罪晴れし便利屋
「ノエルさんその、セリガムさんの件ごめんなさい」
「どうか謝らないでください。 イリスさんは職務を全うしただけでそれに、私はもう大丈夫ですから」
とても申し訳なさそうなイリスさんに私はどうにかフォローの言葉をかける。
きっと私以上に彼女の方が辛いに違いない。
セリガムさんの人格や背景を知る数少ない人で誰よりも優しい人だから
「そうですよ。 それにノエル、立ち直りは結構早いんで」
「エイミー、それはそうだけどさぁ……まぁいいや」
ほんとは今「エイミーのおかげ」と言いかけたけど喉までしまった。
嬉々として「え、なに?なに?」と聞いてくるけど言ったら調子に乗りそうだから教えてあげない。
そんな私に不服そうな顔をしてる間に後ろの方で術式の気配がして振り返るとルーシーが立っていた。
「やっほ、ノエルちゃんもう大丈夫なの?」
「大丈夫、ごめんね心配かけちゃって」
「ううん、今回は色んな事が起こり過ぎたから無理ないわ。
イリスさん、お世話になりました」
ルーシーに釣られるように頭を下げたイリスさんはやりきれない顔つきのままセリガムさんの件について言及した。
「裁く以外の方があったのならセリガムさんもきっと……」
「おおよその話はお聞きして私もある程度理解はしてます。
しかしここは法事国家、彼も覚悟の上だったはずです。
これはノエルちゃん達に常日頃言ってることなのですが……イリスさん、どうか絆されないでください。 法を扱う身であるのなら尚のこと……」
「そう、ですね。 肝に銘じておきます」
2人の会話はレベルが高すぎて私もエイミーも口を開けて眺めてるしかなかった。
情に流されない強さ、今の私に必要なものなのかも。
「ごめんなさい、出過ぎたこと言ってしまいましたね」
「そんなことありません、あなたのような先輩を持ててノエルさんもエイミーさんも恵まれてると私は思います」
イリスさんの答えに照れくさそうに笑うとルーシーはいつものように転移の門を生み出した。
「それじゃ2人とも、帰りましょ」
イリスさんへ改めて深々と頭を下げると視界は白み、景色はいつもの事務所内へと変化した。
事務所に着くと私が帰ってきたことに気付いたのか、聞き慣れた足音が近づいてきた。
「わっ、モニカ?」
「おがぇりエル姉、むじづなっでよがっだ、よがっだよぉぉ」
「大げさだよぉ、ちょこっと犯人捕まえに行っただけなんだからさ」
「ちょっと、ノエルの言うちょこっとって常識的範囲じゃないから」
確かに、式典中に時間が止まってそれがセリガムさんで濡れ衣着てそれから……かなり濃い数日だったな。
色々とハードだったから少し休暇貰おうかな……などと考えていたら店長とロウさんが私が不在の期間を振り返りしみじみとしてた。
「しかし本当に心配してたんだぞぉ? 珍しく毎日新聞も読んでたくらいだ」
「私なんて寝付けなさのあまりモニカの添い寝担当させられてたくらいだ。 この子なりに君を案じてたということなのだろう」
ずっと気にかけてくれてたんだ。 私の件でとばっちり来るかもしれない懸念もあったというのに。
私は感極まって涙が浮かぶ私にみんなから「おかえり」と声がかかり実感する。
ようやく一区切りして帰ってこれた。 気になることはまだ色々あるけど、今はあるべき場所に戻ってこれたことに感謝していよう。




