フェンリル
狼に近づく悠亜、そして近づく悠亜に威嚇する狼。
「大人しくしてくれよ〜……」
そしてゼロ距離、しかし狼は威嚇するだけで襲いはしてこなかった
威嚇する事をやめ大人しく悠亜に治療薬をつけてもらう。
「おっし、これで良い…んだよな?」
はじめてのことだからわからないが、疑問に思いながら多分大丈夫だろうとも思っている
すると。
{ありがとうございます}
悠亜の頭に声が響いた、それは優しそうな女性の声。
「だ、誰だ!?」
{あなたの目の前に居ますよ}
目の前、しかし狼しか居ない
まさか…と、思った矢先。
{そう、目の前です}
「狼……お前か…?」
{そうです、あなたの頭に直接話しかけています
[念話]というものです}
念話、話したい相手と考えるだけで脳内会話が出来るスキルの1つ
このスキルは会話するどちらか1人が持っていれば使えるスキルなのだ。
{わたしは[フェンリル]、治療薬感謝します}
フェンリル、現代の日本でも有名な神話の獣。
「ふ、フェンリル!?
狼じゃないのか…!」
当然驚く、そんな大物な神獣と話しているのだから。
{ふふ、驚かせましたね
しかし、あなたは害が無い…そう判断して話させていただきました}
フェンリルからそう言って貰えるのは光栄なことだ
普通ならばフェンリルと話す事などできない。
「そ、そのフェンリル様が俺と会話して何の用?」
{あなた、先程スキルを使いましたね…解析…と仰ってましたが?}
「あ……あぁ、ハズレ職の解析者だから」
悔しそうに、力一杯握り拳を作る。
{ハズレ職?
とんでもない、解析者こそ最強の職業なのですよ!}
「………へ?」
悠亜は呆気にとられた、フェンリルからまさかそんな言葉を言われるとは
しかし、ハズレ職だから俺は落とされたのだと
事の経緯をフェンリルに伝えた。
{馬鹿な事を………あなたが居ればグランイールスは間違いなく敵無しでしたでしょうに……}
どういう事だ、そうフェンリルに言うとため息をもらす
それは悠亜に対してかグランイールスに対してなのか……。
するとフェンリルはおもむろに立ち上がった。
「お、おい、傷に障るぞ?」
{ご安心ください、フェンリルとは通常のモンスターや、それこそ人よりも治りが早い
それにあなたの治療薬のおかげでさらに、です}
確かに見てみると、塗った箇所の傷がもう塞がっていた
悠亜は思った、フェンリル恐るべしと。
{ついてきてください}
それだけ言うとフェンリルは淡々と歩いていった、なんだと思いながらも遅れて悠亜はフェンリルの後ろをついて行く。
しばらく歩いていると不思議なところについた、それは。
「と…扉?」
崖下の壁になにやら人が入れる程の大きさの扉があった、何故こんな所に扉なんてあるのだろうか。
{大昔、ある人物がここに隠れ家として造った書庫です}
「書庫……?」
{ここに、恐らくあなたが知りたいであろう真実が眠っています}
フェンリルにそう言われ悠亜は、ゆっくりとその扉を開いた。
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