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てのひらの魔法  作者: 百目朱佑
夏休み後編
148/151

ー148-

右京先輩率いる西都Aチームとの対戦が終了すると、すぐに東都治癒協会の治癒師たちが西都生の治療にあたった。

すぐに鬼酒草の長期服用が発覚し、重症者が多くいたがわずかに自我が残っており、あともう少し遅ければ二度と意識が戻らず手遅れになっていたそうだ。

西都生は全員、東都異能大学病院に送られた。

唯一意識がはっきりしていた右京先輩は、病院に送られる前、小鷹先輩にお礼を言っていたそう。

小鷹先輩はあの様子なら回復も早いんじゃないかと教えてくれた。


そして念のため西都と対戦した選手も鬼酒草の影響がないか確認も行われた。

これには私もお世話になり、無事に問題ないことがわかると先に確認が終わった先輩たちが待つ控室に戻った。


「お待たせしました!」

「おー。おかえりー立華。なんともなかったか?」

「うん、全然大丈夫だったよ!」


先輩たちも鬼酒草の影響がないとわかり、一息ついていたようだ。

一番異能力を使ったであろう小鷹先輩もケロっとしており元気そうで安心した。


「よし、昼飯行こうぜ~」

「俺めっちゃ腹減った~」

「からあげあるか楽しみだな」

「栄一郎君…瑠璃ちゃんと真紀ちゃんいるの忘れてないよね?」


そうからかう栄一郎君を軽く睨みながら控室を出ると、見たことない勢いでりく先生がやってきた。


「立華!!ちょっと来い!!」

「え?」

「お前ら!こいつ少し借りるからな!!」


と、先輩たちが目を丸くしている間に、私はりく先生に腕をつかまれ、どこかに引きずられていった。




ー 審判控室 ー


りく先生に連れてこられたのは審判控室の目の前だった。

いったいなぜ私がここにいるのか見当もつかないのだが、りく先生はなにか企んでいるようだ。


「お前、まだあの術かかってるよな?」

「あの術?」

「大雅さんのつくった術だよ」

「あ、はい。ホテルに戻るまで有効になってるそうです」


するとりく先生は不気味に笑いだし「ちょうどいい術つくった大雅さんに感謝だな」とつぶやいた。

そしてりく先生に何個も積まれたお弁当を渡された。


「これ、配りに行くぞ」

「え!?わ、私がですか!?」

「俺も一緒だ」

「で、でもこれ普通陰陽省の職員さんのお仕事ですよね?!」


突然のことに混乱する私。

なぜなら審判控室に入室できるのは陰陽省職員のみと決まっているからだ。

選手や高校関係者が模擬戦と関係ないところでの接触は賄賂や、西都のように買収など疑われかねないし、お弁当の配布も異物混入などのおそれがあるため陰陽省の担当者が毒見後に配布される。

