地上へと
眩しい日差し、肌で感じる風、聞こえてくる鳥の鳴き声。
実に半月ぶりの地上へと俺は帰ってこれた
……まぁこの世界に来て何も感じれず落とされてるからほぼ初めてのようなものなんだが。
やっぱり地球とは違って清々しいな、空気が美味いとはこういう事を言うのかね。
俺達はダンジョンの転移魔法陣から転移されてきた訳だが、見事に何も無いな。
目の前に広がるのは…木々、恐らく森の中なんだろうな、そんでもって入ってたダンジョンのちょっとした遺跡跡のような廃墟くらいか…。
地図がないからどっちに進んだものか……。
「ワフ!」
「ガル?」
ガルは地面に鼻を付けて匂いを嗅ぎ始めている。
そうか、ダンジョンってことは人も出入りしてるはずだからな
匂いが残ってるのか!
「でかしたガル!
そのまま人が居そうなとこまで行ってくれ!」
「ウォウ!」
嗅ぎながらガルは歩き始めた、それを追うように俺もガルの後ろを歩いていく。
さすがウルフ種の中でも伝説のフェンリルだ、機転が早い。
そんなことを考えながら歩いてしばらくするとガルは立ち止まった。
「どうしたガル?」
「ウゥゥ…」
少し警戒をしている、少しして俺も気配を察知した
誰か近づいてきている。
ガサガサと音を立て現れたのは数人の男女だった、武器や装備を所持してるのを見ると旅人か何かだとすぐ気が付いた。
そしてリーダー格っぽい男が声を掛けてきた。
「アンタ、この先のダンジョンから帰るとこか?」
「まぁな」
素っ気なく返した、正直落とされてからというもの、あまり人間を信用してない。
「…………ウルフ、アンタ魔獣使いか?」
「いや違う」
「違う…?
契約してないってことか?」
「ガルは俺の相棒でね、契約なんてしてないさ」
俺がそう言うとリーダー格っぽいヤツの後ろに居た仲間が警戒を始め喋りだした。
「契約してないって危ないんじゃないか…」
「バカじゃないのっ!魔物連れておくなら魔獣契約くらいしなさいよ!」
なんか好き勝手言ってくれてる
それが理解出来るガルは警戒から敵対へと変わってくのを俺は理解した。
「ガルは大人しくて頭も良くてな、俺が敵と思った相手しか危害は加えない」
相も変わらず素っ気なく俺は答えた。
「信用できっかよ!おいリーダーどうすんだよ!」
まぁ別に信用されようとは思ってないけどな、他人だし。
「………アンタはこの先のダンジョンはどこまで行ったんだ?」
は?
このリーダー格のヤツは仲間の発言よりダンジョンの事を聞いてくるな。
「それが?」
「クリア出来たのか……?」
「まさか、あのダンジョンは30階層まであってその先のダンジョンボスのブラックハイサーペントを倒さねぇといけないんだぞ!」
「やっぱりアイツダンジョンのボスだったのか?」
俺のその言葉で空気が変わった
目の前に居る旅人?達は目を見開いたまま固まった。
「かなり強かったぜ、正直やられかけたしな
でも何とか倒したし戻ってこれた、これクリア報酬な?」
そう言うと来ている上着を指でピラピラと見せびらかすように摘んだ。
「………全員戦闘準備だ」
………………は?
リーダー格の一言でその仲間達も武器を構え始めた。
「悪いが……お前のその装備を奪わせてもらう…」
追い剥ぎかよ
なるほどな、だから執拗にダンジョンのことを聞いてきたのか。
「俺達はギルドランクCなんだ…ちょっとやそっとでやられたりはしない…」
やっぱりギルドあるか、て事は旅人ってより冒険者が正解だな。
「俺達はあの勇者共に負ける訳にはいかないんだっ………」
…………………………………………あ"?
「なんだって……?」
「俺達は城お抱えの勇者共と違って実戦もしてきてるし、依頼もこなしている!
そんなヤツら負けてる訳にはいかないんだよ、だからお前の装備を寄越せ!!」
リーダー格の後ろに居る仲間も吠えだした、どうやら聞き間違いじゃ無さそうだ……。
勇者共だと………――――。
「悪いが俺もソイツらが嫌いでなぁ!
