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リベレーター・元生贄と絶望から咲いた希望たち  作者: モッフン


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和解

 私は「はぁ…はぁ…はぁ」と荒い息のまま模造剣を振り上げた態勢を保ち続けた。

 その剣先は互いの剣身で防がれ首元に達することはなかった。


「まさかここまでとは……ノエルちゃん強くなったのね」


「よく言うよ、詠零術使ってまだ遊ばれてる感があるよ」


 私と同時に剣を降ろしたルーシーはニッコリと戦闘もとい、試合としてのオーラを消した。


「この勝負はもうドローってことでいいわね?」


「賛成、これ以上は判定になりそうだもんね」


 横でエイミーが呆れるなか私とルーシーは笑って誤魔化した。


「解放者としての証明をあの人達に見せる話だったのがいつから試合になってんのよ?」


「でも楽しかったわよね?」


「まぁね」


 事務所に戻りなおアゼルさんとシェスカさんは自身が見たことを信じられないものを見たような反応だった。


「調査隊以外にも戦いを生業とする奴らをみてはきたがここまでとは……」


「あたし達変な夢を見てるわけじゃないわよね?」


 んもぉ、過小評価したと思ったら過大評価したり忙しい人達だなぁ。 それに私達の本分は戦いばかりじゃないしここはきっぱり言っておこう。


「勘違いしてるみたいですけど、私達の基本的な生業は戦いではありませんよ?」


 私の言葉にラウムさんは戯言でも聞いたかのように目を見開いて顔を上げる。


「なんだと?」


「私達の本分は便利屋、困ってる人達をお助けすることです」


 キマった……とドヤ顔しながら顔を上げてすぐ視線を戻した先には調査隊のみんながなぜか土下座をしてる光景が……。

 え、なになに急にどうしたのと戸惑うもアゼルさんが真っ先に顔を上げる。


「見事だった。 あんたらの実力を知らず重ね重ねの非礼心から謝罪したい」


「あたしが一番失礼だった。 厚かましいのは承知の上でお願いしたい。 解放者さん、どうか西の故郷を……」


 彼等との利害は一致してる。 調査隊のみんなは故郷の奪還を、私は手がかりを見つけるため、九つの希望に挑む協力を惜しむ理由はない。 けど、それ以上に……。


「どうか頭を上げてください。 あの組織は私も前々からどうにかしようと思ってましたから」


 目の前で困り果ててる彼等を放っておくなんて私にはできない。


「もぉ、ノエルってば値踏みされた割に優し過ぎないっ?」


「堅いこと言わない、エイミーだってそのつもりだったでしょ?」


「ま、まぁ……ね」


 話が固まりかけたところで店長が「さてと」と言いながらロウさんに視線を送る。


「ロウ君、今回は君が同行してあげなさい」


「ルーシーは経理、モニカは未成年という理由か、納得だ」


「そう、私は店長を監視しなきゃいけないから忙しいの」


「ルーシー君あのなぁ……まぁそれはそれとして、今日はもう日も落ちる。

 明日の朝、事務所前に集合ということでいいね?」


 店長の呼びかけに調査隊のみんなはハキハキとした様子で返事をした。


 故郷という居場所をなんとしても取り戻したい、その気持ちが私にはわかる。

 だからこそリズィと対峙することがあったら今度は……負けない。


 彼等が宿に向かった後も私達はミーティングを続けた。

 今回同行するロウさんが真っ先に口を開く。


「彼等とは上手くやっていかねばな」


「それはあちらさん次第じゃない? なにせ開口一番あたしのマブに超絶無礼はたらいたわけだし」


「まぁま、ノエルちゃんの実力は証明できたんだし結果オーライじゃない」


「今後素直さ見せてくれるといいんだけどねぇ」


 エイミーの懸念はわかる。 けど最後の方の彼等の振る舞いを見ると根っこは案外真っ直ぐっぽい。


「大丈夫だよエイミー、帰り際の調査隊、活き活きした顔してた」


「ノエルが言うならまぁ、信じてあげてもいいかな」


 そして一夜明け、事務所の外には私達ハート・ユナイティスと北の大陸からの調査隊が改めて集まった。


 ここから西の亡国の状態を確かめに海を渡るのだけどこの依頼、思っていた以上に一筋縄ではいかない案件だった。

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