プロローグ
初めまして、かわなおと申します。
一話が短めのお話ですが、よろしくお願いします。
「優くん」
「優ちゃん」
「優」
図書室で僕を呼ぶ声が聞こえる。
ああ、どうしてこうなった。
僕はただ、静かに本を読んでいたいだけなのに……。
僕は佐山優。
私立迫桜学園に通う一年生だ。
ここは文武両道を掲げたレベルの高い学校で、家族の勧めもあって受験し、無事試験を突破。
この春入学したのだけれど……。
まだ五月だというのに、もうすでにボッチが確定。
それというのも、入学式の翌日。
僕は39度の熱を出し、病院でインフルエンザと診断されて一週間の隔離。
久々学校へ来てみれば、すでにグループ分けは済んでおり、あれよあれよという間にゴールデンウィークへ突入。
今ではこうして立派なボッチの出来上がりというわけだ。
他にもチラホラと同じような境遇の者もいるようだけど、だからといって話しかけられるようなら、こんな拗らせ方をしていない。
互いに目は合うものの、それ以上の発展はなく、どちらも様子見を決め込んでいる感じだ。
かく言う僕も、陰キャでオタクなうえにコミュ障。
だから心配した親の勧めで姉のいるこの学校を選んだというのに、これでどうすれば友達ができるというのだ。
今更、どのグループに入ろうとも、気まずさは無くならないし、打ち解けるなんて僕には無理。
思い切って話しかけてみたら、なんて思うかもしれないが、それができたら苦労しない。
オタクはオタク同士気が合うんじゃないのって言う人もいるけど、アニメやゲームにだってジャンルはあるし、アイドルだって数が多すぎる。
大型のグループなんていくつあるかもわからないし、その中でも推しは一人だけだ。
ハッキリ言って、オタクほど趣味を合わせることが難しいジャンルは、無いと思う。
まだ同じスポーツやら音楽やらの方が会話は弾むんじゃないか。
よくわからないけど……。
このクラスに僕の居場所はない。
そう決断し、図書室へ入りびたるようになったのは、自然な流れだったんだろう。
けど、まさかあんなことになるなんて、この時は思ってもみなかった。
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