そんなルール違反なことをしなければいけないのかと慌てる。


「大丈夫だ、俺だって本来は陰陽省の一員だぞ?」

「で、でも私は違いますよ!?」

「今しかチャンスはないんだ。いいから、俺に任せとけ。行くぞ」

「えぇ~~~~!!」


半ば強引にりく先生に押し込まれた審判控室。

先輩たちの迷惑になるかも、審判の人たちから怒られるかも、という不安と、りく先生の無茶ぶりを泊めなくちゃという焦りで心臓はバクバク。

りく先生の背中に隠れながらチラリと控室の中を覗くと、そこには誰もおらず、壁に陰陽省のマークが並んでいるだけだった。

誰もいないことにほっと肩をおとすと、審判たちはそれぞれ壁の向こうの結界の中にいるとりく先生は教えてくれた。

壁に浮かんだ陰陽省のマークにりく先生が近づくと、名前が浮かび、在席しているかの有無が表示された。

すると突如扉が現れ、驚いているとりく先生は顔色ひとつ変えずにコンコンとノックした。


「はい」

「橋本です」

「お、お待ちください!」


中から声がすると慌てたように扉が開き、審判のおじさんが顔を出した。

年齢はずっと審判の方のほうが上なのに、りく先生に深く頭を下げて挨拶した。


「えっと彼女は…?」

「あぁ、西都高校の件で職員が足りなくて手伝ってもらってます」


と、りく先生が一言言うと、不思議そうだった審判も納得したようだ。

りく先生がの一言であんなに厳格なルールでも納得させてしまうなんて、本当に陰陽省のすごい人なんだと、初めて目の当たりにした。


その後も次々に審判のおじさんたちの結界を訪ね、お弁当を渡す私。

りく先生に対してぶっきらぼうな人、私が手伝っていることに批判する人、私を無視する人、りく先生が言うならと寛容的な人など反応が二分された。

私の顔を見るや否や「男子生徒がどうして一緒なのだ」「男子生徒を連れてくるなんてルール違反だ」と攻撃的になった審判も何名かいた。


お弁当を配り終え、審判控室に戻ってきた頃にはなぜ私が駆り出されたのか理解できた。

北都高校の制服を着ている私は、いまや西都高校に買収された審判にとっては敵なのだ。

りく先生はそれをあぶりだそうとしたんだ。


「いや~助かった。おかげで買収審判が絞れたぜ」


と、戻ってきたりく先生はご機嫌で悪い顔してニコニコしている。

学校では決して見たことない顔なので、ちょっとおもしろい。


「でもりく先生なら私がいなくても絞れたんじゃないですか?」

「それがそうもいかねーんだよ。あの結界が俺が用意したから、ルール上、指定された時間以外はあの中で技使えないんだよ」


りく先生が言うには、大会期間は不正防止のためメンテナンス時間以外は立ち入りも禁じられているらしい。

どうやら昔、結界師同士の派閥争いが全盛期だった頃、模擬戦中に敵対派閥に肩入れする職員の結界に侵入し機密情報を盗んだとして学生たちの大会が中断になるほど過激な戦いが起こってしまったのだそう。

それから創り手と警備は担当者は別、メンテナンスには2人以上の立ち合いが必須、緊急時にはこの技は使って良くて、この術は禁止、など細かいルールが設けられたと教えてくれた。

