真なる解析者
パタンと本を閉じた音に気づいたフェンリルは、扉の外から悠亜に声を掛けた。
{真実がわかりましたか?}
「……うん…ありがとうフェンリル」
涙を拭いフェンリルに礼を言う
どういたしましてと返すフェンリルはニコッと静かに笑う。
しばらくして書庫から出る悠亜、そしてフェンリルに問う。
[解析者としての在り方はわかったけど…この後どうするかな?]
{その在り方を試してみては?}
そうしたいところだが、解析したい相手が居ない…とフェンリルに帰す
するとフェンリルはとんでもない事を言った。
{その解析…本当に職業だけなのですかね?}
「は?」
{もしかしたらモンスターも解析出来るのでは?}
モンスターを解析…本を記した人物でもそんな事は書いてなかった
さすがに無理だろうと考える悠亜。
「出来たとしてそれってモンスターとしての解析だろ?
スキルとかの解析とか無理じゃない?」
{モンスターとしてならば鑑定士の仕事でしょう?
解析者はわかりません、物は試しとも言いますし、どうぞどうぞ}
「お前…初めて会った時とだいぶ印象違うんだが?」
最初の頃は凛とした態度だったのが随分と軽い印象に変わっていた。
「まぁいいか……それじゃ行くぞ?」
{どうぞ……}
フェンリルをじっと見つめ、そして唱える。
「解析!」
…………………………………………………………。
「ん…何もおこら――――」
{フェンリルを解析します}
「おわっ!?」
突然悠亜の頭に声が響いた、フェンリルに何か言ったかと聞いても何も言っていないと言う
という事は、あの本に記してあったことが悠亜にも起きているということだ。
{フェンリル解析完了しました 属性術スキルを取得}
「属性術スキル?」
{ほぉ、中々いいスキル盗みましたね?}
「盗んだとか人聞き悪い事言わないでくれる!?」
{冗談ですよ、現に属性術スキルありますし}
クスクス笑いながらヒラヒラ前足を悠亜の目の前で振るう。
「属性術スキルってなに?」
{属性術と言うのはですね、魔法とはまた違った術なのです}
「魔法とは違う……?」
よく理解ができない、首を傾げているとフェンリルから指導される。
{魔法ではなく、技、技術
人で言う剣術などと一緒です、魔法ではなく技なのです}
1つ見せましょうと良い悠亜とは反対に身体を向け構える。
{かまいたち!}
フェンリルが前足を軽く振ると風の刃が地面を抉った。
「…………!
これが……属性術……!」
{スキルレベルが上がれば他の属性術を覚えることができます
素手で扱うも良し、武器で重ねるも良し、使い所は沢山ありますよ}
それからというもの、フェンリルと共にこの底無し崖で修行をすることになった悠亜
初めは地上に戻れたら裏切った奴らに復讐をと考えてたが…もはやそれも薄れていた。
そして称号が新たに追加されていたのである─────。
〘真なる解析者〙と
ここまでが1章です!
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