プロローグ
かつて、今では無い場所、此処ではない何処か。
アルベスと呼ばれる世界が在る。
ヒトと呼称される多くの種族が暮らす人界。
自らを神と呼びならわす、絢爛なる力を誇る者たちの住まう神界。
世界の裏側、魔の領域、魔族と呼ばれる種族の住む魔界。
異なる三つの世界が折り重なり合いながら存在する、特異な世界。
かつて、そこで争いがあった。
魔族の王による人界の侵略。何度繰り返されたかも分からないその戦争はしかし、多くの生命を巻き込んだかつてないほどの凄惨なる争いとなった。
魔界に名だたる六魔将軍のうち半数が神族と人類種の連合軍によって討ち取られ、しかし神界の守護者たる軍神マレウスも彼の率いる軍勢と共に深い傷を負い、永き眠りについた。
偉大なる光輝、神界の主たる女神アルテルナの祝福を受け、神剣を携えた勇者さえも魔族の王の手によって露と散り、神都の陥落は目前に迫っていた。
そんな中、神王アステールは自らの身を顧みず、神王騎士団を魔域と化した宴の都、ラフェルに派遣する。選りすぐりの神王騎士たちは激戦の末に、魔族の王を討ち果たし、167度目の三界戦争は終わりを告げた。
──これは、その三百年後の物語である。
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