思念の声が遺すもの
夜7時、聖都中央の鐘が鳴り響きそれがセリガムさんの刑執行の合図だということを嫌でも実感することになった。
ピオスへ帰る話も出たけど、彼の灯が絶たれるまで同じ街でその瞬間に向き合いたかった。
とは言っても現実にその時を迎えると気持ちは思った以上に重い。
「セリガムさん……」
どうして私が信用しないと決めつけたの?
本当にそうなってたの?
リズィが騒ぎを起こさなかったらどうやって決着つけてたの?
真を問おうにもそれを知るセリガムさんはもういない。
やりばのない想いに苛まれてどれくらいか、静まり返った部屋にノックが響いた。
「ノエル、いる?」
無言で頷くとそれを察してか、エイミーが入ってきた。
私はエイミーに言うでもなく独り言のように呟く。
「セリガムさん、最終的にあぁなるしかなかったのかな?」
「あたしはそこにいなかったからなんとも言えないけどセリガムさん、最初からこうなることを想定してたんだと思う」
「それは、私が東の大陸へ渡ることも含めて?」
私の問いにエイミーは振り返るように目を閉じながら深く息を吸ってから答えた。
「ええ、このままでは組織には勝てない。セリガムさんが味方についたところで、彼を上回るやつには歯が立たない。だからこそ、組織を打ち破る力をノエルに託したかったのだと思う」
「そこまでして……」
セリガムさん、そしてリュカという人の想いを垣間見た私の胸の内に悲しみだけでは形容しがたい気持ちが広がる。
「このままでいいの? セリガムさんが見たいノエルは後悔や無念に打ちひしがれてる姿じゃないと思う」
知り合ってから再審の今日に至るまでの情景が脳裏に浮かぶ。
フェイス君を通しての出会いは全くの偶然だった。 けどあの時、私が名乗った時からセリガムさんは覚悟を以て歯車を回したんだ。
「いいわけ……ないよ。 これだけの想いを受けてヘタっていいわけが、ないっ」
「セリガムさんが陰からあたし達を照らしてくれてたんなら、あたし達はその光運べる存在になろうよ」
「そうだね。 それがセリガムさんへのせめてもの手向け……これは?」
ペンダントに粒子がセリガムさんの刑が執行された位置から集まる。 これはアーシェスの時の……。
リーナさんの墓石でも感じ取った想いの霊素だけどなにかが違う。
その引っ掛かりがなんなのか探ろうと意識を向けるとセリガムさんの声が聞こえた。
***奪われたからこそ、今度は善として生きたかった***
「どしたのノエル?」
「いや、実はね……」
奪われたからこそ、セリガムさんの過去になにか深い訳があったということは想像がつく。
けどそれよりも「今度は」善としてってどういうこと?
セリガムさんはロウさんのように一度死んだの?
気持ちが再び奮い立った矢先、更なる謎に困惑するしかなかった。




