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リベレーター・元生贄と絶望から咲いた希望たち  作者: モッフン


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英霊術の開祖

「あれが、イザヤの里……」


「間に合うか心配だったけど、なんとかなって安心したわ」


 あれから数日間、道中霊波の安定と霊素を根源のギリギリまで放つ鍛錬に撃ち込み、どうにか『奥の手』の習得に漕ぎつくことができた。


 私とエイミーがホッと安堵する一方でロウさんとウィルさんは不本意といいた様相を見せていた。


「素直に喜べる結果ではないがな」


「違いない、試し打ちをする猶予はほしかったところだな」


 そう、ロウさんの見立てで当初は10日で『奥の手』の習得をして次の日に試し打ち、それから2、3日ほどの休養を設けてイザヤの里へ赴く予定が習得まで4日もオーバーしてしまった。


「ノエルよ、慣らしができないということは……わかるな?」


「えぇ、覚悟はできてます」


 彼女がどんな人でどんな試練をかけてくるかはわからない。

 それに加え、昨日今日習得したばかりの『奥の手』もぶっつけ本番なのだからほとんど賭けみたいなものだ。


 里までは陸地から辛うじて肉眼で把握できる距離だったため、ウィルさんの創生術で作った即席の小船で向かうこととなった。


 孤島に上陸し、鬱蒼とした茂みを抜けると部族らしき人が警戒した様子で合言葉とも取れないような言葉を投げかけてきた。


「知人の古式英霊術士、ダレだっ?」


「ひっ、ねぇちょっとなんなのあの人」


「単純に門番じゃないかな? 部族ならそういった人はいてもおかしくなさそうだし」


「っていうかなんでノエルそんな冷静でいられるのよ」


「部族よりすごいの見てるからね、組織絡みのこととか」


 私の答えに「あー」って思い出したかのように気だるそうな反応を見せるエイミーを余所にウィルさんは門番らしき人の問いに即答している。


「知人ならフィオラとセレスだ。 そこの彼女、ノエルが試練を受ける」


 ウィルさんの返事に門番らしき人は「確認、取ッテくるゾ」と言いながらバカに大きな建物の中へと姿を消した。


 エイミーがビックリするのもわかる。 どこか仰々しいというか、周囲の人がこちらに奇異な視線を向けてるのも気にかかる。 やっぱり外界との接触を絶つとこうなっちゃうものなのかな?


 戻ってくるなり彼は「通レ」と言いながら石製の槍を下に降ろした。


「確認取れたって見ていいのよね?」


「そのようだな、行くぞ」


 進んでみた先には一本道が続いている。 なんとなく薄ら寒いのは中に光が差さないからなのかそれとも……いや、考えるのはやめておこう。


 ある程度進むとまたしても門番の姿が見え、私達を一瞥いちべつしながら問いを投げる。


「ノエル、ダレだっ?」


「あ、はい。 私です」


「……通レ」


 ここから先は手助けはない、頼れるのは私自身。


「ノエルっ」


「大丈夫だよ、ちゃんと戻ってくるから」


「身の危険を感じた時点で試練関係なしに逃げろ」


「死んだ身だからこそ言うが、生きてこそだ」


 エイミー達の激励を背に受け進むと身の丈より気持ち高い扉の前まで辿り着いた。

 フィオラさんから聞いた限り、開けた瞬間術が飛んでこないとも限らない。

 慎重に開け終え、中に入ると目の前には闘技場とも言える広さの場所へと出た。


「あのー、試練受けに来ましたノエルです。 リュミアさんいますかー?」


しばし周囲を歩くもリュミアさんの姿どころか声すら聞こえてくる様子はない。


 もう少し待った方がいいかと立ち止まるとペンダントが見たことのない早さで点滅しだし、頭の中に突如「避けて、足元から来るっ」と声が聞こえ、瞬時に風素で下がった。


「え……な、なんなのこれーーっ?」


 地中から石の円柱とてつもない速さでせり上がり、見上げた先には不遜に腕を組んだ女性が髪をなびかせながら私を見下ろしていた。


「私の不意打ちを見抜いたか、まずは第一関門突破だ」


「まずはじゃありませんっ。 当たったらどうするんですかっ」


「そうなったらそれは実力不足というものじゃ。 自己紹介しておこう、私はリュミア・エリシュヴァ、自分で言うのもなんじゃが英霊術の開祖に当たる」


 この人がリュミアさん……フィオラさん達の言った通り挨拶なしに仕掛けてきたよ。 


 いや、これがこの人にとっての挨拶ってやつなのかな。 けど話したがりというのはセレスさんが言った通りみたい。


「今日はお願いがあって来ました」


「古式英霊術を習得したいのじゃろう?」


「はい、そのために来ました」


 堂々と頷くなりリュミアさんは「はぁ……」とウンザリした様子で溜息を吐いた。

 私なにか怒らせることしちゃったかな?


「古式英霊術との名で広まってるのが気に食わんな。 外界に広まってるのは全て下位互換でしかないというのに」


「下位互換、待ってください。 それなら私が知ってるピュリファやリザレクトは……」


「見ておれ、原初のリザレクトなら……こんな事もできるっ」


 直後なにを血迷ったのか、リュミアさんは自身の左手を風素で作った刃で斬り落とした。

 一体なにをと固唾を飲むも束の間、右手を添えると同時に欠損したはずの左手が再び生えてきた。

 回復術は傷を防ぐことはできても無くしたものを再び生やすことはできない、一体これはなんなの……?


「驚いたか? これが原初の英霊術じゃ」


「……私でも習得することはできますか?」


 私の問いにリュミアさんはイタズラ心を見せるかの如くニヤついて見せた。


「私から1本取れたらな」


「上等ですっ」


 とは言ったものの、彼女の使う術が常軌を逸してるのがわかる。


 僅かでも隙を見せたら即大怪我。 さて、どうしようかな

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