だから「ルール違反だ」と厳しく批判していても、私に敵意なく「女子生徒」と言う審判の方もいたのか、と納得した。

逆にいうと「大変ですね~」と労いながらも「彼も出場されてるんですか?」など、私を男子生徒とみてる人もいて、大人の世界は大変だなと思った。


「これであのうるさい爺どもを黙らす理由ができた」


りく先生はこのルールをずっと撤廃させたくて仕方ないのだと。

連れてこられたときはびっくりしたけれど、ふうちゃんの術と私がいることでりく先生の役に立てならうれしい。


「付き合ってもらって悪かったな。俺はもう一仕事あるから昼飯行っていいぞ」

「わかりました!」


審判控室を出て、りく先生はまたどこかへ向かおうとしたときだった。





「り~~~~く~~~~さ~~~ん~~~~~?????」




なんと廊下の壁から黒いオーラをまとったふうちゃんがあらわれたのだ。


「げっ・・・遅かったか・・・」

「ふうちゃん?!」

「えでか、こっちおいで?」

「う、うん?」


ふうちゃんの伸ばした手をとると、壁と結界層の境界線でまるで壁の中に入り込んだようだった。


「た、大雅さん…?これには理由が…」

「りくさん、正座」

「え!?」

「…はい…」


ふうちゃんの一言で素直に廊下に正座したりく先生。

周りに誰もいないとか言え、壁にむかって頭を垂れてるりく先生がいたらびっくりさせちゃわないだろうかと心配になった。


「りくさん、俺たちが大学病院に移動してる間にえでかになにさせてんですか」

「すみません…」

「ましてや審判団に会わせるなんて!記録でみたけど!えでかにひどいこと言ったやつもいるじゃん!!えでかを傷つけさせないでよ!!」

「はい…ほんとすみません…」


審判のおじさんたちがりく先生に頭があがらなかったように、今度はふうちゃんに頭があがらないりく先生。

その後も「えでかが傷ついたらどうするの!」とか「目つけられたら大変なのに!」ってふうちゃんのお説教がとまらない。

りく先生は言い訳せず、素直に謝っているけれどふうちゃんはとまらない。


「だいたいりくさんは…!」

「ふうちゃん」

「…えでか?」

「私なら大丈夫だよ?むしろふうちゃんが私のためにつくってくれた術で、りく先生の役にたててうれしいんだから」

「でも…」

「それに結果的にはふうちゃんの役にもたてたってことでしょ?そしたらもっとうれしいよ?だからそろそろ許してあげよ?」

「えでか…」


そう言うとふうちゃんは「はぁ~~…」と長い溜息をついて、私の肩をぐっと引き寄せた。


「りくさん!えでかがそういうから今回は見逃すけど、次はもっと怒るからね!!えでかに感謝してよね!!」

「恩に着ます」

「もうっ!」


ようやく頭をあげたりく先生は、ふうちゃんに怒られてたと思えないくらいすっきりした顔をしていた。

よっぽどりく先生たちに敵対する派閥メンバーをしぼれてうれしいみたい。

これにはふうちゃんもお説教したかいがなくて、呆れていた。


「じゃぁ、後はよろしく頼んだよ」

「もちろん、お任せください」


と、りく先生は立ち上がり、やる気に満ちた目でどこかの結界層へ入っていった。

「あ、兄ちゃんも知ってるから」と、りく先生の背中に声をかけると、おきらかにがっくりを肩を落としていて、ふうちゃんはにやっと笑っていた。

でも学校ではいつも気怠そうなので、あんなにやる気満々なりく先生を見たのもはじめてだった。


「ふふ、りく先生、うれしそうだったね」

「もう、えでかはりくさんに甘いんだから」

「そうかな?」


そりゃ担任の先生だし、毎日特訓もつけてもらってるし、ピンチのときは助けてもらってるし、私が付き合うことでりく先生の役に立てたのがうれしいだけなんだけど。

でも甘くなると言ったら、ふうちゃんくらいじゃないかなと思う。

ふうちゃんのお願いだったら、なんでもきいてあげたくなっちゃうもん。


「~~~~。・・・VIPルームまで送る」

「うん!ありがとう、ふうちゃん!」


照れ臭そうなふうちゃんに手をひかれると、境界線になっていた壁が閉じられた。

てっきり普通に会場の中から行くのかなと思ったので、私はふうちゃんに尋ねた。


「ふうちゃん、こっち私入っても大丈夫なの?」

