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「ぐすん...し、失礼ちました。」
先程まで兄であるレッキスに抱き着いて泣いていたファージーは落ち着いたようでレッキスから離れてカメリアに突然泣いた事を謝罪した。
「いいえ、気にちてませんわ。わたちが何か失礼な事を言ってちまったのよね...ごめんなちゃい。」
「いえ!ち、違います。...その...」
「それは俺から話そう。...カメリア嬢は俺とファージーの違いを気付きましたか?」
「えーと、髪色や瞳...後は耳、ですか?」
得に大きな違いといえば耳が大きいだろう。違いを聞いてきたという事はその耳がファージーが泣いた原因なのだろうか?
耳が原因で泣くまでいくって余っ程だよね?でもタレている耳がいけないとかあるのかな?とっても可愛いのに。
「あぁ。ファージーの耳は見た通りタレているのだが、タレている耳を両親は持っていない。親戚にもいないしタレているのも珍しいが灰色の耳もいないんだ。母は見た通り全て白で瞳だけ赤。一方父は髪が灰色で瞳は黒だが耳は真っ白なんだ。まぁ俺と同じだな。」
「...だから...わたくち、2人の子じゃないって、みんなに言われて...変だって...。だから、だからカメリアしゃまが、同じだって言ってくれたのと、普通に接して、くれたのが、凄く嬉ちくて...」
と言いながらファージーの引っ込んだ涙がまた姿をあらわす。
「全く変では無いわ!!むちろ、とっても可愛らちいと、思うの!!みんなファージーちゃまの、可愛らちさに、やられてるだけだわ!!」
カメリアはファージーに近付いてファージーの両手を自分の胸まで持っていき微笑む。
「カ、カメリアしゃま...」
「ファージーちゃま、わたちと、お友達になりましょ?ううん、もう友達よ。」
「は、はい!お友達でしゅわ!」
ファージーはここへ来て初めて笑顔を見せたのだった。
「ファージーちゃまは、そうやって、笑っていた方がもっともーっと、可愛いわ!」
「は、恥ずかちい、でしゅわ。」
顔を真っ赤にしてファージーは俯いてしまった。その姿を見たレッキスは驚きそして、泣きそうになった。
「...カメリア嬢、ありがとう。俺は久しぶりにファージーの笑顔や照れた顔を見た。」
レッキスは心配していたのだ。しかし、どうやって解決をしたら良いのか分からなかった。それがとてももどかしく兄として不甲斐ないとさえ感じていた。だが、カメリアと会いこんなにすぐにファージーの心に直接触れた。なんといっても笑顔を引き出してくれた事に驚かされた。ファージーを受け入れてくれて、友人になってくれたカメリアを大事にしようと思った。
この想いが違う意味で変わっていくとはこの時は思いもしなかった。
それから3人は使用人が呼びに来るまで沢山話をして仲を深めた。
帰りにはファージーがカメリアと離れたくないと泣いてしまいレッキスは困ったと頭を抱えて母であるダッチェは『こんな我儘言うの初めてね』と嬉しそうにしていた。
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