表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
てのひらの魔法  作者: 百目朱佑
はじまり
1/151

ー1ー

異能設定ですが両片思いの恋愛メインです。

初投稿なのでどうか温かい目で完結まで見守っていただけると嬉しいです。

ーーーーーーーーーーーーーーー





17歳をむかえた日の夜。

私のことが大嫌いで、私も大嫌いなあいつの夢をみた。

でもどこか懐かしくて、嬉しくて、差し出された彼の手をそっと握った。





ーーーーーーーーーーーーーーー




ここは北都異能高等学校。

『異能』をもつ者だけが入学を許可され、実家の神社を継ぐ者や国の政に関わる陰陽師になる者、異能アーティストとして芸能界を目指す者など多彩な能力者が集まる学校だ。



そしてこの世界には異能をもつ者にしか見えない『鬼』がいる。

『鬼』は『蟲』を使役し異能をもたない者を操り、他者の精神を攻撃したり、自殺を促したり、目に見えない形で現れる。

SNSを炎上させるのも『鬼』や『蟲』の仕業。


だから異能学校の中には『鬼狩り』を目指す者も多く、日々能力向上のため座学から実践訓練まで行うため、一般の教育とは異なっている。


言わば、世界のために、異能をもたない一般人のために、戦うかっこいい人の集まりなのだ。




そんな中、私は一般人に近い異能者。

小学校の卒業式、卒業証書には異能判別機能がついており、授与の際、異能者は卒業証書が光る仕組みになっている。

光った者は異能中等学校へ進むことになる。

卒業式というより異能判定式なのだ。


そして光の強さで能力値の強さ、珍しさ、タイプなどがわかるのだが、私の卒業証書は縁取りの模様が光ったくらいで、めでたい卒業式なのに全校生徒の前で

「私の異能はこのレベルで大したものじゃありませんでした」

って宣誓しているようなものだった。



しかし訓練次第で異能力が飛躍的に伸びるケースも珍しくないため、異能中等学校に入り、期待を胸に膨らませながら3年間努力した。

夜遅くまで座学の予習復習はもちろん、能力の質向上のための早朝トレーニングもかかさなかった。



結果はいつも下から数える方がはやかった。

なぜなら私が努力していたことは、周りもみんな当たり前にやっていたことだから。

それでも挫折せず、ここまで進めたのは、毎年誕生日になると寮でパーティーを開いてくれるような友人に恵まれたからだろうなって思う。





ー2年 朱雀組ー



「楓ちゃん、おはよー!よく眠れた~?」

「おはよー!昨日は誕生日パーティー開いてくれてありがとう!楽しすぎてぐっすり寝た!」

「楓ちゃーん、おめでと~!さっそくなんだけど相談いい・・・?」

「ありがとー!もちろん!」


平凡な私だけど、少し変わった能力がある。

私も私も!とクラスメイトと女子たちが私の机に集まってくる。



「さて、今日のご相談は?」


異能とは違う、私の少し変わった能力



「あのね…昨日倶楽部の技トレーニングでゆうた君とペアだったんだけど、私失敗して泣いちゃって…その時抱きしめられたの!あれ、どういう意味だったのかなって思って…」

「なるほどなるほど…りさちんのことが好きだから抱きしめてくれたのかどうか知りたいわけね」

「うん…でもゆうた君、前から好きな人がいるって噂だし…もし良い感じだったら放課後に告白しようと思うの!」

「わかった!!まかせて!」



私はゆうた君の気持ちを探るため、机の中から枕をとりだした。



「じゃ、いってくる!」



そう言って私は大きくて白くてふかふかの枕に顔をダイブさせ、女子たちの「いってらっしゃい!」の声と同時に目を閉じた。



「・・・」

「・・・・・・」

「・・・すー・・・すー・・・」



「寝た!」

「寝たわ!」

「あ~~~ドキドキする~~!!」

「楓ちゃんの夢占い、的中率100%だもんね~」

「異能とは違うみたいだけど不思議だよね」

「…それにしてもいい寝顔ね」




そう、私の異能とは違う、変わった能力は『意図したことを夢に見る』こと。

失くしものがどこにあるのか、テストの回答、部活の試合結果、明日の天気、流行りの漫画の最終回など。

