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リベレーター・元生贄と絶望から咲いた希望たち  作者: モッフン


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厄介な怪呪

「ノエルの周りに氷の塊が、これは……」


 この距離なら投げつけても十分当たるけど相手は変異種、普通の魔物と同じ感覚で対応するのは危険が過ぎる。

 一度解析してみよう。 霊素結合……っ!


 眼前の魔物達を解析するもあることに気づいた私はすぐさま術を解除して風素で距離を取った。


「2人ともごめん。 私この子達のこと倒せない、ううん……倒さずに追い返したい」


 当然だけど2人は私の一言に困惑の表情を浮かべる。


「ノエルちゃん、どういうことっ?」


「ルーシーの故郷の危機だってのに魔物にまで情を移してる場合じゃっ……」


「彼等は魔物じゃない、ただの動物だよっ」


 説明する時間を稼ぐため雪原の雪を目いっぱい利用し氷の壁、「コールドウォール」で変異した動物たちの足止めをした。

 一時しのぎだけど侵攻は食い止めた。 これで事情を説明できると思い胸を撫で下ろすと同時、エイミーとルーシーが冷静かつ真剣な様子で詳細を求めた。


「どういうことノエル、あの魔物たちが動物って」


「術を撃つ間際で戸惑った以上ノエルちゃんになにかを感じたと見て間違いはないのよね? 詳しく聞かせて」


「そのつもりだよ。 よく聞いて2人とも、あの子達は呪いに侵されている」


「ちょっと待って、それってあのぼうそうしてる1頭1頭全部にその呪いってのがかかってるってこと?」


 私が深く頷くとエイミーは驚きと同様が混じったような顔で困惑し、ルーシーはなんとも形容しがたい複雑な面持ちを浮かべていた。

 物事を割り切るプロ気質とはいえルーシーだって血の通った人間だ。

 なんの罪もない動物が強制的に暴走させられてると知れば物悲しい顔になるのも無理はない。


「ノエルちゃん、私は故郷をなんとしても守りたい」


「ルーシー……」


「けど、私だってそこまで薄情じゃないわ。 だからノエルちゃん教えて、どうすれば彼らを殺めずに追い払えるのかをっ」


「っ! うん、どっちも救おう。 ルーシーの故郷も、暴走してるあの子達もっ」


 手を取り合いキャッキャする私とルーシーを尻目にエイミーが照れ隠しのようにどう動くかの指示を仰いだ。


「ほんとあたしらってつくづくお助け屋さんよね。 んで、どうやってあの子達の呪い解くの? またサイラん時みたいにピュリファでもかける?」


「ううん。 この前のはただ強い呪いに対してこっちも強いのをぶつけただけで済んだけど、今度のは強力な呪いじゃない分かなりめんどくさそう」


「どういうことよ?」


「3重に分けて呪いの術式が施されてるってこと」


「あの1頭1頭に? 全部? ウソでしょーっ?」


 壁が持ち堪えてる内に策を考えなきゃ。

 複数層に分けての呪いは厄介だけどリズィのようなずる賢さは見えない。

 誰の術式かは知らないけど、こんな卑劣ことしてるんだから組織の人間確定ってことでいいよねいや、私がそう決めたっ!


「3発、3発であの子達の解呪をやるよ」


「あの数よ? 冗談なら時と場合を……」


 オロオロしながら異を唱えるエイミーの前でルーシーが異空間からハンマーを取り出して再び構える。


「3発ね、わかったわノエルちゃん。 どう動けばいい?」


「ちょっ、待ってルーシー、そんな無茶振りマジで真に受けてるのっ?」


「できるわ。 ノエルちゃんの詠零術と私の転移、あなたの弓での牽制があればね?」


 どんな無謀な局面でもノーと言わない辺り流石プロ、ルーシーの一言にエイミーはへきへきとした様子で剣弓を構えた。


「結局こう……もう言い飽きたわね、いいノエル、言った以上3発で解呪決めなさいよね?」


「言われなくてもっ」


 じゃれ合うように答えながら手を氷の壁にかざすと、暴走してる動物達がまるでエサをお預け食らってたかのようになだれ込みだした。

 ルーシーの故郷と被害にあった動物達、どちらも測りにはかけさせないっ。

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