26. 屋敷でのやり取りと新しい仲間
多めです
「おお、よくきたな! 待っていたぞ。早速だが話を始めるか」
「はい、お願いします」
それから話が始まった。ちょくちょくマールの方を見たが思ったより大丈夫そうだった。
「よしそれで、これが契約書だ。レオンにはお金に関する事、ショウたちには家とお金に関することの二つだ」
「はい、分かりました」
「はい、ここにサインすれば良いんですよね?」
「ああ、そうだ。——ところで話は変わるんだが」
俺たちがサインをし終わるとバンさんが改まって言ってきた。
「「どうしたんですか?」」
俺とレオンは同じ反応をした。
「二人はここの専属の発明家にならないか?」
「「発明家?」」
「ああ、そうだ。二人に色々発明をしてもらってこの街を発展させたいんだ。給料は弾むぞ」
そう言われてふとシエラとマールを見る。そしたら悲しそうな顔をしたいた。受けると思っているのかな。
「それは、この街から出にくくなりますか?」
「まあ、そうだな。休みの日以外は出にくくなると思う」
「それなら遠慮させて頂きます」
「僕も大丈夫です」
俺がその話を断るとレオンも断った。
その言葉に一番驚いたのはシエラとマールだった。
「「え!」」
「受けないんですか?」
「そうよ。受けた方がいいと思うわよ」
「いや、もっと色々な世界見てみたいし。それにシエラとマールと一緒にいる時間が短くなるだろ」
俺が断った理由を説明するとシエラとマールは少し嬉しそうな顔をしていた。
「ああ、なるほど……。そうやって女の子を落としていったのか……」
「どういう意味だ?」
「いや、なんでも」
「なんか腹立つけどいいや。そういうことでお誘いは嬉しいですが、お断りさせて頂きます」
「そうか……。ならこういう条件ならどうだ?」
そう言ってバンさんはこれよりもっといい条件を出してきた。
それは、冒険者を続けながら発明をするということだった。
「自分の時間がある時でいいから、ちょっとずつ作ってくれないか。そしてその作ったものをこちらに持ってくるといった具合に」
「そんなにいい条件でいいんですか?」
「ああ、しかしお金はできた時に支給することになるが」
「いえ、それでも大丈夫です! その条件なら受けさせて頂きます」
「僕も、受けます」
俺たちが承諾するとバンさんは安堵したようにホッと息をついた。
「後もう一つ。うちの騎士から一人護衛をつけてもいいだろうか?」
「護衛……ですか」
「どうしてでしょうか」
「いや、心配ないと思うんだがうちの騎士から一人つけると安心するというものでな」
「別に俺たちはいいよな」
「うん、逆にありがたいぐらいだよ」
「でも良いんですか?」
「ああ、騎士は多いし色々な世界を見てみたいと思ってる騎士も多いしな」
「じゃあ、お願いします」
誤算だったが、嬉しいことなので良しとしよう。
「よし、じゃあ来てくれ」
そうバンさんが言うと二人の騎士が入ってきた。
「私の名前はセツナ=ラーリアルと申します」
ん? セツナさんどこかで見たことがあるような……
「あ! あの時の!」
「ああ、昨日ぶつかってしまった人ではありませんか。昨日は本当にすみませんでした」
「いえいえ、こちらこそ」
そう。一人目は昨日曲がり角でぶつかってしまった人だった。
レオンに小声で話掛けられた。
「知り合いか?」
「まあ、知り合いってほどでもないんだが。昨日ちょっとあってな」
「ふぅーん」
そしてもう一人
「俺の名前はガイアナ=ルージュだ。よろしくな」
「ガイアナさんか!」
次はレオンが大きな声を上げた。
「おお、あん時の坊主じゃねえか。大丈夫だったか?」
「はいお陰様で」
二人は親しげに話していたため、気になり俺は小声で話しかけた。
「知り合いか?」
「ここの街に来た時にチンピラに絡まれてる所を助けてくれたんだよ」
「へー」
二人の軽い自己紹介が終わった。
「二人とも冒険者で言ったらCランク以上はある強者だ」
「そんな強い人たちをいいんですか?」
「ああ、戦争なんて昔に起こったきり無いしな。街の見張りは少なくていいし、魔物退治も冒険者ギルドがほとんどやるしな」
