市では実力が全て。

 貴族であっても特別扱いされる事はなく、住民は自治の気が強い。

 ゲームと同じかどうか、現時点ではわからないが……住民との会話を思い出してみると、割と現代の感覚に近いと思う。

 冒険者だらけで荒っぽいけど、面白いNPCと知り合える。維持費は高いがお気に入りの拠点だった。


「そもそも王都行く意味なくない? 飛ばしてダンジョン攻略始めた方が効率いいし」


 もう一度頭の中でストーリーを追う。

 よし、問題ナシ!

 見るだけならまだしも、あんな辛いばかりの人生を体験するのは嫌だ。

 本筋では癒やしの力ばかりがピックアップされるが、実際のバトルでは物理押し。

 他メンバーの最高レベルは99だけど、主人公のリリアーシュはレベルキャップ制。

 課金すれば解放され、現在上限300レベルの化け物と化す。能力値はチート王子の軽く二倍、魔力に至っては七倍だ。敗北を知りたい。

 各能力値を満遍なく鍛え上げれば素手でモンスターを木っ端微塵にできるリリアーシュは、間違いなく最強キャラだ。

 王子や騎士に守られる必要などない。未来は己の拳で切り開く──!


「よしっ! そうと決まれば脱出脱出ー!」


 ベッドの上でガッツポーズを決め、ふんふんと鼻息荒く腕を回す。

 絶対王都回避! 目指せ国外ダンジョン生活!


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19時には家に帰れてるのに軽く家事して寝るだけ?
子供がいて共働きって親はめちゃくちゃ大変なのに 感謝するどころか不満を言って何の努力もしない、ゲームしかしないって 中の人は血も涙もないガチクズやんけ…
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