過去から未来まで意図したことを夢で見ることが可能なのだ。


そして人の気持ちも夢で見ることができるので、朝から放課後まで私の前には恋愛相談待ちの女子の列で絶えない。



「おはよー。お前らまた立華のこと寝させたのかよ!起こせ起こせ!授業はじまるんだから!」

担任の先生がやってきて、女子たちはぶーぶー言いながら残念そうに席に戻っていく。



「でもさゆり先生もこの前楓ちゃんに相談してたよー」

「え!!」

「あはは!りく先生顔真っ青ー!!」

「うるさい!!はやくあいつ起こせ!!」



「…ん。」

「楓ちゃん!どう…だった…?」

「…大丈夫だよ、きっとびっくりするから放課後頑張って!」

「!!!…うん!ありがとう!!!」


顔を真っ赤にさせて席に戻るりさちんをクラス中の女子が祝福する。



「お前らいい加減座れ!!あとお前も寝るな!!」

「あはは!はーい!!」

「もう俺このクラスいや…なんで女子しかいないんだよ…」



私の異能力は中学3年間どんなに頑張っても平凡で、皆より劣っているけど、そんなこと気にならないくらい幸せなのは、ちょっとかわいそうな先生といつも明るい友達のおかげだな。

って心の中でいつもいつも実感して、さらに幸せな気持ちが広がる。




「……チッ!」



(ん?舌打ち?)


幸せな気持ちが稲妻を落とされたように一瞬で破裂した。

そんな不快な音は廊下から聞こえた気がして廊下を見ると、白虎組の問題児、波多野 明が私を睨んでいた。



「おっ。今日は珍しくはやいなー。はやく教室いけよー」

「…はい」



りく先生に返事はしながらも、私を睨みつけたままあいつは教室にむかっていった。


(あいつ…私しか気づかないように舌打ちしてた!!)

(いつもいつもすれ違うたびに舌打ちしたり…いったい私がなにしたっていうのよー)

(あーーー腹立つ!!ほんっっとに大嫌い!!)


私はいらいらしたまま枕に顔をうずめた。



波多野 明とは中等学校から同じ異能戦闘倶楽部のチームメイト。

少しでも異能力を高めたかった私は戦闘には不向きながらも入部した。

おかげで治癒能力と草花の成長を促す能力が目覚めたが、戦闘には役に立たないため治療隊として活動していた。


波多野とはクラスも違うためこれまでほとんど関わることはなかったが、高等学校に進学してからなぜかすれ違うたびに舌打ちされたり、私にだけ聞こえるように「弱虫」「底辺女」など悪口を言ってきたり、ふと視線を感じて振り返ると睨まれていたり…と、いじわるされるようになった。



私が波多野に嫌がらせをしたり、傷つくようなことをしたのなら誠心誠意謝るなどできるのに、なにも心当たりがないから、波多野に会うたびに地味に傷つく日々なのだ。


だから私はあいつが大嫌い。


(私がなにしたのかわからないけど、あいつが私を嫌いなら、私もあいつなんか大嫌い!!!!)


あんまり人のことを嫌いになることはない私でも、あいつのことは心底大嫌いだ。




「あ!!」



その瞬間思い出した。


(今日の夢・・・なんであいつが出てきたの・・・?)

(しかも手つないでたし・・・なんか懐かしかったような・・・)



さっきみたいに『意図した夢』を見るために寝ることもあるが、いつもの睡眠時に『意図していない夢』を見ることもある。

その場合未来を見る予知夢だったり、危険を知らせていたり、抽象的な知らせだったりすることもある。


(んー、なんてことない普通の夢の場合もあるけど、それとはちょっと違ったんだよなー)


「痛っ!!!!」


頭に衝撃がおこり、目をあけると先生が枕をとりあげたことがわかった。

私はそのいきおいで机に額をぶつけたのだ。

私のチャームポイントのおでこが赤くなっている気がする…。


「あ・・・」

「たーちーばーなー・・・いつまで寝てんだよ!!!」

「ごめーん!!だから枕返してーー!!!」



(うん、今日の夢は忘れよう!!!!!!!!!!!!!)




続く

拙い文章ですが、読んでいただきありがとうございます!

文章を書くのはなれてませんが、完結目指して頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