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リベレーター・元生贄と絶望から咲いた希望たち  作者: モッフン


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思わぬ人との遭遇

「会って確かめればとは言っても、ヴェルクさんどういうつもりなのかしらねぇ」


「それは私にも……けどなんか深い事情があるのかも」


「深い事情ねぇ、例えば?」


「そこ詳しく聞かれると私にも……」


 答えあぐねる私にシェスカさんが興味深そうに尋ねてくる。


「気になるんだけど、便利や同士の仕事が丸被りしたりまたは乱入することってあるの」


「それはまずないかと、欲しい仕事があれば店長同士で正式な交渉をするのが暗黙の了解ですし」


 憶測で口走るのはよくないと思い言葉を選ぼうとするも、待ってましたと言わんばかりにエイミーがひょうひょうと語り始めた。


「とはいっても、その店長がウチのギルバートさんとアイザックさんの昔なじみって点があるからね、そこはなぁなぁのおざなりになってるかもしんないわ」


「そんな大雑把で、大丈夫なの?」


「へーきよ、ウチにはルーシーもいるしサイラには元騎士団長までいるからね。

 そういう人がいると意外とまとまるものよ?」


 あっけらかんなエイミーと対照的なシェスカさんの反応はまぁ当然、便利屋は個人事業みたいなものだから店長同士が仲いいと内輪って感じの緩い組織になる。


 それは国家の正式な指令で動いてる調査隊からしたらカルチャーショックというものかもしれない。


 シェスカさんが便利屋独自の慣習に呆気に取られる一方、アゼルさんはなにかを思い出したかのように問いを投げる。


「ルーシーっていうと、ノエルさんと手合わせしてたあの人、いや……まさかな」


「ん? ウチの姉御の強さに惚れたの?」


 エイミーがからかうようにいうとアゼルさんは真っ赤な顔でムキになった。


「そんなんじゃねぇっ……あの一瞬で違う位置に移動するやつ、座標転移だよな?」


「っ! アゼルさん、どこでその名を?」


 便利屋しか知らないルーシーのロストアーツ。

 どうして西の大陸出身の彼がその名称をどこで聞き、覚えたのか尋ねるとその情報の出どころは意外な場所だった。


「ノーザンレイスの都市、フロスト・クレストに移住したばかりの頃にな」

 

「ルーシーが北の地と関係してるかもしれない、ということ?」


 私の問いにアゼルさんもどうしたものかと首を傾げる。


「わかんねえ。 ただ、魔物の囮になって行方不明のままのハンターの話を聞いたからもしかしてと思ってな」


「んーと、2人の話を要約するとルーシーが魔物にやられそうなとこで転移が発現してどこかへ跳んだ、そんな推測でいいわね?」


「エイミー、合ってるけどまとめ方が雑すぎるよ」


「でもその方が赤毛さんらしいわね」


 私がツッコむとなぜかシェスカさんが横で「フフッ」と笑みを浮かべ、エイミーが物珍しそうに顔を覗きこんだ。


「ふーん? なるほどぉー」


「な、なによ?」


「いや、シェスカさんってこんな風に笑うんだなぁって」


「べ、別にいいじゃない、もう」


 気持ち強い口調で返すも嫌悪という雰囲気は感じない。 2人の溝、埋まりつつある?


 それにしてもルーシーって何者なんだろう。 あのお姉さん、謎めいてはいないのに自分のことほとんど話さないから今度それとなく聞いてみようかな


 ***


 他愛ない話をして歩くことしばらく、私達はアスヴェイン鉱国跡地に最も近い鉄鉱の街、アイウォンに立ち寄り、リズィとの対峙に備えることとなった。


「宿も取りたいところだがここ数日の野宿で栄養も偏ってるであろう、酒場に行こうと思うが異論はないな?」


「問題ない、というより俺もさすがに腹と背がくっつきそうだ。 なにか食おう」


 ロウさんの提案ラウムさんを始め全員で頷く。 正直、ここに来るまで食べたのはせいぜい乾いたパンと簡易的なスープばかりだったから出来立ての料理が恋しい。


「んじゃちゃっちゃと行きましょ。 あたしが一番おなか減ってどうしようもないわ」


「あ、待って赤毛さんもぉ、落ち着きないんだか……」


「あ、ああーーっ!!」


 いの一番に酒場の扉をくぐったエイミーをシェスカさんが呆れながらボヤくよりも先にエイミーの声が店外まで響き私達の耳をつんざいた。

 なにか驚くと過剰にリアクション取るからなぁ、今度はいったいなんなんだろと酒場に入った時のことだった。


「そんな大声出したら酒場の人達に迷惑だよ? 今度はなんな……ええーーーーっ!?」


 私まで大声を出してしまい、心配になったロウさんが扉をぶち破らん勢いで店内に入ってきた。


「ノエルもかっ、いったいなにがっ……ふむ」


 ロウさんは私とエイミーが驚いてる状況を察しテーブルを囲みながら酒をかっくらってる男性と2人の女性に視線を送り、その男性はまるで私達が来ることを見越してたように挨拶をするかのごとく酒の入った器を掲げた。


「おう、ノエル達じゃねぇか。 ようやく合流できたな」


「ヴェルクさん、まさかとは思ってましたけど本当に来ていましたか」


 検問の方から聞いた時点で薄々勘づいてはいたけど、その一組がまさに今私達の前にいるサイラの重剣身ヴェルクと英霊術零式の使い手、フィオラさんとセレスさんだった。

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