負けたくねぇって気持ちは一緒なんだわ、この装備は渡せねぇ!!」
そして俺も剣を構えた、ガルもそれと同時に戦闘態勢に入った。
「この人数相手に出来るかよ!」
1人の男…おそらく職は戦士でタンクの役割を担ってるだろう、剣と盾を構え怒鳴る。
「強化頼む!」
「分かってるっての!」
今度は女、見た感じで分かるが魔法使いなんだろうな。
とんがりボウシに黒のローブ、わかり易すぎて脱帽。
身体強化か…使えそうだな、解析しておくか。
{魔法使い解析完了しました
魔法の会得に成功しました}
頭の中に流れる電子声が、異世界に来ては誰もが欲しがる技術を手に入れたと報告してくれる。
どんな魔法を覚えているのか……。
――――――――
火魔法 水魔法 風魔法
土魔法 雷魔法 補助魔法
――――――――
おっと、基本の魔法は解析出来てるな、ありがたい。
補助魔法が身体強化等のバフやデバフがあると見た
相手もかけてる事だしこちらもやっておくか。
「身体強化!」
「なんだって!?」
相手は驚いてる、それもそうだ
今の俺は腰に刀を拵えてる、剣士に見えたんだろうな。
「お前剣士かなにかじゃないのか!?」
予想通りの問い
しかしそれを答える程甘くは無い。
教えるかよの声と共に俺は構える
ガルもそれに反応して臨戦態勢を取った。
「チッ!このぉっ!」
戦士の男が突っ込んで来て俺に斬り掛かる
もちろん俺はそれを最小限の動きで避け、反撃に出ようとする。
「させない!」
そこへ後衛の魔法使いが火魔法で援護をして反撃を止められ俺は後ろへ下がる。
それを見かねたリーダー格の男が戦士の後ろからジャンプで俺を襲う。
「甘いね」
金属音が響きリーダー格の剣を防いだ、このリーダー格は前衛の剣士ってところか
3人ならまだ対処は楽に出来そうだ。
「今だ、俺が抑える!」
「任せな!」
戦士の男に合図してソイツはリーダー格の横から俺に薙ぎ払おうとする……が。
「…俺も1人じゃない事忘れてないか?」
「ガゥ!!」
さらにその横からガルが俺の援護に来てくれた
俺らだって2人なんだぜ。
「クソったかがウルフの分際で!?」
戦士の盾に乗りかかるように襲うガル
その間に俺はこのリーダー格を1度突き放す。
「んじゃ次はオレの番な!」
リーダー格に激しく斬り掛かる
奴はオレの斬撃をなんとか防いでいた。
「このっ、なにしてんのよ!」
魔法使いが慌てて更に魔法を放ってくる
今度は風魔法を使って来たようだ、その風にオレは飛ばされる。
しかし大したダメージにはならず1本の木に足で付いて思い切りジャンプの容量で蹴り加速させた。
再びリーダー格を捉え攻撃
戦士の方は未だにガルが翻弄してくれてる為こちらに向かえない。
リーダー格と魔法使いがオレと対峙する
それでも2人相手、1人は後衛からの援護……と来れば。
「はぁっ!」
「くっ…!」
剣で競り合ってる間にリーダー格に蹴りを入れ攻撃の手を止めさせ、オレは魔法使いに向かって走り込んだ。
「なっ!?クッソ止めろ!!」
戦士が叫ぶがオレはグングン魔法使いとの距離が縮め、間合いに入ったところで構え斬る…までは良かった。
「っ!?」
どこからともなく矢が飛んできた
「……危ないところだったね?」
木の木陰からさらに男が現れる
ここへ来てもう1人居たようだ、おそらくは職は…弓を使うから狩人かなにかだろう。
役割は斥候と言ったところか、と言うことはオレたちを見つけたのはあの狩人って事か。
ギリギリまで隠れてオレたちの分析をしてたってところか…4人目は面倒だ。
「クソがっ!」
ここで戦士を翻弄してたガルも1度払われオレの横に戻ってきて威嚇する
それをよくやったと言わんばかりにオレは撫でる。
「なにかヤツについて分かったか……?」
「剣士の様…だけど魔法も使う……職業は剣士で補助スキルが魔法なのかもね」
残念ハズレだ
ただ解析者と言ったところでコイツらは信じないだろうな、言うつもりも無いけどな。
「なぁ…いい加減もういいだろ?」
4人居ることに面倒だと思ったオレはヤツらに声を掛ける。
「なに?」
「いきなり戦い挑んできて、勇者の話しも出されて多少ムカついたけど、オレはあんたらと戦う理由ないんでね
ここらで帰ってくれると嬉しいんだけどー?」
軽口でヤツらに問い掛けるが…これで潔く帰ってくれたら万々歳だ。
が、オレの願いもことごとく壊される。
「そういう訳にはいかない、俺達はダンジョンの装備が欲しい……勇者達よりも強くなるにはそれしかないんだよ………」
まぁそうだろうな
勇者……あのクズ共一体冒険者相手に何したんだよ…。
はぁ……と、ため息を吐きゆっくりとオレはヤツらに睨みをきかせた
そしてヤツらはビクッと反応を示す。
オレが殺気を込めて睨んでるからだ、次は容赦しない。
「なら……殺される覚悟があるってことだよなぁ!」




