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夢に残されし謎

 あれ? ここ、どこ?  広間? 目のまえにはひたすら階段……扉も開きそうになかったからとりあえず登って体感1時間したくらいでなるほどと合点がいった。


 きっと夢だ、こんな長く続く階段があるわけがないもの。

 そもそもここどこ? なんか上に続いてる感じからして塔っぽいけど、塔……?

 もしかして、ここって生贄に出された時の現場? もしそうなら夢だとしても登り続ければなにか見えるかもっ。


 螺旋状の階段を登り続けるも最上階が一向に見えず息も上がってきた。


「いつまで続くのこれ、夢の中で息切れとかリアル過ぎるんですけど……」


 まぁでも夢なら覚めるまで上を目指すだけ、そこに手がかりがあるかもなんだから。


「よぉーし、まだまだぁーーっ」

 

 勢いつけて駆け上がろうとした時だった。 


(……エル……ノエル……)


 ————


「ノエル、起きてってば、ノエルっ」


「あれ、エイミー? 私確か聖堂で頭が痛くなってそれから……村のみんなは? それから畑も……」


 目を覚ましたら宿屋のベッドだった。 跳び起きて現状を把握するため思考を巡らせようとしたものの、エイミーに大層呆れられた。


「なんでノエルはいつも自分ことより他人のことばかりなのよっ、急に倒れたからもしかしてレビィの攻撃が影響したんじゃって……心配する人の身にもなってみなさいよね」


「なんか心配かけちゃったみたいだね、ごめん。 そういえばルーシーは?」 


「畑の周辺にいるわよ。 なんか確かめておきたいことがあるんだとか」


 確かめたいこと? もうほとんど解決はしてるけどどうしたんだろう。

気になって外へ出てみると畑を改めて凝視してるルーシーがいた。

  私に気付いて振り返るなり軽く怒ってるように腕を組んで『もぉ』と言われた。

いつもながら無鉄砲ですみません。


「あらノエルちゃん、急に倒れてお姉さん心配したんだからね?」


「ごめんってば……エイミーから聞いたけどこの辺り調べてどうしたの?」


「えぇ、いくつか気になることがあってね。 例えばノエルちゃん、今の状況どう思う?」


 農地を一通り見渡してみるとそこはかとない違和感を感じた。


「完全に元には戻ってない?」


 私の答えを効いたエイミーはなにかを思い出したのか、木の棒で地面に図を書きながら陣の仕組みの説明を始めた。


「あたしもそれ思った。 本来この陣が聖堂にしか繋がってないなら解除したら元の状態に戻るはずなのに霊素はどこへ?」


「調べてみるわ、ちょっと待ってて」


 地面に手を当て霊素の流れの探知を始めて数秒後、ルーシーの顔が僅かに曇った。 

私もある程度予想はしていたがやはり……。


「間違いない、4割程の霊素が聖堂以外に流れた形跡があるわね。 私はほとんど向こうにいなかったけど2人はなにか心当たりある?」


「心当たりかぁ、ノエルなんかある? あたしは逃げながら撃ってただけだからよくわからないや」


「私も、変わったことといえばレビィが異様な攻撃力と防御力だったくらいかな」


 異常と言える硬さだった。 まるで霊素をどこかから集めた様な……どこかから集めたのだとしたらいったいどこから?


「あれはすごかった。 戦いが始まるとレビィの周囲が歪んで尋常じゃない硬さになってたよ」


「きっと原因はそれね。 自身を術式とし、霊素を吸収しながら戦ってたんだわ」


 冷静に思い返してる私とルーシーとは対照的にエイミーは拳を握り締めながら激昂してた。


「そのせいでみんなの大切な畑が……ほんっと許せないわね。 あのレビィってヤツ、弓撃つ前に1発ぶん殴ってやりたかったわっ」


「エイミーちゃん、気持ちはわかるけどまずは村長さんへ挨拶行かないとね」


それから私達は村長さんの自宅へ向かうと深々とお辞儀をされた。


「私達だけでなく畑も元の状態に戻してくださるなんて、ハートユナイティスの方々には頭が上がりません」


 そんなに称えられると照れる通り越して恥ずかしいな。

 少し舞い上がりそうになるも、エイミーが申し訳なさそうに


「全てが元の状態ではないけどね。 それより聖堂派手にやっちゃたけど、お咎めなしでよかったの?」


「そそそ、そうですよー。 修繕費となると土地、堂内の装飾品に設備にあわわわわ」


 私やエイミー以上にルーシーは聖堂の周辺を抉ったことを気にしていたが村長さんはそれを「ご心配なく」と言いながら立派な顎髭を触りながら言った。


「あの建物は本部の寄付で成り立ってましての、それに村の恩人から金なんて取れますまい。 君たちとあの青年のおかげじゃ」


「そう言ってくれると助かるわ。 2人共、私に怒られなくてよかったわね?」


「ちょっと勘弁してよルーシー、そうでなくてもしょっちゅう叱られてるのに……ってどうしたのノエル?」


 事件は一応の解決を迎えたが、依頼書とその差出人のことがどうにも腑に落ちない。

 もっと詳しく聞きたいけど下手に話すと不安を煽ることになる。 なにより彼への疑問は私の個人的な用に過ぎない。


「村長さん、差出人の方に会えたら私からよろしく伝えさせていただきますね」


「そうしてくれるとなによりじゃ。 もし彼に会う機会があったら連れてきておくれ。 村の作物を振舞いたい」  


「そうですね。 その時は私達も一緒にお邪魔します」

 

 こうして一応の解決を迎えたが、この一件は手がかりを探す私がこれから巻き込まれる多くの事件の1つに過ぎなかった。

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