「俺がいるから大丈夫。はぐれないように手離さないでね」

「わかった。離さないよ、ぜったい」


ふうちゃんの手をぎゅっと握りかえした私は、何層も丁寧に重なってアーチのような結界層を進んだ。

レベルの高い結界ほど美しいと言われているが、現実感のない結界層なんだか夢の中をお散歩しているようだった。


「ねぇふうちゃん。西都生のみんな大丈夫そう?」

「うん、えでかたちが頑張ってくれたからね」

「私はなにも!先輩たちのおかげだよ」

「でもえでかが鬼酒草だって見つけてくれたんでしょ?えでかも頑張ったんだよ」

「…ありがと」


照れ臭くて、どうしたらいいのかわからない。

もっとうれしい気持ちとか、ありがとうって気持ちを伝えられたらいいんだけど、私の辞書には存在してないかのように言葉がでてこない。

そんなことも含めてふうちゃんには伝わっているし、ふうちゃんもそんな私でも変わらず大事にしてくれるから甘えてしまう。


「ふふ、そういえば午後の予定は連絡きた?」

「ううん、まだなにも聞いてないよ?」

「いま兄ちゃんたちが午後も続行するか会議中なんだ」

「え!?そうなの!?でもそっか…西都生出場できなくなっちゃったもんね…」


となると、明日の決勝戦も開催が危うい。

せっかく先輩たちここまで勝ち進んできたのにと思うと、仕方ないけれど残念でしかない。


「きっと続行すると思うよ。右京が続行を望んだんだ。自分たちのせいで中止はしないでほしいって。だから大丈夫じゃないかな」

「右京先輩が…」


それに右京先輩だけではないらしい。

意識を取り戻した西都生たちが皆そう望んでいるのだそう。

なので中止を提案する審判が多いところ、お兄さんが続行するよう説得していると教えてくれた、


「西都生…みんなはやく元気になるといいね」


そう言うと、ふうちゃんも「そうだね」って微笑んだ。




ふうちゃんとお喋りしていれうとあっという間にVIPルームの結界層に到着してしまった。

ホテルに帰ったら会えるとはいえ、今日はあまり魔法でお喋りすることもできなかったからちょっと物足りない。

でもふうちゃんは大事なお仕事中なのだから、わがままは控えねば。


「えでか」


と言っても、その気持ちも全てお見通しなんだけど。


「??」


そんな私の気持ちに優しくふれるように、そっと頬にふれたふうちゃん。

すると頬にスッとふうちゃんの異能が流れ込んできて、頬に怪我をしていたのに気づいた。

いつの間に怪我してたのだろう。

爪でひっかいてしまったのだろうか。


「ありがとう、ふうちゃん。全然気がつかなかったよ」

「ううん、どういたしまして。帰るとき教えて?また櫻子姉さんがくるまで一緒に待ちたいから」

「うん、わかった!送ってくれてありがとう!またあとでね!」


名残惜しさも治療されたのか、帰りが楽しみになって、みんなが待つVIPルームに入るまで何度も振り返って手を振った。




部屋に入るとみんなお弁当を食べている途中で、聞いていた通り波多野の姿はなかった。

正直さっきまで西都のことや、ふうちゃんに会えたうれしさで波多野のことをすっかり忘れていた。

そしてきっと私の席で、私のお弁当なのだろう。

別皿にのせられたからあげが用意されていた。


「栄一郎君~~~~~??!!」

「ち、違う!!俺だけじゃないぞ!?」

「楓、からあげ好きなんでしょ~?俺の分も食べてあげたんだー!!」


なにがあったかなんて全く知らない博貴の、純粋な笑顔に対し、りさちんやダイヤちゃんはなんとなく事情を察していた顔をしている。


「なになに?立華、どうしたの?」

「瑠璃ちゃん!!真紀ちゃん!!あのね!!」

「ばっ!!やめろ立華!!!」


本気で焦る栄一郎君を先輩たちは笑ったり、やれやれと呆れたり、お昼はとってもにぎやかで、山盛りのからあげはみんなで一緒に食べた。

しばらくして、栄一郎君が真紀ちゃんにしめられた頃、館内放送のチャイムが鳴った。


『陰陽省統括の水樹です。先ほどの騒動についてと、今後の運営について報告します』


と、アナウンスがあったため、みんなでギャラリー席に顔を出した。

博貴はお兄さんがアナウンスしていることに驚いて、手を振っていた。

