試される解放者
「ほぉーらノエル、しっかりなさい」
「だだだ、だってエイミー、国単位からのお願いだよ? 重荷が過ぎるよー」
こういうの依頼って元騎士団長のウィルさんとかに来る案件じゃないの?
なぜに私? 街の便利屋だよっ?
「ねぇアゼル、やっぱり頼りなさそう……」
「緊張してるだけだろ……多分」
取りあえずこのままじゃ話進まないから詳細だけでも聞いておかなきゃ。 気を取り直してっと。
「慌ただしくしてしまいすみません。
改めまして、ハート・ユナイティスのノエル・イルセリアと申します。 先ほど西の大陸からと、もしかして……」
亡国という言葉を言おうとしかけたところで私は言葉を選び口を閉じた。
それと同時にラウムと名乗った男性がうつむいてた顔を上げる。
「アンタ優しいな。 そうだ、俺達は西の亡国、アスヴェイン鉱国の生まれだ。
ある騒ぎがあり調査をしていたが俺達ではどうにもならなくてな」
「国から推薦の精鋭でも難しいのですか?」
ラウムさんに続きアゼルさんが更なる詳細を話す。
「移住地の支援もあり亡国の再建の目処が立ち視察へ向かった。
だがそこには知らない集団が自分達の国だと訴えてきやがったんだ、クソがっ!」
「アゼルさん……」
「取り乱しちまったな、済まない。
もちろん異を唱えた。 が、リーダーらしき女が俺達の前に出てきてしゃあしゃあと言いやがった。 「ここは虐げられし者の楽園」と」
「虐げられし者……アゼルさんそれってっ!!」
身を乗り出すとアゼルさんは私もそれに因縁を持ってることを察したのかその名を呟いた。
「知ってるみたいだな。 そうだ、九つの希望、リズィ……その反応からして浅からぬ因縁がありそうだな」
自分が興奮したことに気づき私は平静を装い席に戻りあの時の戦いを振り返る。
「浅いどころか深いです。 なにせサイラの騒動の主犯でしたから」
「手強かったか?」
「えぇ、あの時の私では歯が立ちませんでした。 騎士団長を務められた方が駆けつけなかったら今ここにはいません」
正直に答える私をどう思ったのか、シェスカさんが訝しみながらといかける。
「今なら対等にやれるかのような言い様ね」
「相応の力をつけはしましたから」
「本当? どうにかそれを証明してほしいんだけど」
「おいシェスカッ」
証明かぁ、決闘でもするのかな? 調査隊って名前の通り武具も護身用って感じだし、どうしたものかと困っていたらルーシーが前に出てきた。
「ちょうどいいわノエルちゃん、手合わせしましょ」
「え? 私がルーシーと? なんでそうなるの?」
「私もノエルちゃんも互いの手の内を知ってるし余計な気遣いもない。 実力を測るのにこれ以上もってこいなことはないでしょ?」
ルーシーの言う通りだ。 彼らのことまだよくわからないしどれだけの力をぶつければいいかわからない。 まぁでも身内ならいいか。
「いいけどお互い本気にだよ? じゃないと八百長なっちゃうから」
そう言うとルーシーは普段の優しげな面持ちを潜め不適な笑みを私に見せた。
「当たり前、くれぐれも言っておくけど泣かないでよね?」
あ、これマジなやつ、こーいう時はっ。
「逆に妹分の成長具合見せてあげるんだから、びっくりしないでよねっ?」
強がって大言壮語言ってみたけど白旗上げたい、正直言って内心ビクビクです。




