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12話

「こんにちは。『ミュータント製造計画』の脱走個体・・・・・・いや語りかけに意味はありませんか。なんならこんな長い名称を使うのにも意味はありませんね」

 和室の中にいたのは黒いジャージを着た、美少年だった。巨大な盾を左手に持ち一流の無職のような気怠さと、一流の殺し屋よりも強い殺気を同時に放っている。

 中々に異様な空気だ。

「君がニンジャのタテ君ニャ? ニンジャがでかい盾もっているって、担当職員さんが言っていたニャ」

「ああ、あのペラペラ情報喋った人ですか。頭の悪い人でした。あの人は結果的に利敵行為をしたのでで、地獄に送ったんですけど」

 少年はけだるげにそう答えた。

「君たちに利敵行為したら、天国いけるニャよ」

「それだと、地獄へのチケット余っちゃいますね」

 じゃあ、と2人は同時に口にする。

「あなたにあげますよ。このチケット」

「タテ君が使うニャ。そのチケット」

 少年は盾を構える。

エルハは爪を構える。

「刃心殺陣。殺す理由は『そいつが意味を持って生きているから』」

「私の名前はエルハニャ。君を殺す理由は・・・・・・。邪魔だからニャ」

 2人の盾と爪が交差する。




 ――盾を鈍器として使うのは悪くないアイディアニャけど――

 エルハは攻勢に立っていた。

 殺陣は情報通りに盾心を使い、圧し、殴り、潰しに来る。巨大な盾による重量攻撃を防御するのは難しい。

だが俊敏性、反射性に欠ける攻撃を回避することは難しくない。

――良くもないアイディアニャ。小さい体で動かせているほうだとは思うニャけど、さすがに使っている武器が重すぎニャ。

 エルハからすれば盾心に気を付けて爪でカウンターをすれば、相手は勝手に消耗する。まだ一撃も当たっていないものの、当たるのは時間の問題。

 実際、20秒もたたないうちにエルハの爪が殺陣の左足を切り裂くことができた。

 あたりに吹き出す血飛沫。足が取れるまではいかなかったが殺陣のアキレス腱が斬れてしまった。これで動きはさらに遅くなる。

「そろそろあれ使わないと死んじゃいますね。僕。あーあ、あれは使いたくなかったんだけどな。奥の手ですし」

 本当に気怠そうに溜息をつきながら言う殺陣。

「命乞いや土下座でもする気ニャ?」

「使うのはそんな意味の無いことしません。使うのは――」

 盾心を持ったままバク転をしてエルハから距離を取る殺陣。とても左足が使えなくなっているとは思えない。

 そして両手を使って印を結び、はっきりと術の名前を唱える。

「忍術。轟蟲」

 そう唱えた瞬間、殺陣のジャージからモゾモゾと大量の黒い何かが出てきた。

 そしてその大量の何かが、エルハの不意を突いて襲う。

「! やばいニャ!」

 ぎりぎりで黒い何かを避けるエルハ。

勢いのまま壁にぶつかった黒い何か。が、黒い何かは5つに分裂してエルハを追う。

「僕の忍術、轟蟲は大して面白くない忍術でしてね。ただ生物をドーピングして操っているだけなんですよ。操っている生物もそこらへんにいる――」

 分裂した黒い何かをなんとか4つ目までは完璧に避けたが、最後の5つ目が腹に直撃した。

 激痛の走る腹。それも打撲の痛みではなく大量のカッターの刃で切り刻まれるような痛み。

 そしてその時、エルハは黒い何かを間近で見た。色は近くで見ると意外と褐色で、足で潰せるほど小さく、6本の足を持ち、凶暴そうな牙を見せる、世界中に生息するありふれた生物――

「蟻ですしね」

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