お兄さんが話した内容は、ふうちゃんが教えてくれた内容と変わらず、大会は西都側からの希望もあり続行されるということだった。

大会がこれからどうなるか不安だった生徒も多かったのか、続行とわかると会場中から歓声と拍手がわきおこった。

なんとなくお兄さんもうれしそうな気がした。



「続行かー。とりあえず一安心だな」

「そうだね。西都生も回復にむかってるみたいだし」

「まぁちょっと物足りねーけどなー」

「でも続行希望してくれた右京君のぶんも頑張ろう」


まもなく午後の個人戦がはじまることになったので、お弁当を片付けつつコートへ降りる準備をはじめた先輩たち。

私も治療セットの補充を確認していると、瑠璃ちゃんがくすっと笑った。


「小鷹君、成長したのね」


そう言われた小鷹先輩は「そうかな?」と首をかしげていた。

昔付き合っていた瑠璃ちゃんは、きっと私たちの知らない小鷹先輩を知っているんだろうなと思う。


「個人戦も頑張ってね、小鷹君」

「ありがとう、頑張るよ」

「栄一郎も!負けんじゃないわよ!」

「あぁ、いってくる」


瑠璃ちゃんと真紀ちゃん、そしてりさちんたちから激励をうけながら送り出された先輩たち。

個人戦は先輩たちの出番がバラバラなので、サポートの私は時間帯によっては、あちこちのコートを行ったり来たりすることになる。

しっかりサポートしなくちゃと、私もみんなに見送られながら気をひきしめた。






ー ホテル 楓の部屋 ー


「つ、つかれたぁ・・・・・・」


予選の全日程が終了しホテルに戻ってきた私。

櫻子お姉さんも西都高校の騒動をもうすでに聞いていたみたいで、ふうちゃんと合流して正面ゲートに向かうと心配して待ってくれていた。

櫻子お姉さんの顔をみたら長かった一日がやっと終わることに安堵したのか、制服のままベッドに倒れ込んだ。


「だめだぁ・・・着替えないと・・・荷物も・・・出さなきゃ・・・・・・」


程よく重たい疲れが、どんどん私をベッドに沈めていく。

もう今が夢なのか現実なのかわからないほど、ふわふわしてる。

この眠気に抵抗する力も気力も残っていないので、あきらめて少しだけ、30分ほど目をつむることにした。







「・・・か」


「・・・えでか」

「ん・・・・・・」

「えでか、夕飯の時間だよ」

「へ・・・・・・?????」


重たいまぶたをあけるとふうちゃんが「おはよ」とほほ笑んでいた。


「えでか、起きれる?櫻子姉さんがご飯できたって」

「ごはん・・・?」


おかしいな。

だってついさっき帰ってきて、横になったばかりなのに。

ふうちゃんもまだお仕事があるからまだ帰ってこれないはずなのに。

もしかしたら夢なのかなと思ってまたまぶたを閉じた。


「ふふ、夢じゃないよ、えでか」


夢じゃない?

ふうちゃんが帰ってきてる・・・櫻子お姉さんのご飯・・・・・・。

ってことはもしかして私ーーーー


「わっあ、あ、あれ!?私、寝すぎちゃった!?」


一気に意識が覚醒した私。

30分だけと思っていたのに、起きたら着替えて荷物も出してって考えたのになにひとつできてないことも理解して飛び起きた。


「大丈夫だよ、今日は疲れたでしょ?鬼酒草の酔いも少し残ってたみたい」

「そうだったの?治癒師の人は問題ないって言ってくれてたけど…」

「気張ってたから大丈夫だったんだと思うよ」

「そうだったんだ…」


だからこんなに眠くて、ふうちゃんが帰ってくるまで一瞬だったんだなって納得した。


「今日は特訓お休みでいいって言ってたから、ご飯食べてゆっくり休もう?今日はカレーだって」

「カレー!?食べたい!」

「じゃぁ着替えておいで。待ってるから」

「うん!起こしてくれてありがとう、ふうちゃん!」

「こちらこそ」


ふうちゃんを見送るのに立ち上がると、さっそくカレーの匂いがしてきて私の食欲を刺激した。

私は寝てただけなのに「こちらこそ」ってどういうことだろうって思ったりもしたけれど、カレーが私を待っているので急いで着替えて櫻子お姉さんのお手伝いにキッチンに向かった。





続く

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