「なるほど。そうなんですね」
まぁその話を聞くと確かにやる事ないのは納得だな。
「ショウと、レオンに話し合って決めてもらおうと思ったが、知り合いみたいだし、ショウにはセツナ、行ってやってくれ」
「はい、分かりました」
「レオンにはガイアナ行ってやってくれ」
「分かりました」
こうして新しい仲間が増えた。横でシエラとマールが少しムスッとした顔をしていたが。そんな時にレオンにまた小声で話しかけられた。
「忠告しとくよ」
「何だ?」
「女の人が仲間になったんだからってヘラヘラしちゃダメだよ。シエラちゃんたちが悲しんじゃうしね」
「おう、それはもちろんだ」
「なら、いいけど」
小声での話が終わりバンさんの方を向いた。
「じゃあ、これからよろしく頼むぞ」
「「はい、もちろんです」」
そう言って話し合いが終わり屋敷を後にした。
「じゃあ、レオンまたな!」
「うん、また今度」
今回は新しい仲間ができたという事もあり、仲間の親睦を深めようと思い、一緒に帰らなかった。
「よし、じゃあ帰るかシエラ、マールそれとセツナさん」
「はい」
「うん」
「分かりました。——後一つ言いたいことが」
「うん? なんだ?」
「いえ、大したことではないのですが、皆さんに呼び捨てで呼んでいるので、私も呼び捨ての方がいいかなと」
「ああ、それくらい全然良いぞ。じゃあ改めて行くか。シエラ、マール、そしてセツナ!」
俺たちは今日で最後になるだろう宿に帰った。
「さあ、軽く自己紹介でもするかな」
宿でご飯を食べている時に俺は言った。
「俺はショウ=トリイ。18歳。無属性魔法が使える。よろしくな」
「無属性魔法ですか!」
まぁ、いつも通りの反応が返ってきたな。
「ああ、でも使える魔法は少ないけど」
「それでも十分凄いですよ」
俺の自己紹介が終わりシエラが続いて自己紹介をした。
「じゃあ次は私ね。私はシエラ=クエナ。17歳。火と土の魔法が使えるわ。よろしくね」
「あ、はい。シエラさんですね。よろしくお願いします」
「うん、よろしくねー」
そしてマールの番が来た。
「私の……名前はマール=クエナ……です。17歳……です。水……と風の魔法が使え……ます。よ、よろしくお願いします!」
俺とシエラに続いてマールも止まり止まりながらも、自己紹介をした。
「頑張ったなマール」
「は、はい……」
「——ああ、ごめんセツナ。マールはちょっと人見知りなんだ。すぐ慣れると思うから」
「は、はい。よろしくお願いします。——では、最後に私ですね。セツナ=ラーリアルです。18歳で、火の魔法が使えます。でも主に剣を使います。よろしくお願いします」
「ああ、これからよろしくな」
「よろしくね」
「よ、よろしく……お願いします!」
そして全員の自己紹介が終わったと思ったら後もう一羽いることに気づいた。
「あ! そういえば。今は、エマさんのところに行っているアルルっていう鳥もいるから。多分明日くらいには返ってくるんじゃないか」
「鳥ですか! それは楽しみですね!」
「動物好きなんですね」
「あ、はい! ——あっごめんなさい。つい取り乱してしまいました」
「いや、大丈夫だよ」
「後、エマさん? って誰ですか?」
「ああ、エマさんは俺たちを救ってくれたSランク冒険者だよ」
「その時に少し修行もさせてもらったわね」
「う、うん」
「それで、そのお礼の代わりというか無属性魔法でどんな魔法を使えるようになるかを伝えることになってるんだ」
「なるほど。無属性魔法は珍しいですからね」
「そういうこと」
これで自己紹介が終わり、いろいろな世間話をしながら食事を終えた。
「明日は多分アルルが帰ってくるだろうから、アルルが帰ってきたら家に行くって感じでいいか?」
「ええ、それでいいわ」
「分かりました!」
「はい」
そんな感じで今日はそれぞれ部屋に戻り、休んだ。
最後は切るところが難しく長くなってしまいました。
ちょっと最後は無理やりでしたが今回で物作り編終了です!
次の章も頑張りますのでブックマーク、評価、感想してくれると嬉しいです




