絶望
そこは王都グランイールスの少し離れたところの荒野、そこへ悠亜をはじめクラスメイト達が連れてこられていた。
「待ってくれ王よ、悠亜くんが何をした!?」
今悠亜は、何故か手足を縛られ崖の前に立たされていた。
それは、ハズレ職を引き当てた悠亜を勇者召喚で呼んだ勇者とあってはならない
そのため悠亜を亡きものとしようとしていた。
「ふん、解析者など我が城には沢山居る
それに勇者が解析者など召喚した我が国の恥じ」
「ふざけんなよ!
呼んどいてハズレ引いたからって殺すのかよ!」
薫も反抗する、が、デラン国王は揺るがない。
「ならばお主があの者の代わりをするか?
さすればあの者は助けて城の解析者として働かせてやろう」
「な!?」
悠亜はそんなやり取り耳に入ってこなかった
なんで僕がこんな目に、誰か助けて……心の中でそう叫んでいた。
目の前にクラスメイトが崖に落とされそうだと言うのに他の者達はクスクスと笑っていた
悠亜のハズレ職をただただ嘲笑っていた。
「ハズレ職とかダッセーぜ来栖!
まっ、役に立たねぇなら死んで当然じゃね?」
加藤だけが大声で笑い散らしていた
それに反応する美弦。
「黙れ!
王よ、考え直せ!」
「ふん……」
デラン国王は一切聞く耳を持たなかった。
「ならば……ならば私が落ちよう!」
「み、美弦!?」
その言葉に誰もが止めた
聖女である美弦がそう言った事でデラン国王もさすがにヤバいと感じた。
「お主は最上級職業という特別な存在だ、それは認められん」
「なっ…!?」
さらに、国王らしからぬ事を口にした。
「どうしてもあの者の代わりをするというなら、連帯責任として全員に落ちてもらおうかの?」
さすがのクラスメイト達も驚愕した
やめろ!、来栖を落とせ!、そんな声が響く。
「き、貴様……!」
相手が王などと関係無く美弦は掴みかかろうとしたところ、優に止められる。
「美弦、諦めるんだ
…彼の為に君が犠牲になるんじゃない」
「しかし!」
「それに、君が彼の代わりになったら俺達も同じ目に合う
1人を助け沢山の命が消えてしまう」
「!?」
さすがにその言葉堪えたのか、美弦は何も言えなくなった
それは薫も同じだった。
そんなやり取りは先程と同じく耳に入らない悠亜
誰か助けてと泣きながら心で叫びながら振り返る。
そこにはクスクスと笑うクラスメイト、歯を食いしばりながら顔を逸らす薫と美弦
そこで気がついた───あぁ、仲間なんていないんだ─と。
反抗はしてたもののやり取りが耳に入らず知らない悠亜は、友人である薫にも裏切られたと感じてしまった。
―――僕は1人だったんだ
―――あの日々は偽りだったんだ
―――もう誰も信じられない
内気で多少マイナス思考だった悠亜にとってはもうそれしか考えられなくなっていった。
「さっさと飛び降りろハズレ職が!」
僕は……僕は……俺は!
「俺は……絶対許さないからな!!」
トンっと兵士に押され悠亜は崖に落された。
―――――――人々からは底無し崖と呼ばれる場所に。
急展開でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございます!
次回からも頑張って書いていきます!