急変の時
「……きて、起きてってばっ」
「ん、どしたの? まだ7時だよぉー?」
この声は、エイミー? まだ時間的にも早いけどどうしたんだろ、頭が冴えないままどうしたのか聞いた直後、とんでもない事実が告げられた。
「大変なのっ、セリガムさんの再審が今日に前倒しになったって……」
「っ! どういうこと、いったいなにがあったの?」
起き抜けの眠気を吹き飛ばす一言に飛び起きて思わずエイミーの肩を掴んで揺らす。
「あたしもウィルさんから聞いただけでなにがなんだか……」
「ウィルさんは今どこに?」
「まだ酒場にいるはず」
「ちょっと行ってくるっ」
身支度を整えるのも忘れたまま私は宿を飛び出し、酒場へ着くと押し破るように扉を開けた。
互いの姿を確認するなりウィルさんは気まずそうに曇った顔を反らした。
無言のウィルさんに近寄ると私は詰め寄るように問いを投げた。
「エイミーから聞きました。 いったいどうして……」
「彼が、セリガムが九つの希望の1人であることを自白した。 リズィがサイラで起こした一件も含めてな」
「そ、それって……」
「組織への警告として彼を葬るということだ」
どうしてわざわざ白状するような、そんな行き急いでる真似を、まるで罰を受けるのを望んでるみたいに、まさか……。
「館はもう開いてますよね?」
「日の出と共に開く施設だが、おい待てノエルっ」
「イリスさんとこ行ってきますっ」
館の受付に便利屋の紋章を見せるとすぐに話が通り、イリスさんもまたウィルさんと同じように気まずそうな面持ちで姿を現し、焦る私に対して言葉を選ぶように口を開く。
「ノエルさんその、なんと申し上げればいいか……」
その様子からセリガムさんへ重い審判が下るであろうことは想像に難くなかった。
事実を確かめたく私はイリスさんへ歩み寄る。
「ウィルさんから聞きました。 自白の件、本当なんですか?」
「えぇ、虚偽の証言をさせられたとかはなく確かにセリガムさんが自身の口からそう言っておられました」
「そんなっ、彼は事件の日に組織を抜けることを宣言してたのにどうしてっ」
「私にもそれは……ただ一つ言えることは、彼が自白したことによりこの裁判は覆すことは不可能となったということ」
彼がやろうとしてることは紛れもない自死、式典の妨害もこうなることまでを計算して……?
「セリガムさんとの面会は叶いますか?」
減刑してくれなんてことは言わない。
ただ、彼の真意を知りたい。
なぜここまで自己破壊に走るのか、他にやり方はなかったのか、私は強く申し出るもイリスさんは目元が見えなくなるほどに俯いてただ首を横に振った。
「人でなしと罵ってくれて構いません。
フェイス君の件でセリガムさんが優しい人であることは理解しています。
それでも私は大政法官、厳然な法に私情は挟めない……面会は、叶えてあげられません」
「っ! そんな、あぁ……」
どうにもならない現状に私は膝を崩し、私は周囲をはばからず嗚咽を漏らす。
その後どうしたかの記憶は曖昧なまま昼時の鐘が鳴り再審の時を迎えた。




